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さくらは思いっ切り泣きました

「ねえねえ…坊ったら、いきなり大きくなっちゃってさ…何だか雰囲気変わっちゃったわよね…」


「もう!…空気読みなさいよ!…ホントにさくらったら…」


さくらはコソコソとソルに話しかけるが、コソコソと怒られてしまった。だが、それでもさくらは我慢できない様子で興味津々にチラチラと坊を盗み見る。


「そんな事より世界樹よ。これは凄いわね…」


そうなのだ。朝は精々人の背丈ほどであった世界樹は、今はもう見上げてもその先端までは確認出来ないほど成長している。恐らく数十km離れてもその姿が見えるであろう。


「素晴らしいですね。恵みの大地の世界樹には及びませんが、間違い無く鏡面界では一番の巨木です。」


さくらの後で龍二が感嘆している。


一行がその根本に辿り着くと、坊は紅牙達を世界樹に触れさせる。


「俺はお前達、時の民に助けられた。そのせいで俺の巻き添えになって、時の民は大切な繋がりを断たれてしまったんだ。」


「…これは!!」


大地から湧き出るように無数の光の玉が現れ、紅牙、青牙、詩織は世界樹と共に青い光に包まれて行く。


「世界の…星の記憶に触れてくれ。そして、その心の歪みを溶かして欲しい。世界に忘れ去られたこの俺に、唯一手を差し伸べてくれた心優しい時の民。俺は決して見捨てはしない。」


そして三人は光と共に世界樹に吸い込まれる様に消えて行った。


マリカはトテトテと世界樹に近付くと、その根元で瞑想を始める。

マリカの緑の髪の毛は大地に根ざし、まるでツタのように葉を茂らせて、見る見るうちに世界樹と一体となっていく。


「…何と…彼等は神に逆らい、坊様を助けた民の末裔であったとは……」


龍二は余りの衝撃に、思考の整理が出来ずにいた。


「ああ。本当に昔の話なんだ。まあ、座って話そうぜ。」


そして坊はゆっくりと語りだす。


「俺達家族はさ……」


『宇宙』は初めに『愛』のアコ、『次元』のテラ、『源』のカイ、『理』のレイヤ、『調和』のマリカ、そして『歪み』のロキの六人の家族を生み出した。

その家族は『幸せ』と呼ばれ、『幸せ』とはその家族の事であった。

しかし『宇宙』は、『歪み』の存在を皆が認識出来ないようにして『調和』以外の記憶から消してしまったのだ。その真意は解らないが、それによって『幸せ』は存在しなくなった。

孤独な『歪み』は『幸せ』の家を離れ、一人旅に出る。

だが、世界から忘れ去られた『歪み』は禁忌とされ忌嫌われてしまう。


ただ時の民を除いて。


彼等は、『調和』の民であった。故に『歪み』を忘れてはいなかったのだ。


そして、彼等は世界樹に集い『歪み』と共に『宇宙』の果てに旅立ったのであった。


「俺はその事を、今迄忘れさせられていたんだ。彼奴等(あいつら)が気になって鏡面界まで会いに来たのは、大切な彼奴等を思い出すためだったんだろうな。」


「そんな…うっ…うっ…」


さくらはその話を聞いて、涙が溢れて止まらなかった。

『宇宙』とは、どうしてそんなに酷いことをするんだろう。

そして、あれ程敵対していたトカゲにさえも、もう以前のような嫌悪感を抱けなくなっていたのであった。


次回!

『紅牙達は深い深い海に沈んで行きました』

お楽しみに!

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