表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Wisdom of Mankind  作者: r3ireiCat
第1章 The beginning
1/1

第1話 The Successor

r3ireiCatと申します。この度は「The Wisdom of Mankind」を見つけてくれてありがとうございます。


処女作で多々読みにくい箇所あると思いますが、日々の更新を楽しみにして頂けるよう作品作りをしていきたいと思っております。


読者の方にとって楽しい時間になりますように。

「お腹すいたね・・・。私たち、いつまでこの生活送るんだろう。」

「・・・。」

「どうしたの・・・?お願い、いなくならないで。私本当に独りぼっちになっちゃう。」

「ごめん・・・。なんかすごい眠いんだよね。」

「そっか・・・。私もなんだか眠くなってきた。」

「うん・・・。一緒に寝よう。お休み。」



時は943年。ソウレス国は世界有数の魔法大国として権威をもっていた。各国が領土争いで戦争中の中、ソウレス国もまた世界制服を目指し、魔法戦士の育成に力を入れている。

魔法戦士の育成は魔法学校で行われる。ソウレス国はノースリア、サウスリア、ウェストリア、イーストリア、セントリアの5地域に分かれていて各地域に魔法学校が1つずつ存在している。

基本的に各地域に住んでいる人間がその地域の学校に通うのだが、セントリア校だけは各地域で優秀な生徒が引き抜かれて通うことができる。

ソウレス国の成人年齢は23歳であり、心身ともに健康な13歳~23歳の子供を全員魔法学校に入学させて教育している。そして23歳での卒業と同時に戦争の軍隊へと入隊させるのである。

国内で魔法が使えるのが魔法学校校内、戦争準備区に指定された場所のみで、それ以外で使うと犯罪者となってしまう。魔法を悪用されないためのそのように定められている。



目覚めがすごく悪い。知らない人と一緒に餓死して死ぬ夢を見た。空腹の感覚まではっきりと残っている。

「ケイ!もう起きなさい!」

母親に叩き起こされて時計を見ると、8時30分を過ぎていた。家から学校まではどう頑張っても30分はかかるので、遅刻するのは確定している。

俺は焦らずいつも通り朝ご飯を食べ、身支度をして家を出た。

「おはようケイちゃん。この時間じゃ学校遅刻じゃないの。」

隣に住んでるアンディおばさんが話しかけてくる。おばさんはいつもこの時間帯に花の水やりをしていて挨拶するのが日課だ。

「おはようおばさん。行ってきます。」

「今年卒業でしょ。頑張るのよ」

俺は今年23歳になる年で、この秋セントリア校を卒業する予定だ。魔法学校では成績優秀な生徒は卒業後に魔法学校の教師として働くことができるような制度もあり、実はそれを狙っている。死んでも戦場になんて行きたくない。

それではなぜ遅刻しても焦らずに登校できるのか。それは、未だかつて誰も持っていない、特殊能力を持っているからだ。

特殊能力とは、キスした相手の未来が見える能力である。

他人の手でも、頬でも、はたまた唇でも。口づけした瞬間に能力が発動し、口づけした相手の未来の記憶が自分の頭に流れ込んでくるのだ。記憶の量はその時によって違う。

分かったのは15歳のころだった。たまたま他国の女王がソウレス国の魔法学校に訪問した際に、魔法学校の代表として女王の手に口づけをしたのが俺だった。

口づけした瞬間、女王が暗殺されるようなシーンが頭に浮かんだ。そのときはまだその現象が何なのかよく分からなかったが、その後女王は本当に殺されてしまったのだ。

また、後日発表された女王を暗殺した犯人の顔が、まさにキスしたときに流れ込んできたシーンの中で出てきた人物だった。

自分が見た記憶の中では確か執事のような格好をしていたが、公開されている情報によるとどこかの国に雇われた殺し屋だったようだ。

そのような一件があってから、何かにつけて他人のどこかに口づけをして確かめたが、自分が見た未来のほとんどが現実となった。

学校の教師に言ったところ、1000年に1人の逸材だとされ学校から特別待遇で迎えられるようになった。



学校に到着すると、魔法歴の先生であるイストワールが授業をしていた。

「ショシアさん、遅いですよ。」

「すみません。遅れました。」

そう言って自分の席に着く。

「おはようケイ。優等生は余裕があるね」

同じ班で隣の席のロディ・キリスが話しかけてくる。切れ長の瞳とシャープな顎でキツイような印象を受けるが、逆に男っぽくて女子からはモテているらしい。

ちなみに、自分が特殊能力を持っていることは口外禁止とされているため、魔法学校の教師以外で知っている人間は存在しない。

「お前とは違うんだよ」

「キリスさん、ショシアさん静かに。座学も大事なんですから」

イストワールが話し始める。

「いいですか、魔法歴はまだまだ謎が多い分野ですが、それを解明することによって新たなる発展を迎えられるようになるかもしれないんですよ。実技を重要視する生徒が多いですが座学も成績のうちに入りますから真面目に受けてください。今日は特段重要な”人類の英知”についてです」

