三話
私が書きたくて仕方なかった中二回です。筆がのってのって仕方なかった。ええ、楽しかったです。
けど相当長くなったので一回切ってます。二話の前書きで言ってた戦闘パートは次話と言うことで。すみません。
闇が胎動する。
―――さあ、そろそろ始めるとしようか
暗い。昏い。何もない。
果たしてそこは何なのか。光というものは一切存在しておらず、無謬の暗黒がひたすらに広がっている。
どこまでも続く暗闇。照らすものが何一つ存在しないそこは正気というものを果てしなく削る。絶望。憤怒。嫉妬。廃絶。怨嗟。強欲。悲嘆。後悔。恐怖。嫌悪。それ以外にもありとあらゆる負の想念を煮詰めに煮詰めてぶちまけた色があらゆるものを塗りつぶしている。
危険だ。ここは、人が辿り着いていい場所じゃない。
―――まだ完璧とは言い難いけれど、最低限の準備は出来た。あとは君しだい。あとは君たちしだい。ああ、待ち遠しい楽しみだとも。
そんな場所に響く声。悦楽に彩られ、ある種子供のような純粋さを感じる声。そして同時に深く深い狂気を感じさせる声。
たとえ誰であろうとこの声を聞けばこの声の主が狂っていると理解できる。それがこの暗闇に浸かっていたからか、それともまた別の理由からなのかは分からない。
声の主は神羅万象あらゆるものをあざ笑うかのような声で言う。それが当然、当たり前であるかのように。
―――だから、失望だけはさせないでくれ。詰まらない結末にだけはしないでくれ。僕は楽しみたいんだ。芸として無価値なものを僕に見せることだけは止めてくれよ。
いや、あるいはそれがこの声の主の本質なのかもしれない。まるで掌の上で踊る人形を見て笑うように、喜劇を演じる道化を嗤うように、そういう視点でしかあらゆるものを認識できない。お前は僕を楽しませるためだけの玩具だろう? と、一切の悪意なく言い切っている。
酷く醜悪な精神性の発露。嫌悪感しか抱けない。眼を背けたくなってしまう。
―――なあ、■■■■。
最後の言葉だけは聞き取れなかった。
闇が再び胎動する。
それを境に意識が急速に浮上した。
「くっ、つう」
眼を開ければいつもの天井がそこにあった。
浮上した意識が現状を理解する。いつも通りの面子に、最近入ったもう一人と学校の帰りにゲーセンによって、帰ってきて夕食を家族と取って、それから―――
「寝ちまってたのか」
疲れたのだろうか。確かに純花が転校してきてから一週間、三人と一緒に色々と遊び続けていたが。それでもこれほど熟睡するほどだとは思わないのだが。
俺は体を起こして時計を確認する。時刻は十一時四十三分。日付はまだ変わっていないがそれでも限りなく深夜に近い時間帯だ。自分が寝過すなど珍しい、とどこか他人事のように考える。
「気持ちわり」
体は汗をかいており、シャツが肌に張り付いている。どれだけ寝汗を流せばこうなるのか。自分のことながらに呆れかえった。
ここ最近よく襲いかかってくる酩酊感と同時の頭痛は今回も起こっていた。ズキリズキリ、と脳の奥深くから痛みが走っている。とは言え最近では最初と比べてかなり弱くなってきていたし慣れてしまったということもあってかあまり気にはならなかった。
「風呂、だな」
このままもう一回寝るというのもアレであるし、何より先にも言ったが気持ち悪い。そういう気分にはなれなかった。
階段を下りてリビングに行く。どうやら妹はもう寝てしまったらしい。起きている時は大体リビングにいるはずの妹の姿はどこにも見えず、ソファに座っている母親だけがリビングにはいた。
「あら。起きたのね、圭」
「見ての通りだよ、母さん」
柊木琴美。我が家のボスであり、逆らってはいけない人筆頭。事実単身赴任で今はいない父親はものの見事に尻に敷かれており、下手に逆らえばそれはそれは悲惨なことが待っている。
