八話 パーティー
「仕事を頼まれてくれないかしら」
そう言ってロッカが家にやってきたのは、レッドカイザードラゴンを倒してから一週間後だった。
ロッカは、魔物買取専門店だけではなく、副業でギルドの討伐依頼も請け負っている。
街にあまり行かない俺に定期的に仕事を持ってきてくれるのだが……
「いや、けっこう収入あったし、しばらくはのんびりしようと思っているんだ」
いつもなら家の中に案内するが、見られて困るものがあるので、玄関先でさっさと話を終わらせようとした。
あと、ウナギに指摘されたので、ロッカの胸を見ないように意識する。
「そんなのは知ってるわ。今回のはお願いよ。人手がいるから手伝ってほしいの」
他のハンター達が敬遠するような依頼をロッカはたまに持ってくる。
色々と世話になっているため、いつもはしぶしぶ受けているのだが、今回はなんとか断りたい。
うちは、今、大変な問題を抱えているのだ。
「悪いロッカ。今、ちょっと忙しくて……」
「あー、おきゃくさん、だっ」
その大きな問題であるミウが玄関のドアを開けてやって来た。
中でウナギと大人しく待っていると約束したのに、あっさり破られた。ちょっと悲しい。
「し、シロウ。あなた、いつの間に子持ちにっ」
「ち、ちがう。親戚の子だっ。しばらく預かることになったんだっ」
「シロウに親戚なんていましたか? 私のデータには入ってないのですが」
ロッカが手帳をパラパラとめくり確認している。
ど、どうして俺のデータを作成しているのだ。やめてくれ。
「遠い遠い、本当に遠縁の親戚なんだ。50親等くらい離れてるんじゃないかな」
「それもう他人じゃないですか」
ジト目で見てくるロッカから目をそらす。
「ねー、ねー、このおばさんは、シロのこいびと?」
「なっ、ちがいますっ! というか、私はまだ二十歳ですよっ! おばさんではなくおねーさんですっ!」
いつも冷静なロッカも子供は苦手みたいだ。
顔を赤くして怒っている。
ミウは、ビックリして俺を盾にして、隠れてしまう。
「まあ、そんなわけで今回の依頼は……」
「いいですよ。仕事中は私がその子を預かります」
「え?」
「ご不満ですか?」
ロッカが覗き込むように見つめて来たので慌てて目を逸らす。
危ない、思わず胸を覗き込むところだった。
「い、いや、大丈夫なのか? ロッカ、子供の面倒みたことあるのか?」
「はい、下に年の離れた妹がいるので、よく面倒見ていました。お任せください」
そこまでして、受けてほしい依頼ということか。
ミウを預けるのは不安が残るがとりあえず話だけでも聞いてみるか。
「それは一体どんな依頼なんだ?」
「はい、こちらがその内容です」
ロッカが渡してきた依頼書に目を通す。
確かに難しい依頼だが、上手くやればやれないこともない。
だが、依頼書には一つだけ、厄介な条件が書かれてあった。
「これ、絶対に守らないといけないのか? 」
「はい、残念ながら、今回はそれでお願いします」
やはり、この依頼は断ろう。
依頼書の一番上に、それは大きく書かれている。
【二人以上のパーティーを組んで挑んで下さい】
それは、俺が最も苦手とする条件だった。
八回目です。
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追記
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