”人類の英知”とは、魔法の起源につながる概念であると同時に、各国が喉から手が出るほど欲しているものでもある。

「今年卒業する皆さんに改めてこの授業をするのは、やはり”人類の英知”を手に入れることによって国としてかなり発展、進歩することができると考えられているからです。そもそも”人類の英知”とは何かについて復習をします。それではショシアさん、”人類の英知”とは何ですか」

隣を見るとロディが馬鹿にしたように笑ってくる。さっき自分だって注意を受けたくせに・・・。

「所説ありますが、人間が今扱っている魔法以外の知られていない魔法だったり、知識だったりが知れるような世界だと言われています。」

「はい、そうですね。キリスさんにも聞いてみましょうか。」

ロディは自分が当てられたことにため息をつきながらも、

「僕はそこに行くと何かしらの最強の力を手に入れられると聞いたことがあります。」

と意見した。

「そうですね。不明なことが多いですが、かつて”人類の英知”にたどり着いた人間、もしくは”人類の英知”そのものの神のような存在が、魔法という力を広めた、もしくは与えたと言われていますね。

魔法が使われるようになってから、”人類の英知”を手に入れるべく各国の戦争が激しくなっています。

ソウレス国存続のため、我が国は他国よりも先に”人類の英知”に辿り着かなければならないのです。みなさんはもうすぐ23歳になり、他国へ行くことが許可される年齢になります。他国で得られる情報もありますので、ソウレス国発展のための行動を心がけてください。」



「私たちも今年で23歳か~。早いようで短い10年だったね。」

魔法歴の授業後、エルミ・チャーキが話しかけてくる。いつも茶髪を束ねていて、その髪を揺らしながら丸くて大きな瞳で見つめてくる。

「エルミは卒業したら何になるの」

「私はヒーリングが得意だから後衛の部隊かも。怪我した人を助けるような部隊。ケイはすごいよね。セントリアの中でも歴代最高評価で教師確定じゃん。セントリアでも教師になれるのは一握りなのに。」

「まあね。俺優秀だから。”人類の英知”について解明して国のトップになりたいんだ」

そう、俺はこの国のトップに立ちたい。自分の特殊能力について知ってから、未来が見えるということは自分の人生を自分の思い通りにすることが可能だと確信した。現に学校では歴代最高の生徒だと言われ、国内では俺の存在を知らない人はいないし、ソウレスの希望ともいわれている。

この特殊能力を使って、23歳になったら各国を回って”人類の英知”を知るきっかけになる人間を探し、その人間の未来を見て、先に俺が”人類の英知”に辿り着くというわけだ。

卒業まであと2ケ月。未来はすぐそばに。



帰宅すると、アンディおばさんがいつも通り花の手入れをしていた。

「ケイちゃんお帰り。ちゃんと授業受けてきた?」

「もちろん。俺優秀だからさ。」

「すごいねえ。私ももうすぐ46歳になるんだけど、23歳になりたいって思っちゃうね。若いって未来があっていいわね。」

「へえ。もうすぐ誕生日なの」

「もう誕生日なんて嬉しくないわよ」

おばさんの手を取って口づけしようとしたが、おばさんは手をひっこめた。

「何するのよ。かっこいいからっておばさんのこと馬鹿にしようとしないでよ」

「ごめんって。誕生日だし敬意をこめてさ」

アンディおばさんは照れたように笑った。

「気持ちだけでもうれしいわ。ありがとね」

俺はおばさんと話を終え帰宅した。目標達成のためにはおばさんにもキスしないといけなくなるのか・・・と少し億劫に感じた。



「お帰りケイ。ちゃんと国のためになる勉強してきた?あなたはソウレスの希望なんだからちゃんとしないと。」

家に入るなり母が諭してくる。母は俺のことを誇りに思っていて学校でのことにうるさい。子供を思ってと言うよりは、できのいい俺が好きなんだと思う。

「大丈夫だよ。任せてって言ってるじゃん」

「そう。頑張りなさいよ」



翌日、いつも通り8時に起床し家を出て学校へ向かう。なにか物足りない気がしたが、朝ご飯が少なかったからかもしれない。

学校へ着くなり、ロディが話しかけてくる。

「ねえケイ。ウェストリアの魔法学校からからセントリアに編入してくる子がいるらしいよ。しかも23歳だから俺らの班だね」

「23歳で編入?もうすぐ卒業の年なのにそんなことあるの」

「わかんないけどさ。どんな子かな」

9時になると、23歳班を担当している担任のシェルビー・メーが教室に入ってくる。シェルビーに連れられて入ってきたのが、ロディが言っていた編入生だろうか。

一目見て何か惹かれるものを感じた。

艶のあるダークブラウンの髪に猫のような大きな瞳。目の色は見たことのない赤っぽいブラウンで、窓から差し込む光を反射して煌めいている。

「今日から23歳班に編入することになった元ウェストリアの生徒だ。あと2ケ月しかないが諸事情で編入が決まった。」

「アンドレア・キイです。よろしくお願いします。」





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