俺でも逆らえない。たった十七年という短い時間しか生きていない俺だが、そんな短い人生の中でとは言え彼女ほど恐ろしいと思える人はいない。
なんと言うか、アレだ。自分が所詮は井の中の蛙であるという事実を一片の容赦もなく突きつけられるのだ。精神的にも物理的にも。今現在では人の良さそうな雰囲気というかオーラというか発しているが、聞いた話だと昔は気に入らないという理由でヤクザの事務所に喧嘩を売ったりもしていたらしい。よく無事だったな、と心の底から思う。
「今日は珍しくアンタがすぐ寝ちゃったせいで翠が膨れてたわよ。折角数学の分からなかったところ教えてもらおうと思っていたのにって」
「んなこと言われてもなぁ。俺だってそういう時ぐらいあるし」
「明日は覚悟しておいた方がいいわよ。あの状態の翠は止まらないからね」
「うへぇ」
明日のことを考えて憂鬱になる。そういう悪癖は唯一妹の苦手なところだ。
妹の柊木翠はまあ一言で言うならば優等生だ。頭もいいし性格もいい。ついでに言えば多少は家族としての贔屓目も入っているであろうが容姿も整っている。端的に才色兼備、あるいは文武両道。本当に母さんの子かと疑問に思うほどのいい奴だ。
そんな翠は勉強に限らず分からないこと・疑問に思ったことがあれば大抵俺に聞いてくる。それ自体はいいことだとは思うし俺も歓迎することなのだが翠の場合それが度を越しているのだ。徹底的にどこまでも。そこまでいかなければ満足しない。
付き合わされる身としては堪ったものではない。
「ほら、そんなことよりさっさと風呂入ってきちゃいなさい。汗だくで見てるだけで気持ち悪いわ」
「率直に言うよな、母さんは」
「今更でしょ」
「そうだけどさ」
できるならもっとこうオブラートに包んで言ってくれないだろうか。俺でも傷つくときは傷つくんだがな。まあ今回はそうでもないけど。
「はぁ。了解、風呂入ってくるわ」
溜め息を一つ吐き出して俺は風呂に向かう。元々そのつもりで下りてきたので準備はしている。
脱衣所の扉を開けて、服を脱ぎ、いざ風呂へ、というところで―――
「―――――――――」
何かを感じた。
それが具体的に何かは分からない。だが、それは例えるなら異物感。
まるで何かが自分の内側に入り込んできているような、そんな―――
◇
圭たちの住む藤沢市は瀬戸内海に面した場所にある。
全体的に田舎臭いところはあるが、かと言って何にもないわけではない。探せば大体の店はある。都会とは言えないが、かと言って田舎とも言えない。そんなえらく中途半端な市だ。
主に漁業、農業、工業で成り立っており、最低限を残してIT関係の会社は存在していない。それは昔からのことであるらしく、つまりは伝統だ。思想的には古臭いとも言われそうだが、市の東側に西暦2066年現在日本でも有数の穀倉地帯を保有しているので括りとしてみれば非常に重要な場所とも言える。
市の中心には深船川という川が通っており、市に住む者たちはその川を境にして東側を東区、西側を西区と呼んでいる。
その人影は東区のとあるビルの上にあった。
夜風に靡く金髪は肩ほどの長さ。ぎらつく双眸は血のような赤色。明らかに日本人ではない。その割には少々身長は低めではあるが、反面その体は服の上からでも分かるほどの筋肉に鎧われている。
男だ。まるで軍服のような改造の施された、おそらくは僧衣であろう服に身を包み、眼下の街を睥睨していた。
その様はまるで飢えた肉食獣のよう。近づくことさえ恐ろしく感じてしまうほどの狂念を男は発している。
「随分稚拙だな、おい」
そんな男が吐き捨てるように言った。
眼下に広がる街で行われていることは男とて理解している。ついでに言えばそれが罠であることも分かっている。誘い出す対象は己で、目的は自身の討伐であることも当然のように知っている。
