笑わせ屋。
【「笑ってよ。」】
人を笑わせるのが俺の仕事。
ピエロでも、手品師でも、芸人でもない。
そう・・・、
俺はただの笑わせ屋だ。
大体の客は笑わせてきた。
笑いたい、そんなこと言ってばかりの人間を、
俺は何人も笑わせた。
きっと、人間は笑わないと生きていないんだ。
笑わないと、幸せにはならないんだ。
ということは、俺は人を幸せにする人。
俺が『笑ってよ。』そんな言葉をつぶやくだけで
大抵の人は皆笑った。
なんで笑うかなんて知らない。
俺の顔が変だから?
それとも、
俺の声が変だから?
でも、どんな理由であろうと、
大笑いしている幸せそうな顔を見れればそれでいいと
今までずっと思ってた。
そう、今までずっと。
気分がいいな・・・。
天気もいいし、景気もいい。(景気は良くないか・・・。)
「あははっ、××だよね(ワラ」
「そうそう!!面白いよねー!!」
「・・・・。」
あれ・・・?
3人の少女の中、1人の少女が無表情で、無口で
2人の少女の後をついて行く。
・・・・せっかく可愛い顔があるのに、
なんで笑わないんだろ。
『ねぇ、ちょっとキミ。』
「?」
無口な少女が振り向く。
黒の長い髪を揺らして・・・。
そんな動作にどきっとした。
うわっ・・・何緊張してんだよっ///
「何か用ですか?」
『・・・笑ってよ。』
「は?何言ってるんですか?変態ですか?
ちょっ、おまわりさぁーん。」
『いやいやいやいやいやいやいや、そうゆうのじゃなくて!!
全然笑ってなかったから・・・、』
「あぁ、ダメだ、この人やっぱり変態だ。ちょっ、
近づかないでくださぁいっ!!きたなぁい。」
ブチッ・・・・。
なんだこいつ・・・。
俺のことを変態呼ばわりか!?
何様だよ!!
「夕蘭ー。どうしたぁー?」
2人の少女が、ついてこない彼女に気づいて
こちらへ向かってくる。
ぇ・・・、やばくないか!?
うん・・・、やばいな。
「なんかねー、変態さんなんだけどねー。
笑ってとか言い出すの!!きもくなぁい?」
「ぇっ!?、もっ、もしかして・・・、笑わせ屋の・・・・
倉間咲人?ですよね・・・?」
『あぁ、そうだよっ。わかってくれる人がいてよか・・・って。
何でそんなに避けるの!?』
「え。だって、倉間咲人は変態だって有名だから。」
「ちょっ、行こうよっ!!こわぁい!!」
「うん。そうだね。いこっ!!」
そう言ってそそくさと3人の少女は走っていった。
ぇ・・・・、
なんか、ナンパ失敗した男の子みたいになってるよ?
まぁいいか・・・。