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初めて畑を作りました


「私は自然農法のマニュアルを作成しますね」


やっと再起動した龍二であったが、坂本の事は無かった事にする様である。


「ソル、私たちは畑を作りましょう?」


『さくらは経験があるの?私は肉体労働はしたことがないわ。』


「実は私も農業はさっぱりわからないのよね。ネットで調べようかしら。」


何とも行き当たりばったりの、さくららしい無計画さであった。


「見本を見せましょう。」


龍二は玄関横の収納スペースから、剣先スコップとクワを取り出し、外に出た。


「先ずは場所の選定ですね。いくつかのポイントがあります。」


ソルは紙とペンを用意してメモをするようだ。


「一つ目は、日当たりです。最低でも1日6時間の日照が欲しいですね。出来るだけ日陰にならない場所を選んで下さい。」


『ふむふむ。』


「ここなんてどうかしら?」


「そうです。良いですよ。次に水はけの良し悪しです。雨の日に水が流れ込んでこない事が望ましいですね。テントを張る場所と同じです。」


「それじゃあ、あそこの方が条件に合うわ」


「場所が決まれば、草刈りをしてから耕します。そこまでやってみましょう。」


「えっと。ここからこの辺までね。」


さくらはスコップを刀の様に構えて、横に薙いだ。


サシュッと一帯の草やら少し太めの木も一緒に薙ぎ倒す。


龍二は、四方にロープを張り、更に90cmごとにロープで区切った。


「最初は畝作りです。畝の両側を20cm掘り下げて、かまぼこ状に積み上げていってください。こんな感じですね。」


身体能力の上がっている隆二は、サクサクと幅90cm、長さ10m程の畝を作った。


「草の根が上を向くようにするのがコツですよ。後は少し手でほぐしてあげれば完成です。」


「割と簡単ね。」


「そして一番大切なことは、大地に、恵の神様に感謝しながら行うことですよ。畑作りとは、ご神事です。それを忘れてはいけません。」


『祈りを込めて豊作を願い、大地の恵みに感謝するのね。』


「そうです。そこに祈りがなければ、ただの寄生行為ですよ。やることは同じでも、意味は全く違います。」


「そうね。まずは恵の神様にお祈りするわ。」


三人は畑に向かい、恵の神様にお祈りをする。


「恵みの神様。この土地で作物を育てます。素人ですが一生懸命お世話しますので、どうか、美味しい野菜をたくさんお恵みください。」


すると、キラキラと温かな光が畑全体に降り注ぎ、恵みの神様の祝福を得られたようだ。


「恵みの神様。祝福に感謝申し上げます。」


『さあ、残りの畝もがんばりましょう。』


さくらとソルは心を込めて畝を作った。素手で土に触れ、美味しい野菜が育ちますようにと願いを込めながら、合計で5本の畝が完成する。


「そうだわ、仙桃の種を植えましょう?」


『そうねどこが良いかしら?』


「あら?ソル、あそこの地面が光っているわ。」


『まあ!きっとあの場所に植えなさいって事かしらね?』


その場所は家から少し離れていたが、日当たりはよく耕してみると案外ふかふかの土であった。


少しこんもりと耕した後に、周りにサークル状に石を並べ、そこに仙桃の種を一粒植えた。


「どうか元気に大きくなってね」


『私も美味しい桃がたべたいわ。がんばって!』


一生懸命耕した畑に、ぴーちゃんとクロから貰った大切な種である。さくらとソルにとっては自分達の子供の様に思え、健やかな成長を願わずには居られなかった。


そしてその後、マーサからもらった種も丁寧に畝に撒いて、初めての家庭菜園が完成したのだった。


二人とも手は土だらけになり、顔も爪の間も真っ黒になっていたが、やり遂げた満足感でいっぱいであった。


『大変よ!さくら!お水をあげるのを忘れていたわ!』


まだまだ初心者の二人。そんな様子も龍二は微笑ましく眺めているのだった。



次回『不思議な夢を見ました』

来週の土曜日更新します!お楽しみに!

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