第7話 彼らの魔法適正
模擬戦場を後にしたサクヤ、カノン、リョウ、リサ、ショウマの5人は学校近くのファミレスに集まっていた。
リョウは先ほどの敗戦と頭の血が上りサクヤに魔法で攻撃するという違反を起こしたこともあり居心地悪そうにしているが、サクヤの魔法、それと自分の魔法が無効化された理由についてやはり聞きたいのだろう。
「で、さっきのサクヤの黒い炎は一体なんだったんだ?」
全員がドリンクバーを注文、カノンとリサはパフェを注文し、それぞれが自分の飲み物を取ってきて着席すると早速ショウマが質問。
「あれが俺の火魔法だ」
「チッ、あんな黒い火があるかよ」
「あたしもあんな色の炎、いまだに信じられないよ」
「カノンもそうだが、お前ら一体何者?」
リョウ、リサ、ショウマ、それぞれの意見と疑問。
「んー、私とサクはちょっと特別っていうか。ここから先の話は他言無用でお願いしたいんだけど」
カノンが皆の顔を見る。全員が頷いたのを見てさらに続ける。
「私とサクは確かに火の適性を持つ者。ただ、火だけじゃないの」
リョウの目が驚きで溢れ大きく開かれる。
ショウマとリサはやっと受け入れられた、という表情。
「おいリサ、ショウマ。お前ら何でそんなに驚いていないんだ?」
リョウが一人だけ驚いているのに気づき、まるで初めて話されたようには見えない反応を示す2人に聞く。
メロンソーダをぐい、と飲んでからショウマが答える。
「あぁ、実は俺は相手の魔法適正が何の属性なのかがわかるんだ。それでいつも2人でいるそこのサクヤとカノンが『全属性』持ちだということを知った。でも全属性持ちなんて普通はあり得ない。それでリサと一緒に一度カノンに聞きに行ったんだ。まぁ、その時は軽くはぐらかされたけどな」
「全属性持ちだと?そんなのあり得るわけが」
リョウの当然の反応。
「俺たちは戦争の道具として国、そして魔法協会に作られた」
「作られただと?」
「そう。新たな遺伝子操作によって普通じゃない魔法適性を与えられた」
「何だよ、その普通じゃない魔法適正って……」
「私が光属性。サクが闇属性」
「「「なっ!?」」」
一同が今度こそ目を見開く。
「私たちの光、闇属性は実質すべての属性を兼ね合わせている。そしてサクは圧倒的な破壊能力を持っているの。そして私ももちろん攻撃能力を持っているけれど、本来の存在意義はサクが暴走した時にそれを止める事。つまりサクを魔法で殺せる唯一の存在」
カノンは彼女の長いまつ毛を下に向け語る。
この話でショウマはようやく先程の模擬戦の時にサクヤがリョウの魔法は無効化しカノンの魔法のダメージを受けた理由を悟る。
「いやぁ、道理で2人の魔法力は桁違いだったってわけね!」
暗くなった雰囲気を払拭するように魔法力残高がわかるリサが口を開く。
「ところでどうして俺をセレクションに出場させようとするんだよ?」
「だってサク、単位が足りないでしょ?セレクションで代表に選ばれて魔法戦に出れれば4単位もらえるのよ」
「ははは、サクヤ、しっかりカノンの抑止力は効いてるみたいだなぁ。ある意味カノンの存在意義はしっかり働いてるってわけだ」
面白そうに茶化しながら笑うショウマをサクヤは面白くなさそうにそっぽを向いて無視するのだった。
こうしてセレクションに出場する代表5名はここに集まるサクヤ、カノン、リサ、ショウマ、リョウに決まった。