表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水滸幸伝~王倫・梁山泊にて予知夢を見る~  作者: シャア・乙ナブル
59/167

第五十九回 王倫、宋江らと知り合う

(つい)晁蓋(ちょうがい)達が宋江(そうこう)達を梁山泊(りょうざんぱく)へと連れてきた。


()()せして()(かこ)んだ時こそ警戒(けいかい)されたが、晁蓋と花栄(かえい)から説明を受けた一行(いっこう)はそう言う事ならと了承(りょうしょう)招待(しょうたい)を受けたのだ。


何も知らない一部の者も初めは不安だったようだが、本当に害意(がいい)がないと分かると安心して歓待(かんたい)を楽しむようになった。


宋江は主賓(しゅひん)として(あつか)われ王倫(おうりん)(となり)に席が用意され、対面(たいめん)のすぐ近くに宋江の義兄弟である晁蓋と花栄。次に雷横(らいおう)朱仝(しゅどう)、宋江に(ゆかり)のある者達が座り盛り上がる。朱貴(しゅき)の弟、朱富(しゅふう)も兄の(はか)らいで参加していた。


王倫は宋江をその物腰(ものごし)から聞いていた通りの人物だと印象(いんしょう)(いだ)いた。宋江もまた山寨(さんさい)首領(しゅりょう)でありながら、晁蓋や花栄を立て、目立(めだ)たぬ様に場の空気を維持(いじ)しようとしているその姿に好人物(こうじんぶつ)だという印象(いんしょう)を持つ。


この二人の共通点(きょうつうてん)は自身に飛び抜けた能力などないと思っている部分と、その行動で多くの者を()()けていた所にある。


そして王倫や呉用(ごよう)が予想した通り、宋江は父親の要望(ようぼう)(こた)え、江州(こうしゅう)で罪を(つぐな)うつもりだと()いた。当初(とうしょ)晁蓋達が宋江を強奪(ごうだつ)する計画を立て、それに孔明(こうめい)孔亮(こうりょう)が反対した話を聞かされ宋江は(おどろ)く。


(ちょう)義兄(あにき)も花栄も無茶(むちゃ)をしようとする。もしそうなれば私は(ほか)の者に顔向(かおむ)け出来なくなっておりましたぞ。ですが……孔明に孔亮が」


宋江は二人の(やしき)世話(せわ)になっていた時、礼として棒術(ぼうじゅつ)の手ほどきをしていた。その(ため)二人の性格上(せいかくじょう)、言ってはなんだが「理知的(りちてき)」な行動(こうどう)選択(せんたく)した事が意外(いがい)に思えた(わけ)である。それに(くわ)えて孔明が


「宋江殿、男子(だんし)三日(みっか)()わざれば刮目(かつもく)してみよ(人は三日も会わなければどれだけ成長するか分からない)って事です」


と返したものだから宋江も(した)()いてしまった。まぁこれは王倫に聞かされた話の受け売りではあったのだが。


宋江を含め雷横や朱仝、護送(ごそう)の兵達も梁山泊のもてなしを心行くまで楽しんだ。



その夜、王倫の寝所(しんじょ)を二人の男が訪れる。朱貴と公孫勝(こうそんしょう)だ。朱貴は朱富を(ともな)い王倫に紹介し、梁山泊を豊かにする為の計画を説明する。


「なるほど。隊商(たいしょう)を組ませ近隣(きんりん)取引(とりひき)を行おうと言うのか」

「はい。弟は故郷(こきょう)居酒屋(いざかや)をしていますので相談してみたところ良い案だと。それで首領に」


実は王倫も朱貴と同じ構想(こうそう)は持っていた。しかし不安材料(ふあんざいりょう)もあった為、実行(じっこう)(うつ)せない部分があったのだ。


「確かにここの酒は商品として()()つ。食料(しょくりょう)で言えば干物(ひもの)なども余裕(よゆう)があるのでこれも出せるだろう……しかし」


そこへ公孫勝が訪ねてきた。


「公孫勝、お呼びと聞き参上(さんじょう)いたしました。と、先客(せんきゃく)がおりましたか」

「これは公孫勝殿」


朱貴の来訪前(らいほうまえ)に王倫は公孫勝を呼んでいたのだ。朱貴は彼の事を朱富に説明して弟を紹介した。公孫勝は王倫に質問する。


宋江(そうこう)暗殺(あんさつ)(けん)はまた(あと)出直(でなお)した方がよろしいですかな?」

「「えええ!?」」


朱貴兄弟が驚く。


馬鹿(ばか)冗談(じょうだん)を言うな。もし関係者に聞かれたら気を悪くされるだろう」


王倫はそれを軽くかわすと公孫勝をたしなめ、これから宋江が流される先で(かか)わる事になる官吏(かんり)調査(ちょうさ)と、可能ならばこちらに()()むか宋江に良くしてもらうように(はたら)きかける仕事を頼んだ。


(なるほどこの気配(きくば)り……これが兄貴が自慢(じまん)していた王倫様か。確かに只者(ただもの)ではない。働きがいはあると見た)


朱富は商人の顔を(のぞ)かせる。


「首領の頼みです。動いてみましょう。それで朱貴殿達とは何の話を?」


王倫は先程(さきほど)の件を聞かせ自分も乗り気だと語った。


「だが商品の出所(でどころ)素直(すなお)に『梁山泊』としたら問題が起きるのではないかとな」


王倫としてはここの産物(さんぶつ)を『名品(めいひん)特産品(とくさんひん)』として定着(ていちゃく)させたい。しかし梁山泊は賊として認識(にんしき)されている。王倫にはその(ほう)都合(つごう)が良い訳だが商品を定着させて(あつか)うとなると周辺(しゅうへん)からのその認識(にんしき)(うす)れてしまう。そうなると『税収(ぜいしゅう)』を見込(みこ)もうと官軍のちょっかいが開始(かいし)されかねない。


「かと言って商品の特産地(とくさんち)(いつわ)ればそれはここの名品ではなくなる。馬を売り買いするのとは勝手(かって)が違うだろう」


この矛盾(むじゅん)に王倫は(なや)んでいたのだという。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