表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水滸幸伝~王倫・梁山泊にて予知夢を見る~  作者: シャア・乙ナブル
44/167

第四十四回 思わぬ再会

孟康(もうこう)。その腕前は評判(ひょうばん)だったが、花石綱運搬(かせきこううんぱん)の大型船の建造(けんぞう)を命じられた際、仕事をせかす朝廷(ちょうてい)監督官(かんとくかん)横暴(おうぼう)に耐えかねこれを殺害して逃亡したと楊志(ようし)は説明した。


「まぁ嵐に遭遇(そうぐう)して船は沈没し、結局任務も失敗した訳なんだが……あの船ならば確かに梁山泊(りょうざんぱく)の舟は小舟(こぶね)にしか見えん」


だが以降(いこう)行方(ゆくえ)は分からないというので、当面(とうめん)は平時の開発を進め、王倫(おうりん)()げた者達の情報を集めるという方針(ほうしん)に落ち着く。


首領(しゅりょう)(よろ)しいですか?」


その頃合(ころあい)見計(みはか)らって晁蓋(ちょうがい)が口を開いた。


「実は是非(ぜひ)許可を頂きたい事があるのですが」


それは自分達が役人に捕まらず、こうして梁山泊に合流できたのはある人物のおかげであるという話から始まる。


「なるほど。その宋江(そうこう)という人物にお礼がしたいというのですね」


それにはバツの悪そうな顔をしている白勝(はくしょう)以外が全員同意していたので王倫はそれを許可した。


「いやぁ首領は話が分かる! 全くこいつの博打(ばくち)好きのせいで一時はどうなる事かと思ったぜ」


劉唐(りゅうとう)が白勝に嫌味(いやみ)を言う。楊志はそれで思い出した事があった。


「まぁ礼に関しては副首領と軍師殿に一任(いちにん)するので好きにするといいでしょう」

「感謝します」

義兄(あにき)ちょっといいかい?」


楊志は晁蓋らに思い出した事を話す。


「晁蓋殿。生辰網(せいしんこう)の時に俺が(しび)れ薬を盛られた時の事なんだが」


どちらの酒にも薬は入ってなかったはず。それがなぜしてやられたのかという疑問だった。それには呉用(ごよう)が答える。


「我らが買った以外のもう片方の酒樽(さかだる)。あれに我々がちょっかいを出したのでそれを見て入ってないと思ったのでしょう?」

「そうだ。軍師殿達が飲んだのを見てな」

「じゃあそれをあっしが奪い返したのも見ていたんでしょう」

「ああ」


白勝に返事をする楊志。


(たね)を知れば簡単な事。白勝がその酒を酒樽へ『戻す時』に一緒に薬を入れたのです」


呉用が言い楊志はハッとして固まった。


「……な、なるほどな。いや合点(がてん)がいった」


楊志は何度も感心している。


「でもね楊志殿。この馬鹿は計画の実行前にその酒樽を賭けて博打してやがったんですよ?」

「あ、あの時は勝ったんだからいいだろ!」

「そういう問題じゃねぇんだよ!計画がおじゃんになったかもしれないんだぞ」

「白勝だけに白紙にしよう(駄洒落(だじゃれ)のつもり)ってか? こっちはそうなってくれた方が良かったかもしれないがな。なぁ周謹(しゅうきん)

索超(さくちょう)よ。そうなれば俺が生辰網を頂いて義兄に渡していただけだ」


敵味方に別れていた者達がそのまま当時の裏話で盛り上がった。方針も決まり梁山泊に平和が訪れる。さらに(しばら)経過(けいか)し王倫が三十二歳を迎える前日の夜、彼は夢の中で南斗聖君(なんとせいくん)に会うのだった。



「ここは……天命殿(てんめいでん)か? 私は寝所で眠りについたと思っていたが……」

「ここは貴方(あなた)の夢の中ですよ」


王倫は忘れようもないその声のした方を向く。


「南斗聖君様!」


平伏(へいふく)しようとする王倫を制止(せいし)する南斗聖君。その姿は(うす)ぼんやりと光を(はな)っていた。


「お久しぶりですね。元気そうで何よりです。これは私と北斗聖君ですか」


南斗聖君は木像と絵画を見て照れ笑いを浮かべる。一方の王倫は感極(かんきわ)まって涙が止まらない。南斗聖君は王倫が落ち着くのを静かに待った。


「お恥ずかしい所をお見せしまして」


王倫は自分でそういう面を散々見せておきながら、何を今更(いまさら)言っているのだろうかと思いながらも謝罪する。


「いえいえ。随分(ずいぶん)と頑張っていましたね」


その言葉に再びぐっと来るものを(こら)える王倫。


「実は頑張っている貴方にお願いがあってやって来たのです」

「私に出来る事でしょうか? そうであればなんなりと!」

「ふふふ。むしろ貴方にしか頼めない事なのです。実は……」


南斗聖君は自信無さげにもふたつ返事でこたえる王倫に微笑(ほほえ)んでから用件を伝えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