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ステータス強化! ってゲームかよ

おかしな声を聞いた。


 ―友情ポイント5000点を獲得しました。


なにか、鼓膜を通さずに直接脳に響き渡った感じだった。


最初は幻聴だと思ったが、後に雄平と雅彦に聞くと、やはり同じような声が聴こえていたとのこと。

そして、2人はそれの意味を知っていた。


「パラメータボーナス? ゲームの?」


「ああ、ボーナス点を消費して自分を強化できるみたいだ」


「至れり尽くせりのチートだよな」


「……馬鹿にしてるのか?」


「いや、マジだって。頭の中でステータスって念じてみろよ」


 俺は半信半疑ながらも言われた通りにしてみた。

すると、網膜の中に直接書き込まれたかのようにステータス画面が浮かび上がった。



名前 浅葉源次


アルカナ 吊るされた男


体力  41

知力  61

筋力  38

器用さ 25

素早さ 50

魅力  30

     0


 称号 タイムスリッパー

 

「……まるっきりゲームの世界だな。ていうか魅力と器用さ低すぎないか? おまえらはどうなの?」



名前 福知山雅彦


アルカナ 月


体力  48

知力  39

筋力  40

器用さ 51

素早さ 41

魅力  53

     0


 称号 タイムスリッパー


名前 立花雄平


アルカナ 戦車


体力  50

知力  49

 筋力  44

器用さ 45

素早さ 55

魅力  49

     0


 称号 タイムスリッパー



 雅彦は魅力に、雄平は素早さにポイントを割り振ったらしい。


「能力は基本的に50が平均値みたいだ」


「てことは俺たちは基本的に平均以下ってことにならないか?」


「だって俺たち中学生だし」


 うん、言われてみればそうか。それなら伸び代のある体力や筋力にポイントを割り振るのはもったいない気がする。

 それに、常に命の危険があるファンタジー世界と違い、俺たちが生きるのは現代日本だ。 やっぱり、上げるなら知力か? 俺のステータスなら長所を伸ばすことになるし。

だが、やっぱり知力といっても伸び代はある気がするし、それに一言に知力といっても記憶力とか推理力とか色々あるはずだ。

そう考えていると、ある項目に気付いた。

それはスキルという項目だった。

そこを意識して見ると、画面自体が俺たちの認識に準じているのか、新しいウィンドウが開いた。

そこには、今俺が思った推理力や記憶力なんかがスキルとしてあった。

ちなみに、俺は推理力レベル3をすでに所持しているらしかった。

俺は試しに推理力を上げようとした。

だが、


―推理力レベル4を獲得するには、知力が65と5000点が必要です。


 という無機質な声が聴こえてきて、上げることはできなかった。



ちなみに俺は今、6000点所持しているようだった。

最初に持っていたのが1000で先ほど獲得した友情ポイントなるものが5000だ。

ステータスは、1ポイント上げるのに最初に500ポイント必要で、次からは倍倍に増えていく。

俺の場合、最初61ある知力を62にするには500、63にするには1000、64にするには2000点必要というわけだ。

これは、魅力や器用さでも一緒だったので、短所を補うのはどうも向いていない気がする。


「ちなみにおまえらはどうしたの?」


「俺は全て魅力に注ぎ込んだ」


 といったのは雅彦。


「俺は素早さを少し上げてスキルでサッカーのリフティング能力を上げた」


 といったのは雄平。


さて、それじゃあ俺はどうしようか。

ぶっちゃけるのなら、俺はそれから丸3日悩んだ。

小癪なことに、将来的に必要になるだろうプレゼンテーション能力やスピーチ能力なんかは魅力が足りなくて取得できなかった。


色々悩んで、悩み疲れて面倒くさくなってきたとき、俺はあるスキルを見つけた。


発想力(知力60+5000点必要)


 実は発想力なるものが一体なんなのかよくわかっていなかったが、条件がちょうどよかった。

知力がギリギリ必要条件を満たしているし、ポイントも5000点もかかる高価なスキルだ。

 辞書をパラパラと捲る。


「発想力、思いつく力、か」


今、俺が持っている最大のチートは能力上昇できることではなく、32年生きてきた経験だろう。

それを最大限活用するためには、この発想力は役に立つに違いない。

俺はそう思い、この『発想力』のスキルを取得した。


後はたった1000点だけだ。


……実は、俺にはひとつだけステータス画面で気になる項目があった。


魅力の横にある不自然な空欄とゼロの数字だ。

どうやらこのゼロにはポイントを振り分けることができるようで、不自然な空欄にはなにかしらの能力値が入るようだった。


「さすがになんだかわからないものに5000点を振り分けるにはリスクがでかいが、1000点くらいなら、いいか」


 俺は、恐る恐るゼロにポイントを振り分けた。

500点を使い、ゼロは1になった。

そして、空欄には『魔力』の文字が入力されていた。


「ま・りょ・く!」


 いや、これは困った。ステータス画面なんてもの自体がゲーム的だからあったとしても不思議じゃないのかもしれないが、ジャンルってものを考えて欲しい。

 実際現実で、少なくとも目に見えるところで魔法なんてものは存在しない以上、なければないで困らない、いわゆるユニークステータスなんだろうが、悲しいかなものすごく心の奥底をくすぐられる。

と、いっても残っているのはたった500点。

たったこれだけじゃ魔力を上げることはもうできなかった。

とりあえずスキル項目を見てみる。


「……ファイアボール10000点にアイスニードル20000点、か」


 魔法を覚えるのは半端ないポイントが必要だった。まあ、ファイアボールなんて使えたって使い道に困るんだろうけど。


俺は、とりあえず500点で取得できる魔法を探した。

すると、見つかったのはひとつだけだった。


「……フラッシュ?」


 フラッシュ 魔力を消費して指先をコンマ1秒光らせることができる。


「これ、なにに使うんだ?」


 ……まあ、さっき発想も手に入れたことだし、取得できる魔法はこれだけしかないし。


俺は、残った500点でこの『フラッシュ』を取得した。


実利を言うなら他の能力やスキルを取得したほうがよかったのかもしれないが、これが結果として俺の『魔力』を鍛えることになるのだった。


人生、どんな経験が布石になるかわからないものだ。


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