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龍二さんは大きなトカゲを捕まえました

次回!

『天を巡る民は大地へと帰りました 前編』

お楽しみに! 

北海道の山奥の廃村。その背後の霊山に、半ば崩れ落ちた小さな寺がある。

人の気配の無い蜘蛛の巣が蔓延るその薄暗い本堂で、景色の染みの様に坐禅を組む一人の男が居た。


「……青牙……愚かな……」


その呟きと共に男の輪郭はボヤけ、闇に溶けて消えて行った。


−−−−−−−−−−−−−−−


「青牙様、いよいよ動く様です。」


詩織は並べられた複数のモニターに映る監視カメラからの映像を見ながら、振り返りもせずにそう言った。

坂本達が拠点としている上士幌の牧場から1キロ程離れた山の中。運転席以外は全て塞がれた見るからに怪しいマイクロバスに詩織と青牙と呼ばれた男はいた。


「ああ!?彼奴は宮川じゃねえか!?何で彼奴がいるんだ?」


「…気づかれましたね。目が合いました。」


「そんな訳あるかよ。それより出て行く車の追跡をしろ。」


「…そうですか?全車の動きは衛星で把握しています。周辺に待機させている者たちを付けましょう。問題有りません。」


「何だよ」


詩織は今度は振り返り、ジッと青牙を見つめている。


「…貴方、以外と無能なんですね?」


「何だよ、はっきり言え!」


「…気付かれたんですよ?追跡よりも、先ずはご自分の心配をされてはどうかしら?」


その瞬間、ガコンッ!!と車が傾いた。


詩織は防御の体勢を取っていたが、青牙は車内のあちこちに頭や體を強く打ち付けてしまう。


「あがっ!クソッ!なんだ!」


強い衝撃にモニターが落ちてしまい真っ暗になった車内であったが、すうっと一筋の光が溢れると、ズルっとマイクロバスが中程から二つにズレた。


「ごきげんよう、青牙様。ご無沙汰しております。」


「み、宮川!!」


その切り口から姿を現したのは、1キロ先の牧場に居る筈の龍二であった。


「それに貴女様は、詩織様でしたか?」


龍二がサッと手を振るとマイクロバスの上半分が、サラサラと砂のように崩れ落ちる。


「ひぃっっ!!」


詩織を見ると蛙のように仰向けにひっくり返り、口から泡を吹いて失神している。


「ま、待て!!俺達は敵対しない!!」


「フフッ。それはどうでしょうね?それにそれが本当だとしても、個人的な恨みが無いとも思えませんが?」


龍二はほんの少しだけ抑えていた怒気を解放すると、青牙も白目を剥いて失神してしまった。


「ふむ。青牙様は以外と鈍いですね…さて、どうしましょう。」


龍二がこの二人の扱いを考えていると、水鏡が現れて坊とソルがやって来た。


「龍二!でっかいトカゲを捕まえたな!でも、コイツがトカゲ?何だかカエルみたいだな!」


坊は仰向けに醜態を晒している詩織をしげしげと見て、ふむふむと頷いたり首を傾げたりしていた。


「この二人は数少ない現存する純血のトカゲの一族で、純血の龍の眷属である私の一族とは昔からの因縁が続いていたのです。まぁ、一族の長と言ってもこの程度ですが。」


「何だか毒気を抜かれてしまったわ。もっと厄介な相手だと思っていたのに…はぁ。で、この人達はどうするの?」


「せっかく来てくれたんだから、友達になろうぜ!」


「もう!龍二はそんなふうには思えないでしょ!昔からの因縁があるって、今言ってたじゃない。」


「いえいえ、それは良い考えかもしれません。私は構いませんよ?何と言っても、『歪み』の坊様ですから。」


「あははは!龍二、変わったな!」


「…私達は成長する事が出来る…ですからね。」


「そうね。『歪み』と『調和』の神様が居るんですもの…そうだわね。」


「そうさ!カイだって、きっと同じ事言うに決まってるって!」


「では、連れていきましょう。」


龍二がクイッと手の平を上に向けると、気絶して居る二人はフワリと宙に浮かび上がる。

そして、龍二達はその二人を連れたまま水鏡を潜って牧場へと帰って行ったのであった。


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