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坂本さんは水鏡を覚えました

結びの回廊の一層目。シリウスのメンバー達は基礎訓練を終え、次の課題を与えられていた。


「繋がりを強く感じられる人や場所を思い浮かべて下さい。そして自分との繋がりを辿るのです。繋がりに距離等は関係ありせんから、離れているという先入観を捨てて下さい。」


数日間の瞑想の成果により、皆の繋がりを感じる感覚は研ぎ澄まされている。それぞれ大地に横たわり、己の繋がりを辿って行く。


「一つ辿れたならは、もう一つ、と幾つもの繋がりを辿るのです。その感覚を養いましょう。」


坂本が辿る繋がりは、勿論ソルである。身内も居らず、親しい友人は皆この場所に居るのだから無理も無いが、それ以上に坂本の心はソルが独占していた。


『あら?シュウじゃない。フフフッ、真面目に鍛錬しないと龍二に怒られるわよ?』


「な!ソルじゃねえか!?」


坂本はいきなり頭の中にソルが話しかけてきた事に驚いてしまった。


「……貴方達は、まあ何と言うか、何時も繋がっていますからね。」


事情を察知した龍二は呆れた様にそう言うと、


「ふむ。少し早いですが、坂本から始めますか。では、そのまま恵みの神様にソルと結ぶ水鏡をお願いして下さい」


「あ、ああ…」


薄っすらと現れた水鏡は、ゆらゆらと揺らめいて直ぐに消えてしまう。

それでも、坂本にとっては生まれて初めて発現した転移魔法であった。


「おい!宮川見たか!すげぇぜ!」


興奮した坂本に、周りのメンバー達も歓声を上げる。転移魔法としては失敗であるのだが、この周囲を巻き込む熱気は、実は坂本が知らずのうちに使っている士気を高める強力な支援魔法であった。


「流石に飲み込みが早いですね。繰り返してみましょう。そうそう、ソルは手助けしては駄目ですよ?」


『……はい』


今度は皆にも聞こえたのだろう。シュンとしたソルの声に必笑が起こる。


「見てろよ……」


先程と同じ様に薄っすらと現れた水鏡は、今度は消えること無く次第にはっきりと発現した。


「…ははは。やった!やったぜ!」


坂本は余りの嬉しさに子供の様にはしゃぎ、勢いそのまま水鏡に飛び込んで消えた。


「…はぁ…では皆さん、続きをやりましょう。」


龍二は呆れ顔であったが、シリウスのメンバー達のやる気に火を付けるには充分であった。

結局その日の夕方には、残る全員が水鏡をマスターするのであった。



次回!

『さくらの知らない世界 その1』

お楽しみに!

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