俺の職業
さっきまでカプセルの中に居たはずなのに、一瞬で何処かにワープしてしまったみたいだ。
だけど、きっとここは現実世界では無い。俺以外の人達もその場に居たからだ。
そして、何より、上空を自由自在に飛んでいる黒い鱗のドラゴンがそれを証明してくれた。
凄い。このゲームは……凄すぎる!!
周りの反応は、テンションが上がっているのだろう、歓声をあげる人やはしゃぐ人、驚きすぎて呆気にとられている人、リアルすぎてドラゴンを見て悲鳴をあげる人など人それぞれだった。
待ちに待ったリアル体験型ゲームが近年、リリースするのか。
これはきっと凄く高いんだろうけど絶対に手に入れたい。早く働いて貯金しておかないとな。面接受けてよかった。
冬牙は先程の感情は何処へやら、もうリリースの事しか頭になかった。
「ミナサマヨウコソ!コチラノセカイヘ!ボクハコレカラキミタチニ、シジヤアンナイヲサセテイタダクピコンダヨ!ヨロシクネ!」
声は空から降ってくる様に聞こえてきた。
「マズ、キミタチニハイマカラ、ゾクセイトショクギョウヲキメテモラウヨ!サァ!ソラニムカッテキキテヲノバシテ!」
冬牙達は言われた通りに空に向かって手を伸ばした。暫く何も起きなかったが、突然空から光線が放たれた。
光線はどんどん太くなっていき、冬牙は全身を包み込まれていった。
そして、光が徐々に小さくなっていく頃には手に何かを握っている感覚があった。
光が消えて始めてそれが剣だということに気づいた。
「キミタチノショクギョウガキマッタヨ!ン?ジブンデエラベルンジャナイノッテ?ボクノデータカイセキハカンペキ!ソノショクギョウガテキショクナンダヨ!」
という事は、俺の職業は戦士か!
「ショクギョウニツイテハ、テヲマエデスライドサセルトプロフィールガメンガデテクルヨ!ソコデカクニンシテネ!ショクギョウハシュルイガオオイカラ、トクシュナモノモアルヨ!ショウサイハ、ショクギョウメイヲタッチシテネ!」
冬牙は早速、目の前で手を横にスライドさせた。すると、プロフィールと書かれたウィンドウが現れた。そこには名前や年齢、性別なども書いてあった。因みにプロフィール画面は自分以外の人も見る事が出来るようだ。
俺の職業は……ん?職業名が見当たらない。早速バグか。
「あの!ピコンさん!質問いいですか?」
「ハイドウゾ!チナミニボクノコトハ、ピコンデイイヨ!アトタメグチデオッケー!」
「じゃあ、ピコン、俺のプロフィールに職業名が書かれてないんだけど、これってバグなのか?」
「ア!ソレハネ!ショクギョウムショクッテコトダヨ!」
「え?無職……?」
「ソウダヨ!ボクノデータカイセキハカンペキナンダケド、キミカラハ、ズバヌケタサイノウガミツカラナカッタミタイナンダ」
「は?」
周りからクスクスっと笑い声が聞こえた。
「オコラナイデネ!ワルイイミジャナインダヨ!キットキミニハムゲンノカノウセイヲヒメテイルンダ!」
完全にバカにしてるだろ……。
「じゃあ、俺はずっとむ……職業なしって事なのか?」
「ソンナコトナイヨ!キミノバアイハハジメテタオシタモンスターノショクギョウト、オナジニナルンダヨ!」
モンスターにも職業があるのか。
って事はすごく強いヤツを倒したら最強職になれる可能性もあるってことじゃないか!
悪い話じゃないな。
「おい!それってズルくないか?強い職業のモンスター倒せば最強になるって事だろ?」
両手に鉤爪をはめた如何にも行いが悪そうな男がそう言った。
「ンー。ヒテイハデキナイケド、ソンナツヨイモンスターハ、レベルイチデタオセルホドヤワジャナイヨ!」
「ま、それもそうだな。無職がそんな強いヤツ倒せるわけねぇもんな!ギャハハハハ!!」
鉤爪の男の取り巻き達も一緒になってわらっている。
なんだアイツ!絶対に最強職になってひれ伏させてやる!
冬牙はふつふつと怒りが込み上げてきた。
くそっ、最強職のモンスターってどれだ?
あの上空を飛んでるドラゴンとかか?
けど、何もスキルが無いんじゃ空中戦なんて絶対に不可能だな。
「トリアエズ、ショクギョウガワカッタトコロデ、ツギハゾクセイノセツメイダヨ!
ゾクセイモカンタンニワカルヨ!ミギテノコウニカカレテルモンショウガキミノゾクセイダヨ!」
冬牙も一応確認したが、それすらも書かれていなかった。
「ソレデハ、ココデオヒルキュウケイ!モウイチドプロフィールガメンヲヒライテネ!ソノママモウイチドテヲスライドサセルト、ログアウトスルガメンガデルヨ!ソレデハマタアトデネー!バイピー!」
冬牙は怒りや悔しさで一杯になり、誰よりも先にログアウトしていた。




