俺の名は小床木バン!!!!
「おのれ…小床木バン(おとこぎばん)まさかこれ程の力を秘めていようとは…」
「ここまでだ!ブラックタイガー!猫野目博士を解放し、降伏して罪を償え!」
断続的に灯る赤いランプと警報を鳴らしながら、崩壊し続けるブラックタイガーの秘密基地の中。俺は纏わりつく黒服の戦闘キャットを前足のパンチで蹴散らしつつ、奥に倒れる黒い虎毛に歩みを進める。
「認めん…認めんぞ…たかがイエネコの化身である貴様が虎の力を持つ俺を倒すなど…」
「貴様を倒したのは俺だけの力ではない…」
「何だとぉぉ…」
「俺の中には、貴様に利用され、使い捨てにされた6将軍の力と魂、そして親友であった片目の吉宗。さらには、貴様と俺の師でもあったマクシミリアン先生の魂が宿っているのだ!」
「くっ…裏切り者に死にぞこないの老いぼれの力だと」
「そのバカにした老いぼれの力を受けるがいい!変身ッマクシミリアン!!」
――パンテェラ・チェンジ!mode…レオ!!!――
俺の首輪から流れる清らかな女性の声と共に、俺の体を一瞬で金色の光が包み込み、辺りを眩しく照らす。そして光が引いた後、そこに居たのはがっしりとした体格に豊かなタテガミを持つ雄雄しきライオンの姿だった!
「くそう、他猫の手を借りる、猫かぶり野郎め!」
「なんとでも言うがいい、喰らえ、キングスブロー!」
唸りを上げて黒虎を張り飛ばす俺の右前足。
右頬に先生から授かったレオ・パンチを食らった黒虎は、哀れ勢いよく吹っ飛ぶと、『ズガン』と壁を砕き、隣の部屋にまで飛んで行った。
「これは・・・猫野目博士!!」
黒虎が突っ込むことで開いた穴の先には、頭にコードが付いたヘルメットを被らされた猫野目博士がベットに横になっており、そのコードをにつないだパソコンの前で研究猫が一心不乱にマウスを操りながらキーボードを叩いていた。
「まだか…まだ解析できんのか…」
「ちょっと待つニャン!今、エリアボスと戦ってるところニャン!」
催促する黒虎に叫び返す白衣の研究猫。
エリアボスだと…こいつらは猫野目博士の脳からいったい何を…
そう俺が思ったその時。
「やったニャン!レアモンスター討伐成功ニャン!」
その言葉と共に、壁一面に張られていたディスプレイがもやもやと霞がかった様に不鮮明になり、強烈な光と共に、俺や黒虎、猫野目博士を含む数十ネコと一人は薄汚れた石造りの部屋にいた。
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なんだか…ずいぶんと長い時間寝ていたような気分だった。
その間に、何匹ものネコが俺のそばから離れて行った気がした。
いつの間にか俺の変身は解かれており、なぜか黒虎も体の傷が癒えているようだ。
「貴様!今まで一体、何をやっておったのだ!!」
俺のそばでは黒虎が白衣の研究ネコの襟首を掴み、吊り上げながら怒声を上げている。
「ゲームにゃん!ずっとやりたかったニャン!今まで休みなしで働かされたたんだから、文句言うなニャン!」
白衣の研究ネコはそう言うと、後ろ足で黒虎の腹を蹴りあげる。そして予想外の反撃に手を緩めた黒虎の隙を付いて、石の床を走り抜けて部屋を出て行った。
「万策尽きたな…ブラックタイガー…覚悟しろ。変身ッマクシミリアン!!」
俺は両前足を交差させると、黒虎に正義の鉄槌を下すべく再びライオンの姿に…
…あれ?変化しないぞ?
「変身ッマクシミリアン!!」
「………マクシミリアン!!」
「マクシミリアンに変身っ!」
「じゃあ吉宗でもいい!」
「オイッ!反応しろ!!!」
首輪をぺしぺし叩きながら変身を促す俺。
しかし、首輪は何の反応も返さずに鈍く銀色の光を放つのみである。
「ほう…どうやら被ったネコが剥げたようだな!!」
俺の変身が上手くいかないのを見て、威勢を取り戻す黒虎。
「くっ…舐めるなよ!他猫の手を借りずともこの『小床木バン』!悪を成敗して正義を知らしめてくれるわ!」
変身を諦め、後ろ足だけで立ち、師匠直伝の拳法の構えを取る俺。
「ふっ…黒でも白でもネズミを捕るのが良い猫だという名ゼリフをその身に教えてやろう!」
そう言って、黒虎の体は巨大な虎の姿に変化する。
そして互いに突っ込む2匹。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
黒い獣と白い獣、二つの体は交差し、数十秒の後に辺りは静寂に包まれた…
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さっきNHKの嵐の番組ででた、被災地のご当地ヒーローショー見てたら
変なインスパイア来た。
その結果がこれ。