表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水滸幸伝~王倫・梁山泊にて予知夢を見る~  作者: シャア・乙ナブル
61/167

第六十一回 独竜岡の三家荘

梁山泊(りょうざんぱく)の北に独竜山(どくりゅうざん)という場所がある。その(ふもと)独竜岡(どくりゅうこう)には三つの村が隣合(となりあ)うように存在(そんざい)していて、西に李家荘(りかそう)中央(ちゅうおう)祝家荘(しゅくかそう)、東に扈家荘(こかそう)とあり、この三荘(さんそう)有事(ゆうじ)の際にはお(たが)いを助け合う盟約(めいやく)(むす)ばれていた。


梁山泊では特産品(とくさんひん)産地問題(さんちもんだい)解決(かいけつ)する為に『王家村(おうかそん)』なる村をつくり、酒や干物(ひもの)などをここの名産品(めいさんひん)として立ち上げた『商工会(しょうこうかい)』なるものに管理(かんり)させ、さらにその中で隊商(たいしょう)()外部(がいぶ)交易(こうえき)させて『利益(りえき)』を上げようとしたのである。


この商工会は梁山泊の中から商人(しょうにん)職人(しょくにん)の経験を持つ者達を集めた一団(いちだん)で、杜遷(とせん)朱貴(しゅき)宋万(そうまん)(はじ)め、朱富(しゅふう)燕順(えんじゅん)鄭天寿(ていてんじゅ)湯隆(とうりゅう)金大堅(きんたいけん)郭盛(かくせい)呂方(りょほう)と中々の顔ぶれとなっていた。


さらに王倫(おうりん)は鄭天寿の『銀細工(ぎんざいく)』を工芸品(こうげいひん)に。(げん)兄弟達が養殖(ようしょく)に成功していた『(かに)とその卵』も名産品として組み込んだ。燕順には『(にわとり)』を(あつか)わせて『鶏とその卵』を。


これらを商工会が編成(へんせい)した隊商に持たせ、この三家荘と取り引きを行う計画(けいかく)実行(じっこう)(うつ)した。湯隆は花栄弓(かえいきゅう)(ほか)にもいくつかの装備品(そうびひん)開発(かいはつ)していたが、王倫と呉用(ごよう)は『武具(ぶぐ)』を商品として流出(りゅうしゅつ)させる事には懸念(けねん)(しめ)し、武具の流通(りゅうつう)見送(みおく)られる。


しかしこれらの品々が運ばれて行くにあたり、陸路(りくろ)(馬や牛)、水路(すいろ)(舟)の運送(うんそう)における重要性(じゅうようせい)に気がついた梁山泊は、『輸送技術(ゆそうぎじゅつ)』についても独自(どくじ)知識(ちしき)や技術を開発していく事になる。


そんな(おり)王倫が派遣(はけん)していた飲馬川(いんばせん)からの使者(ししゃ)が戻ってきた。


「そうか! 相手はこちらの提案(ていあん)(おう)じてくれたか!」

「はっ! 私が先行(せんこう)して戻りましたが、裴宣(はいせん)様、鄧飛(とうひ)様、孟康(もうこう)様達もすでに二千の手下と共にこちらに向かっております」


※裴宣

元は孔目(こうもく)裁判官(さいばんかん))を(つと)めており、真面目(まじめ)かつ厳格(げんかく)な性格で、公明正大(こうめいせいだい)裁判(さいばん)を行ったため鉄面孔目てつめんこうもくとあだ名される。色白(いろじろ)で体格は固太(かたぶと)り。双刀(そうとう)の使い手でもある。


※鄧飛

もとは錦豹子(きんひょうし)楊林(ようりん)盗賊(とうぞく)仲間(なかま)であったが、のち飲馬川で孟康と組んで盗賊を始める。後に無実(むじつ)の罪で流刑(るけい)となり、飲馬川付近を護送(ごそう)される途中だった裴宣を連れ去って首領に迎え、自らは第二位の頭領となった。あだ名は火眼狻猊(かがんさんげい)で、火眼は赤い目、狻猊(さんげい)獅子(しし)(と同一視(どういつし)される事もあるが伝説上(でんせつじょう)生物(せいぶつ))から由来(ゆらい)する。


※孟康

あだ名は玉旛竿ぎょくはんかんで、玉の旗竿(はたざお)を意味し、色白ですらりとした長身(ちょうしん)の持ち主だったことに由来する。飲馬川では第三位の頭領。王倫が求めた元船大工。



王倫はこの報告(ほうこく)大層(たいそう)(よろこ)んだ。


「よく合流(ごうりゅう)する事を了承(りょうしょう)しましたな。こちらの事はあまり良く知らないでしょうに」


晁蓋(ちょうがい)が言う。王倫は答える。


「うむ。だからこちらの事を詳細(しょうさい)に伝えたのだ。生辰網(せいしんこう)(たん)(はっ)し官軍を撃退(げきたい)した事に加えて現在の梁山泊の規模(きぼ)、資金に兵糧(ひょうろう)、手下の数、(つど)っている頭領の名などもな。その上で合力(ごうりき)を願った」

「こちらの機密(きみつ)そのものをあけすけにですか?」

「そう、あけすけにだ」

「それは……(くわ)わらぬ訳には参りませんなぁ。いや、実に痛快(つうかい)


晁蓋は豪快(ごうかい)に笑いだした。呉用も参ったとばかりに笑っている。こればかりは理屈(りくつ)ではないとしか言えないが、晁蓋や呉用は王倫のこの(うつわ)()かれたのだ。打算(ださん)ではなく真摯(しんし)。きっと相手も感じ()るものがあったのだろう。


「まだまだ繁栄(はんえい)しそうですなぁ、この梁山泊は」


宋江(そうこう)達が去ってから(しばら)(のち)、梁山泊に飲馬川の頭領達と手下二千が合流した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 「火眼は赤い目、は狻猊は」 ってなってます。 [一言] 独竜岡の三家は商売相手として登場なんですねー。時遷好きなので独竜岡周辺の展開が気になるところです((o(^∇^)o)) 戴宗と…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