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第6話 三人のこれからについて。

「……で?私たちと別れた後?ダンジョンコアと命を共有して命を救われた、と?

 ハイスピードにもほどがない……?何でそうなったの……?」


 そんな姫奈の疑問を他所にDはいえーい!!と能天気に笑いながら両手でVサインを作ってドヤ顔をしている。そんなDを横目で見ながら、瑞樹は頭痛を感じながら自らのこめかみを指で揉み解しながらも姫奈に対して話しかけていく。


「何でだろうねぇ……。それは俺も知りたいんだけど、とりあえず君には力を貸してもらいたい。治癒魔術をかけてもらった恩義もあるし……。何よりこの子を俺だけで抑えきれる自信がない……。」


 一見無邪気で能天気ではある彼女だが、人間の本性、本音を見たいという悪癖を持ち、その悪癖を露わにしてリミッターである瑞樹を暴走させかねない。

 瑞樹自身も自分の感情を抑えられるか自信がないため、外部から抑え込んでくれる、冷静な指摘ができる人物を必要としていた。

 しかも、自分の今の状況を把握して自分の味方になってくれる人、それはこのプリーストである姫奈しか存在しなかったのである。


「ええと……ということは私は許してもらえるのかな……?」


「うん、というか俺は君のことは恨んでいないし、数少ない味方だからぜひ力を貸してほしい。俺一人だと彼女の制御がどんな事になるか不安だし……。色々冷静なアドバイスとかもらえると嬉しい。」


「あ、ありがと。本当にありがとう……。これで少しは気が楽になったわ……。」


 姫奈はほっとした瑞樹のその言葉を受け入れる。彼女自身死体を回収して家族にどんな酷い事を言われるか覚悟しながらこのダンジョンに再度突入したのだ。それがまさかこんなことになるとは全くの予想外だっただろう。


「しかし……とりあえず現状は理解でたけど……これからどうしよっか?とりあえず迷宮高の先生に報告するしかないじゃん……?正直、私たちの手には余りそうだし……。」


「うーん、そうだよなぁ……。このままこっそり秘密で……とは難しいもんなぁ……。ちなみに、このダンジョンでダンジョンしか産出できない貴重金属とか生み出せるの?」


「ん~?まあできなくもないけど……。やっぱりダンジョンがしっかり根付いた状態じゃないと難しいかもね。でもいくら相棒でもタダじゃやだな!!やっぱりそれなりの代価を貰わないとね!!運命共同体であって奴隷じゃないから、こっちから徹底的に絞り取るのはなし!かな。」


 Dの言っていることは実に全うである。彼女は瑞樹の奴隷ではなく、お互いに協力体制だ。一方的な搾取関係では到底協力体制とは言えない。しかも、実質共同経営でダンジョン運営を行えるのなら、希少金属を生産するプラントさえできるかもしれない。そうなれば今までこちらを馬鹿にしてきた奴らもこちらを大いに見返すことになるだろう。そのための信頼作りのために貢献度を稼いでおかないといけない。


「なるほど……。ちなみに、統治機構についてDを報告したらどう思う?もちろん我々も実験体などにしない、と全力で守る……といいたいけど。」


「私たちもただの学生だもんね……先生ならともかく、学園の上層部……さらに政府の上層部から守れるかといわれると保証できないというか……。」


その姫奈と瑞樹の言葉に、Dは思わず不安そうな顔になる。元々政治家だの国家だのに強烈な不信感を覚えている彼女は、すんなりと日本の統治機構に協力するとは頷けない部分があった。どうしても研究所に閉じ込められてモルモットや実験材料にされるというイメージが強すぎるのだ。


「ええ~。仕方ないとはいえ不安だなぁ……。まあそちらに協力するのはいいんだけど、研究所でホルマリン漬けとか閉じ込められて実験台とかは流石に嫌だなぁ……。その辺どうにかならないの?」


説得の仕方では日本自体に協力するのはやぶさかではないが、やはり信用しきれない、というのが正直な所だろう。

日本政府からしてみたらDは事実上の敵であり、その敵が易々と協力するとなればお互いに警戒するのが当然である。

だが、こちらには「切り札」が存在する。


「そう!俺たちには切り札がある!それは『ダンジョンコアが異世界からやってくる』『異世界からの侵略』って事だ!この情報を上層部に流せば排除はされない……はず。多分。とりあえず様子を見ながら先生に報告するしかないかぁ。」


日本政府にとって、ダンジョン災害は全く未知の災害である。今はある程度対策は行われているが、未だに未知のその元凶を掴んだという情報を報告すれば上層部からも無下にはされないはずである。

それならば、敵の情報を大量に持っている極めて優れた情報収集源として「保護」してもらうのが最善だといえるだろう。しかし、D自身もまだまだ瑞樹たちを信用してはいないだろう。お互いの信頼度を上げることが急務である、と瑞樹は思った。


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