下校後のひと時……え?
部活の事がありながらもなんとか放課後を迎えることができた。
今の気持ちを言葉に表すとすれば誰かさんみたいに「感謝感激針の雨だぁ~」といったところだと思う。
そして何故、なんとかが付いているのかというと、途中で岡本先生に振り回されたり、こっそり買ったお茶を教室でぶちまけてしまったりと色々あったわけだ。
それに結局部活を諦めることにした。
不幸にも程があるんじゃないのかな。
「何をブツブツ言ってんだ?」
「あ、悪い悪い。で、どこまで話してたんだっけ?」
「どうしてお前が女なのかというところまでだ」
「そこまで話したのか……っておい!! 俺は一言もそんなことを言った覚えは無い!!」
くそっ!!
こいつにはいつも振り回されてばっかだと思う。
俺はいつか聞いてやるぞ!!
何故、お前は変態なのか?とな。
「さっきから百面相やってどうしたんだ? もしかして演劇部の練習か?」
「違ーう!! 俺は部活には入ってない!!」
「じゃあニートか?」
「それは違うと思う……」
なんだろう、俺は一体どこのポジションについてるんだろう。
ボケ? ツッコミ? それとも……
「男の娘」
「男の娘? って違う!! 俺に男の娘なんてポジションは無い!!」
いきなり男の娘ってなんだよ!?
男の娘って最近有名な……なんだっけ?
んまぁいいや。
「ていうかお前俺の心でも読んでるのか?」
「んなわけあるか!! お前が何かブツブツ言ってるのを聞いただけだ」
「変態が!!」
「へ、変態だと!? 今の会話の中で一体どこに変態と言われる要素があるんだ!?」
相変わらずだなこの賢治は。
ていうかこの会話って下校中にするもんなのかね?
「ま、まぁ、そんなことは置いといてと、俺はこっちだからじゃあな」
「え? あ、うん、おう……」
それだけ言うとせっせと帰ってしまった。
まぁ、それだけ変態という言葉が効いたんだろうな。
そんなことを思いながら一人で「あ痛っ!?」……石ころにつまづくのであった。
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「それでこんなになるわけ?」
「いいえ……」
俺は家に帰ったと同時に妹である舞衣から説教を喰らっていた。
何でも服がボロボロだからだそうだ。
確かに服はボロボロだけど説教されるほどか?
「とにかく……制服なんだから大事に扱ってよね」
「はい……」
と、思ってたらいつの間にか説教は終わっていた。
やっと一息つけるぜ……
「兄ちゃんこれなんだ?」
そう言いながら翔太がやってきた。
その手には……
「そ、そいつだけはダメだぁ!!」
なんと隠してあったはずの青春のバイブルだった。
「なぁこれなんなんだ?」
「翔太!! 今すぐ返せ!! アーユゥースタンドゥー!?」
「兄ちゃんそれじゃあ世界の方になるぜ」
「うぐっ…とにかくそいつを返せぇぇぇぇぇ!!」
何で翔太はいつもこういう俺の大切な物を見つけては俺に見せてくるんだ。
一回優奈と家で遊んでたときに青春のバイブル持ちながら来た所為で絞められた思い出がある。
実は優奈は空手と柔道と合気道をやっていたりするからすごい。
しかしながら本当に油断ならない弟だと思う。
それからギャアギャアと騒がしく弟と追いかけっこをした結果、今度は舞衣に見られてしまう羽目となった。
俺はどうしてこう、不幸なのだろうかと思った。
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「はぁ疲れた……」
そう呟きながらベッドにドサッと倒れ込む。
今日は散々だった気がする。
学校ではBLの対象にされ、下校中に犬に追っかけ回されたり、石ころで転んだり、家に帰っても弟がやらかすしと色々と大変だったのかもしれない。
もうこのまま寝てしまおうと思ってた時だった、
「お兄ちゃんお話があります」
「んぇ? どうかしたの……か……」
妹の舞衣が去年のテストを持ってやってきたのは。
テストにはすべて1点と書かれていて、何故か英語だけは2点だった。
「これはどういうことなの?」
と黒いオーラを出しながら聞いてくる。
今夜は寝不足になるかもと思った俺がそこにいた。
主人公である祐也君はなんと英語も間違える程でした。
ちなみに足し算もロクに出来ません。