そのうえで言わせてもらうが、その罠は余りにも稚拙だ。誰にも分かる、とは言わないがそれでもある程度の修羅場を潜れば明らかな罠だと見破れる。
罠にかける気があるのか。そんなものではかかるものもかからないだろう。
「流石にこれはねぇだろ。馬鹿じゃねぇのか。こんなもんで俺を嵌めようなんざ百年はえぇ」
男の研ぎ澄まされた嗅覚はこういうものに強い。おそらく経験からくるのであろうが何となく分かるのだ。だからこそこんな程度の罠は役不足もいいところである。
舐められている。男の感想としてはそんなとこ。お前ならばこの程度で十分だろうということか。
そもそも分かりやすすぎるのだ。隠密性を一切合財放棄しているとしか思えない。罠として最低限の体裁こそ保ってはいるものの所詮はその程度でしかないのだ。
戦士でこれにかかる奴はいない。そう確信できる。
だが―――
「はンッ」
男もそこで気づいた。
ああなるほど理解した。つまりはそういうことか。
男は鼻で笑い飛ばす。これを仕掛けた本人の意思を思って。
「つまりは招待状かよ。えらく遠回しなもん送り付けてきやがって。ああ、そうだよな。テメェらは確かにそんなことが好きな連中だ。付き合うのが面倒くさくなるタイプだ」
となれば誘いの意味も違ってくる。これはつまり罠と言う体裁をもった決闘状だろう。どこかの国では手袋を投げつけることで決闘を申し込んだというが、これはそれと似たようなものだ。
となればこの稚拙さにも納得がいく。個人的にはもっと風情があった方がいいとは思うが、かと言って完成度が高ければ乗らなかった可能性も高い。男は自分自身がそういう性格だと理解していたし、当然間違ってもいない。
「いいぜ、上等だ」
男は低く呻くように言った。
次の瞬間男の足元のコンクリートに罅が入る。
動作なんて何もない。男の体は不動であり、動いているのは口だけだ。物理法則的にこんなことはありえないし、かと言って偶然で片付けるには余りにも都合がよすぎる。
男の狂念がさらに純度を増していく。ぎちぎちと、その体が軋むような音が響いた。
誘われたのなら受けてやる。ああ、そうだ。そういうアプローチは別に嫌いじゃない。回りくどいのは好きじゃないが、要はお前ら、俺と殺しあいたいんだろう。
罠に真っ向からかかってやるほど男は甘い人種ではない。だが、こういうのは好きだった。それはそういう人種だ、という余りにも分かりやすすぎる理由であり、意味としてはそれだけでしかない。
傍から見ればただの無謀。愚か者の原理である。何せわざわざ罠と分かりきっているところに突っ込むのであるから。
「受けてやるよ。泣いて喜べ。わざわざテメェらの都合に合わせてやるんだからよォ!!」
叫ぶと同時に男の姿が掻き消えた。
次いで落雷かと聞き違えるかのような大轟音。
それは移動の音であり、男の足が今の今までいた建物の屋根を踏み抜いた音だ。必然、先ほど姿が掻き消えたのは余りの移動の速度にそう錯覚したという話。
ありえない。そう思えるほどの移動速度であり、実際ありえなかった。少なくとも人間の限界値など軽く無視している。大轟音を轟かせて建物の屋根から屋根へと、屋根そのものを蹴り砕きながら移動する姿は人の皮をかぶったなにかにしか見えない。
異形の疾走。もしこの光景に名前を付けるならそれだろう。少なくともこの姿を見て男を人間と思う者はいまい。
夜の闇を男は駆ける。目指す場所は戦場だ。
「来た」
少女は疾走してくるそれを知覚して、思わず小さく呟いた。
どうやら向こうは上手く誘いに乗ってくれたようだ。そういう性格だと理解しているし、ほぼ間違いなくかかるだろうということを分かっていてもこうして実際に計画通りに進んだことに安堵の念を隠せない。
あとは自分次第である。だから全身全霊でもって殺すのみ。それで終わりであるし、終わらせなければならない。でなければ意味がない。
