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ハイパーインフレでお金は紙屑になる

全力でリフレ派、日銀に喧嘩売ってます

リフレ派はインフレを好景気・経済成長と混同しているが、それらは全く異なるものだ。

インフレは「継続的な物価の上昇」であり、同時に『通貨の摩耗』でもある。

インフレが進むほどにお金の価値は低下し、保有者の購買力は低下していく。


日銀の物価目標に従って国民の貯金を毎年2%ずつ減らすのは、巧妙な財産税と考えるべきだろう。

デフレ悪玉論によって国民を洗脳し、インフレ税や官製バブルを良いものと錯誤させるリフレ派の手口は、人類史上かつてないほど悪質である。


コロナ禍の財政出動は、積極財政・金融緩和が引き起こす災禍を明らかにした。

世界各国、特に大きな失業給付を行った米国では強烈なインフレが発生し、実質賃金が低下している。


米国のインフレとはすなわち、『米ドルの減価』だ。

米国人は国債から300ドルの給付金を受け取り、代わりに7.5%の財産税を課されている。

これほどまでに『朝三暮四』という言葉が似合う国はないだろう。


放漫財政は借金の増大と生産性の低下を招き、必ずその国の通貨を犠牲にする。

歴史上何百という通貨が生まれてきたが、その大半はインフレによって摩耗し、消滅している。

ジンバブエドル、ベネズエラ・ボリバル、ギリシャ・ドラクマ、アルゼンチン・ペソ・・・

あらゆる通貨が債務の増大によって摩耗しており、100年間価値を保ち続けた通貨は存在しない。


『基軸通貨』である米ドルは現代において最強の通貨だが、その栄華も永遠には続かない。

同じく基軸通貨であったイギリス・ポンド、オランダ・ギルダーがそれを証明している。


17世紀のオランダは海洋帝国として多くの植民地を持ち、ギルダーは貿易の決済通貨を担っていた。

しかし、度重なる戦費のために多大な国債発行を行い、ギルダーの発行量は銀行が所有する貴金属を超える。

ギルダーを保有しても十分な財と交換できないことに気付いた人々は取り付け騒ぎを起こし、貨幣価値は暴落してしまった。


次の100年はポンドが貿易を支えたが、それも借金によって終焉を迎えた。

戦争や福祉のため多大な政府支出を行った英国はポンド危機を招き、最後はオイルショックで国家破綻。

世界の覇権国家といえども、放漫財政が常態化すれば国際競争力は低下し、通貨の信用は崩壊してしまうのだ。


現代においても財務体質が悪化している国は多いが、その中でも最も国債発行(通貨発行)を行っている国が米国と日本。

米国債は約30兆ドルで、FRBの買入額は約8兆ドル。

日本国債は約1000兆円で、日銀の買入額は約500兆円。


いずれもかつては世界の工場として輸出を伸ばしていたが、過去の栄光に胡坐をかいた結果新興国に追い抜かれ、貿易赤字に陥っている。

普通なら赤字国の通貨はトルコリラのように売り叩かれて暴落するが、さすがにハードカレンシーは信用力が高い。

国債決済の需要や潤沢な外貨準備、世界的な低金利に支えられて価値を維持している。


けれど、それが永遠に続かないことは歴史が証明している。

ギルダーもポンドも長い間紙幣増刷に耐えたが、限界が来て信用崩壊してしまった。

日本もドイツも戦後にハイパーインフレに陥り、デノミに追い込まれた。

通貨の寿命は、永遠ではないのだ。


通貨の信用を過信した国は、「いくら札束を刷っても減価しない」という幻想に囚われ、借金で福祉を拡充し続ける。

ハングリー精神を失った国民は新興国との競争に負け、他国からの輸入に頼り切るようになる。


財政赤字と貿易赤字による通貨安の進行は緩やかであるために、水面下で通貨が摩耗していることに誰も気づかない。

やがて天災や戦争など事件によって物資(例えば原油)が不足した時、貯めこまれたお金(負債)が急激に流れ込んで、インフレが顕在化する。


事態が明らかになってから政府は慌ててお金を回収しようとするが、国民の痛みを伴う増税はまず実行できない。

結局その場しのぎの金融引き締めを行ってバブルを崩壊させ、そのダメージを更なる借金で埋めることになる。

借金につぐ借金が通貨の価値を希釈し、いつか資産が債務の重みに耐えられなくなった時、通貨はゴミになり果てる。

これが500年もの間繰り返されてきて、これから起きるであろうシナリオだ。


信用を築くには時間がかかるが、壊れるのは一瞬。

お金は富に対する交換券なので、その国が保有する富以上の通貨を発行すれば、いずれ信用を失ってしまう。

金本位制が崩れて不換紙幣になった今でも、この基本原則は変わらない。

単に民衆が騙されていることに気付くまで、10年や20年の時間がかかるだけだ。


既に実効為替レートは放漫財政の影響を織り込んでおり、日本円は過去50年で最悪の円安水準になっている。

米ドルも、過去に2度の切り下げを行っている。

コロナ禍での引き締めでスタグフレーションを引き起こせば、そろそろ基軸通貨の地位も怪しくなっていくかもしれない。


米ドルと円が共に暴落すれば、次の基軸通貨は何になるだろうか?

世界第二位の経済大国になった中国の人民元か。

欧州の共通通貨であるユーロか。

人口が世界一になるインドのルピーか。


もしかしたら、政府紙幣の支配を嫌った民衆が蜂起して、非中央集権の仮想通貨を使い始めるかもしれない。

エルサルバドルのようにビットコインを法定通貨にすれば政府債務によってインフレ・バブルが発生することはなくなるが、代わりに市場の暴走を止めるのも難しくなるだろう。


民衆は今の経済がずっと続いて円やドルは価値を持ち続けると妄信しているが、それは楽観的な妄想に過ぎない。

政府が財政出動・金融緩和によって債務を増やし続ける限り、バブル・インフレが発生する。

いずれバブルは弾けて金融危機が起こり、通貨は犠牲になる。


この駄文を読んで評価を付け終わったら、ぜひ君の財布を開けて、千円札を一枚取り出してほしい。

その千円札は、10年前と同じ価値ではない。

そして、10年後も同じ価値を維持してはいない。

大事に貯金を抱えている全ての日本人に知ってもらいたいので、ぜひ評価をお願いします

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