第4話 代表決め
魔法戦。
全国の魔法高等専門学校の生徒たちが魔法の強さを競う大会のようなもの・・・らしい。
そしてその魔法戦に東京魔法高等専門学校を代表して出場する選手を決めるために、セレクションと呼ばれる校内での大会がある。
なんともまどろっこしいが、そのセレクションへの出場選手を決めるための話し合いが今日のホームルームの内容だ。
魔法戦とセレクションの説明が終わり、クラスからセレクション出場者を5名決めるように担任から伝えられたあと、カノンはすぐに立候補した。
そこまではよかった。火組の全員が賛成した。しかし問題はそのあとのカノンの発言だった。
「サクヤをセレクションに出場させます」
クラス中が固まった。
「ちょっと待てカノン、クロを出場させる?煙しか出せないやつがクラスの代表なんて恥ずかしすぎるだろ」
昨日絡んできたリョウが言う。
「サクヤは煙しか出せない訳じゃありません。私は彼の実力を知っての推薦です」
今度はクラスがざわざわし始める。
「カノンの言うことだし、いいんじゃないかなー?」
昨夜の隣の席から女子生徒の声が上がる。クラス元気印、カノンともよく接していて、クラスでも珍しいサクヤに声をかけることの多い生徒の一人のリサだ。
「ちょ、勝手に決めるなよ・・・」
「サクヤが出場しないなら私も出場しません」
サクヤの抵抗を遮るカノンの宣言。クラスはまたザワザワする。クラスでも人気のカノンと一緒に出場したいという思いを持った男子生徒は大勢いる。もちろん女子生徒もだ。
「なっ・・・」
リョウも密かにカノンと出場したいと思っていた一人なのだろう。数秒考え込んだ後、
「模擬戦だ。それでサクヤが俺に勝てればカノンの言う通りにしてやる。ただし俺が勝ったらサクヤの出場はなし、カノンには出場してもらう」
「えぇ。それでいいです。サクヤ、いいわね?」
あぁ、あの目だ。もう逆らうことを許さない目。
サクヤは自分がもう何も言っても変わらないことが分かっていたが、せめてもの抵抗で頷きもせずその場で固まるという返事をする。
「勝負は明日。対人戦闘じゃ俺がサクヤを丸焦げにして終わっちまうから対物で行う」
どうしてこうなった、とサクヤは頭を抱えて机に突っ伏してしまった。