少女は自分の右手に携えた得物を覆う袋の紐を解いた。開いた袋の口から本体を取り出す。
それは日本刀だ。鍔はなく、黒色の鞘と柄で構成されている。もう少し造形を変えれば隠し武器として使用できそうな意匠である。
まだ抜かない。鞘ごと右手で握りしめる。また構えもしない。泰然と、自然体で立つだけだ。
しかし同時に少女に隙は存在していない。今の少女に迂闊に攻撃しようものなら即座に反撃の一刀で断ち切られることだろう。そう理解させられるほどの領域に彼女はいた。
その武威は全て、奴を殺すためだけに磨いたものだった。
待ちわびた待ちわびた待ちわびた待ちわびた。ああ、とうとうだ。ようやくお前を殺せる。
静かに高められる殺気。外面の不動と比して内面のそのなんと苛烈なことか。とても少女が発していいものではない。
連続する落雷のような大轟音。奴が移動のたびに発しているそれを少女の聴覚もとうとう捉えた。流石に速い。身体能力の強化度合いが器の中でも並はずれているという事実を改めて理解する。
入った 。
少女がそれを認識した瞬間響いたのは何かが引き裂かれたかのような音だった。仕掛けていた罠が強引に破られる。元々器に仕掛けて本来の効果が発揮出来るような物でもないのでそれ自体は納得だ。それでも無造作を通り越して通過の衝撃だけで罠を破り捨てるとは、流石と言うほかない。罠は認識されやすいようにしていたが、強度的にはそれなりのものだったのだ。それこそ少女であればほんの僅かな時間とは言え動きが止まってしまうほどの。
まあつまり、それほど桁外れだということなのだろう。あの時とは違い、こうして戦士として奴と相対すればその桁外れっぷりが改めて理解できた。無論少女に負ける気なんてなく、それ以上に恐怖もない。戦う以上は何があろうと殺すまでだとしっかりと理解している。
大事なのはその覚悟だ。単純な力量差と言うのは恐ろしいかもしれないが、それで臆してしまえばいつまでたっても勝てなどしない。
「随分と待ちわびたわよ」
先ほど心の内で呟いた言葉を今度は口に出した。
時間にすればわずかに十年。先達たちが戦い続けてきた時間と比せば些細な時間であり、必然的に己は若輩としか言えないだろう。所詮は未熟者であり、それは何よりも己自身が分かっているとことである。いくら先達たちよりお前は天才であるとその才能を褒められたところで、その事実は突き崩せないし、積み上げてきた経験は才能だけでひっくり返せるほど安くはない。
それでもやる。やらねばならない。ここまで来れば最早理屈ではないのだ。
傍から見ればただの無謀。愚か者の原理である。少女のそれは遠回しな自殺に近い。
それでも―――
「テメェか」
そして、狂気が落ちてきた。
着地の衝撃でコンクリートの地面が陥没する。中心の深さは少女の腰ほどのものだ。それが降ってきた男を中心にして半径四、五メートルの円として広がっている。
自重、ではない。男がそれだけの速度で落ちてきたということの証明であり、それだけの速度で地面に降りたということである。
当然、それほどにもなると人が耐えられる衝撃ではない。どれ程上手くいったとしても確実に下半身はグシャグシャになる。普通に考えるのであるならばそのまま即死だ。重心移動がどうとか、衝撃を逃がすのがどうとか、そういう小細工など通用するものではない。そんな領域の事象なのだ。
だがしかし、男は全くの無傷であった。傷などほんの些細にも負ってはいない。
少女の前方、距離にして七メートルほどか。降り立った男は視線を少女へと向けている。
「あんな遠回しな招待状送り付けてきやがったのはよ。七面倒くせぇ手法取りやがって。もうちょいストレートに言いやがれ。この程度、わざわざ恥ずかしがるようなことでもねぇだろうが」
と、言いながらも男の顔は笑っていた。
