目が覚めたら中3だった!
……、目が覚めた。
身体に多少の気だるさと頭に靄が掛かっている。
そういえば、昨日は同窓会だったな。
そんなことを考えながら、身体の向きをうつ伏せに変える。
途端、俺は落ちた。
「……なんだってんだよ」
頭を振り周りを確認すると、どうやら俺はベッドに寝ていたようだ。
と、突然部屋のドアが開かれた。
「なんか音したけど大丈夫なん?」
この声は、妹だな。なんだ、間違えて俺は実家に戻って来たのか。
「ああ。ベッドから落ちたらしい」
「私立が終わったからって気ぃ抜きすぎじゃない? それより、なんか大変なことになってるよ」
「ん? どうした? おまえの性格の悪さがばれて婚約破棄されたか?」
「その冗談、面白くない。ていうか婚約ってなによ。そうじゃなくて、なんか関西で地震だって」
「……けっこうでかいの?」
「うん。テレビは全部やってる」
「マジかよ。3.11に続いてこれじゃあ本格的に日本は終わっちまうなぁ」
俺は立ち上がって妹を見た。
……、妹?
妹、若!
性格の悪そうなつり目は一緒だが、頬は幼さの残る下膨れだし、中学の制服着てるし。
「おま……、どうしたんだ!?」
そういうと妹は嬉しそうにその場で軽く一回りした。
「わかる? 鈍感な源ちゃんにしては目敏いいね。髪型、変えたんだ♪」
……いや、俺に言わせれば髪型云々よりおまえが黒髪なこと自体驚きなんだが。
俺は妹を突き飛ばすように部屋を出ると、洗面所で自分の顔を見た。
「……若! ていうかすっげえ痩せてる!」
顎を撫でる。そこにはあるはずの2重顎がなかった。
再び部屋に戻る。
そこは、確かに俺の部屋だった。俺の部屋? うん、間違いはない……はずだが。
俺は床に山積みになっているジャンプを見た。
……まだスラムダンクが連載されていた。
「源ちゃん、ほんとにどうしたの? マジで打ち所が悪かった?」
「妹ちゃんよ、お兄ちゃん驚かないから正直に言ってくれ。今……西暦何年の何月何日?」
「地球が何回ってのはいらないの?」
「いや、わりとマジで聞いてるんだけど」
妹は、一度ため息をついて俺に教えてくれた。
「今年は、1995年。今日は1月17日でしょ」