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第2話 東京魔法高等専門学校


遺伝子操作。


倫理的にも、ほかの要因的にも難しいこの技術において、人類は魔法適性を獲得した。遺伝子操作により魔法適性が発現したと言われているが、その詳細は全く公開されていない。最初は先にあったように倫理的、といった理由などから激しい批判が集まった。そう、「最初」は。しかし、その魔法適性を持った人は強かった。強すぎた。反対したもの達は魔法にひれ伏し、そして人類は兵器として、その人材が使えることに思い至ると揃ってどの国家も魔法の発展に力を注ぐようになる。何故そのような技術が国をまたいで広がったのか。魔法といった強大な力を獲得する技術、これを敵国に漏らす道理はない。しかしどの国家も魔法適性持った人を抱えている。否、ほぼ全人類が魔法適性を持っている。その理由は簡単。魔法適性は「遺伝」するのだ。


火・水・雷・土・風


この5つの適性を両親のどちらかから遺伝する。どの属性も、1つしか適性として現れない。また、各属性には相性があり、火属性は水属性の人間に魔法を発動しても威力は全くのゼロとなる。同様に、水は雷に、雷は土に、土は風に、風は火に対して効果を表さない。よって戦場では各属性をバランスよく配置することが重要で、仮に1対1で悪い相性の敵と遭遇した場合、最初から出すのを決められた死のジャンケンをするようなものになる。


そんな魔法を学ぶべきあるのが「東京魔法高等専門学校」である。いわゆる通常の高専と同じように5年制を採用しており、八王子市に存在し、全校生徒約1000人(1年から5年まで各200人)。国内でも有数の魔法専門学校である。



「おいカノン、今日も"クロ"の相手してやってるのか?そんな煙カス放っておいて俺たちとメシ食おうぜ」


そんな呼びかけをしてきたのは火の魔法適性を持つ生徒の集まるクラス、火組(ピュール)に属する少年、リョウだ。


「ごめんなさい。今日はサクヤと一緒にご飯の約束をしているの」


カノン、と呼ばれた銀髪赤眼の美少女は顔に少しだけ笑みを残したまま丁寧に断るが、その赤眼は笑っていない。


「俺の監視はいいからあいつらとメシ食ってこいよ。俺はちゃんと次の講義出るからさ」


クロと呼ばれた少年、サクヤが言う。"クロ"というのは愛称ではない。高度な魔法適性を持った生徒の集まる学園において、魔法で黒い煙しか出せない彼に対する蔑みを含んだ呼び方だ。まだ入学して2ヶ月の彼らだが、サクヤが魔法適性ゼロと言われても致し方ない程度に魔法実技が出来ないのは周知の事実であった。


「ダメよ。このままサクから目を離したら、サクの事だから絶対次の講義サボっちゃう」


「どんだけ信用ないんだよ・・・」


そんな会話の途中、どこからかサクヤめがけて風魔法が飛んでくる。サクヤの体を刻まんと接近してくる風のカッターはしかしサクヤの体に当たると同時に消滅する。


「チッ、あんな雑魚に攻撃が効かないなんてな」


そう、サクヤの適正は一応、「火」となっている。よって風属性の魔法は無効化される。基本的に対人に魔法を行使することは校則違反であるが無効化され周りに被害の及ばない魔法まで厳しくない。ほかの属性の攻撃を学校で受けたことは無いが、風魔法を無効化することがサクヤに少なくとも火の適正を持っていることを証明する。


「おい、クロのことなんて放っておけよ」


「そうだな。それより明日、セレクションについての話が学校であるんだよな」


そんな会話を残して風属性の適正を持つ風組(アネモス)の2人はどこかへ歩いていく。


「セレクションかぁ」


何かを考えているらしいカノンを横目にサクヤはなにか嫌な予感がするのであった。


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