言葉でそう言いはしても結局余り重要だとは思っていないのだろう。決闘は決闘であり、それを申し込む意図さえ分かればいい。手順と言うか、そういうのがより洗練されていれば完璧だが無ければ無いでも問題はないのだ。
「悪いわね。これでも初心なのよ。男の口説き方も誘い方も知らないの。だから私なりに精一杯趣向を凝らしたつもりなのだけれど」
「50点だ。もうちょいどうにかしやがれ。悪かねぇがいいとも言えねぇ。えらく中途半端だ」
「そう。なら今度からは善処するわ。もっとも、次があるかどうかは知らないけれどね」
少女が笑む。男と同じように笑む。男が肉食獣の笑みであるならば少女は毒婦の笑みであった。妖艶で、かつ冷酷な笑み。ともに凄絶であることに変わりはないが、方向性は真逆であろう。
「面白れぇ」
ククク、と声を押し殺すかのように男が笑った。
ゴキリ、と首を鳴らす。同じように手も。
「いい気概だ。俺に向けてよくぞ言った。待ってたぜ、テメェみたいな奴をよぉ。最近の教会の奴らはどいつもこいつも歯ごたえがなくて退屈してたんだよ。芯の無ぇ狂信者の相手じゃ満足できねぇ。食いでがないってのは致命的だろう」
発散されていた男の殺気が指向性を持っていく。無差別なものから収束していく。向けられるのは当然のように少女だ。ただでさえ濃かった殺気が桁外れに濃度を増していく。
「…………」
少女は言葉を返さなかった。男の殺気に当てられたわけではない。確かに強烈であり、気をしっかり持っていなければ飲まれそうではあるがだからと言って耐えれないというわけではないのだ。
少女には分かる。これは男にとっての当然なのだ。殺気を垂れ流し続けてはいるもののそれが平素の彼なのであって、本格的に殺気を発散しているわけではない。人間にとっては何気なく呼吸しているのと同じようなものであり、端的にただ生きているだけなのだ。
少女が沈黙したのはその殺気に、十日前のことを思い出したからだった。とは言え少女自身が見たわけではなく、一週間前にこの街に来た後に報告で聞いただけの話である。
相応に訓練を積んだ精鋭部隊。総勢五十八名からなる部隊の面々を一蹴した時のこと。ある者は内臓を引きづり出され、ある者は四肢を落とされた後に頭部を粉砕された。体のど真ん中を串刺しにされた者もいるし、首を噛み千切られた者もいる。そのような惨殺死体を量産して、それでも一切怯まない。
そのような存在なのだ、目の前の男は。その精神性からして尋常じゃない。普通じゃない。
分かっていたことではあるが、この殺気で少女は改めて認識する。戦意が昂っていくのを感じた。
「さぁ、始めようかガキ。問答は嫌いじゃねぇが、無駄に時間を引き延ばすのは好きじゃねぇんだ。やるこた最初から決まってんだろ」
「ええ、そうね」
そして構える。男は得物など握らない。徒手空拳。いい具合に弛緩しつつ、姿勢を低くして、まるで獣のように。型としては無形が近いが、それでも何かを感じさせる。
対して少女は鞘から抜き放った日本刀を正眼に。ありきたりではあるが、そういう意味で標準であるが故その構えも洗練されたものであった。
「名乗ろうか。これは決闘だろう」
「あら、そういう趣きも求めるの?」
「当然だ。それが礼儀、そして作法ってもんだろうが」
元々知っていようとそういうのは関係ない。決めれるところは決めるべきだ。出来ないわけではないのだから。
男の言葉に少女は仕方ないわね、と言った風に頷く。両者は端的に己の名前を宣言した。
「ヴィルヘルム・エーベルヴァイン」
「雪野純花」
静かに、そして力強く、言い切って二人は敵目掛けて疾走した。
夜の街で、死闘が始まる。
ヴィルヘルムと純花、両方の言動とかに若干矛盾とかを感じる人が居るかもしれませんが仕様です。その内こいつらの精神がどうなってるかとかも書くんで保留にしといてくれると嬉しいです。