第18話 問題児集団
昼を過ぎてやっと目が覚めた。
山菜採りでかなり疲れていたらしい。
そんな疲れた体に嬉しく、今日はプログラムが休みである。
休みだからといえどする事なんてない。
ふと思った。そういえば、この施設ってどんな構造をしているんだろうか?
今まで外とグループKの移動ばかりで、その他は入所当時に講堂に行った事がある程度だった。
少し探検してみるか!
壱は施設内を歩く。
この施設は一階建てであるが、広さは野球場くらいの広さがあり、東西に分かれてAからZまでの部屋がある。
A〜Mが東側、N〜Zが西側でその中心に講堂と書物庫がある。
北側に正面玄関とグラウンドがあり、南側には裏庭や自動販売機が置いてる休憩スペースなどがある。
そして、南側の裏庭には、あまり人は立ち入らない。
ある人達を除いて、、、
グループM
そう、問題児のMと呼ばれている彼らがこの裏庭でよくうろついており、使用しているからだ。
その為、他のグループの者は殆ど近寄らない。
グループMに関わると面倒な事に巻き込まれるからである。
そうとは知らず壱は裏庭まで到達した。
「こんなところに裏庭があったのか」
そして、中に入っていく。
裏庭に入ると数人が集まって何やら寛いでいる。
その中知ってる顔もいた。
「うん?お前は猫神じゃないか」
前に前にと前というフレーズが大好きで口癖の前山田進であった。
「お前は、前!前!前!」
壱は前山田の事を前、前、前と呼んでいた。
その他にも山菜採りで遭遇した福地博之と古巣力男もいた。
グループMのメンバーは、この裏庭に人が入ってくるのが珍しいようで壱が今年入所した新人だと知ると文句をつけてくる。
壱はそんな事は知らないと突っぱねる。
そうすると喧嘩腰に話しかけてくるやつもいた。
新人の礼儀がなってないとの事だが悪い礼儀をした覚えもなく、しかもずーっと酒を飲んでいる。
メガネをかけた中年風、山本山路、通称ヤマ、29歳
「お前に構ってる暇はない。とりあえず、ナンパしに行かねーとな」
ヤマはナンパ野郎であり、女の子に目がないようだ。
そして、隣にいる男に一緒にナンパしに行こうと声をかけるがヘッドホンをしており聞いていないようだ。
ヤマは無理やりヘッドホンを外した。
するとヤマを物凄い形相で睨みつけているではないか、その鋭い目で。
ツリ目でロン毛の青年、常に音楽を聴いている。
四門稲荷、25歳
そして、ヤマの胸ぐらをつかみ出す。
その時だ!
「あんたらうるさいんだよ!!!」
そんな2人を鬼のような形相で睨みつける女性、夏美、24歳
2人は黙ってしまう。
あの勢いのある2人を黙らせるなんてこの女の人は只者ではない!
壱はそう思った。
そんな時だ。
「おい!お前らまたここにいたのかよ!プログラムの時間だ!!」
怒鳴って裏庭に入ってくるのはここの教育係であった。
物凄いイカツく筋骨隆々だ。
踊大志、30歳
その隣に青年もいる。
彼の名は苫小牧、19歳
壱と同い年で去年入所したようだ。
優しい見た目であるが目が笑っておらず不思議な雰囲気を持っている。
大志はすぐに全員を連れてグループMへと連れて行く。
「迷惑かけたね。」
牧はそう言うと口角を上げて裏庭を後にする。
若い彼が放った言葉は、年下なのにこの全員の責任を自分で負ったような言いぐさで、違和感すら覚えた。
すごい個性的な人達もいるなと思ったが、それはグループKも同じ様なものだ。
そして、誰もいなくなった裏庭は急に寂しげで風に揺られて一個の空き缶が進んでくる。
寂しさを紛らわすように。
落ちてる空き缶を拾い、ゴミ箱に捨てて、裏庭にから出ると周が近くにいて壱を発見する。
周はすごく焦っている。
グループMのメンバーが裏庭から出て行った後に壱も裏庭から出てきたからだ。
しかし、壱は何もなかったのも事実だしと思い、大丈夫だったと伝える。
あまり関わらない方がいいぞと釘を刺される。
そんなに変な奴らなのか?と疑問に思いながらも週に腕を引っ張られてグループKに戻る。
グループKに着くと周は壱がグループMのメンバーに関わった事を話す。
周はなぜそんなにグループMのメンバーが危険かを話し始めた。
ヤマという男は酒を飲んで暴れて事件沙汰になった事が18回あるそうだ。
かなりの酒好きであるがゆえに辞められない。
そして、飲みすぎると大抵喧嘩を始める。
何度も事件を起こすヤマを見兼ねた警察官が、ヤマに施設を進めたとの事だ。
それ以来は一度だけ事件を起こしたがそれ以外はないとの事だ。
稲荷は音楽をずっと聴いており、音楽の邪魔をされるとキレる。
そんな性格だから友達も出来ず、もちろん働けもしない。
グループのメンバーすらちゃんと会話をした事がないようだ。
夏美は噂までの話だが出生から叔母の家で育ったらしい。
しかし、本当かどうかはわからないのが現状だ。
わかっている事は夏菜以上の荒れた性格のようだ。
力男は一見真面目そうな雰囲気だが、世渡り上手な部分と陰湿な部分があり、元々働いていた職場でのミスを人に被せたりと裏でコソコソとやっていたところを上司に見つかった。
しかし、自分がクビになるだけでは、腹立たしかったのか上司もクビに追い込んだらしいとの事だ。
博之はヤンキー高校の番長を張っており、無敗伝説を持つ。
そんな頂点に立つ彼は誰にも指示されたくなく、仕事場でも揉め事の毎日で3日で退職したようだ。
そんな彼だが力男の言う事だけは聞くらしい。
進は、前が好きで列に並ぶ際も前へ横入りする。
よくわからない逆四天王らしい。
そんなやばい連中だが、1番謎めいて危険なのは、昨年入所してきた〝牧〟らしい。
荒くれ者の集団を入所一年足らずでまとめあげているのが彼らしい。
関わる人がいないので詳しくはわかっていないのが現状である。
壱が覚えた違和感の正体であった。
そんなグループMは昔から問題児のMと呼ばれており、歴代の中で唯一現在も四天王なのが、教育係の踊大志だけだとの噂らしい。
周は噂好きなところもあるようでよく情報を知っていた。
自分の身を守る為にも知っていたらしい。
壱は様々な逆四天王があると思った。
問題児と呼ばれているMも逆四天王だし、他のグループだって逆四天王、そこに差なんてないのかもしれないと。