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零話(れいわ) 〜やり直しが効くこの世界に  作者: トゥルーY
零札幌〜施設入所、奮闘編
14/53

第13話 仕分けの男

 掃除をしただけだが、昨日は結構疲れた。

 初日という事もあり、気疲れもあっただろうが、掃除なんてなれないことをしたからだ。

 今日は昼までは自由行動で、午後からプログラムがある。


 自由行動では、好きな場所に行っていいのだが、施設に入所したばかりの壱、雅、中はまだ2日目なのでどこも行かずに部屋でゆっくりと過ごしていた。


 テレビをつけると逆四天王更生施設の特集を行なっていた。

 全国各地にある更生施設に今年は計567名の人が入所したようだ。

 その中で零札幌に入所した新人は46名との事だ。


 そして、前年度、全国の更生施設から四天王として卒業したのは16名でそのうちの10名が逆四天王、4名がただの人になり1年足らずで四天王の称号が剥奪されているという事実も知る。

 改めて四天王になる厳しさを痛感した。

 しかし、壱は絶望しなかった。


 壱は今まで数多くの絶望を見てきたから、どちらかというとワクワクしている。

 この狭き門をくぐり抜け、四天王になった時の開放感はどんなものか味わいたい。


 テレビを見終わり、集合時間になりダイニングに集まった。

 康平が今日の予定を話す。



「溜まったゴミの分別をしよう」


 壱はまたもや驚いた。

 他の皆んなも同じ反応だが、やるしかないようだ。


 昨日の掃除した時に出たゴミと長年物置に溜め込んでいた粗大ゴミをようやく片付けるようだ。


 全員で渋々と物置まで行く。


「了に任せたよ」

 とだけ言って康平は後にする。



 了は、笑顔で快く引き受け、みんなに指示をする。


 ゴミ袋を持ってきて、分別していく。

 まずは、誰でもわかる紙くずや瓶、缶といったものを仕分けていく。


 そうすると後に残るのは分別方法がわかりにくいゴミである。


 壱がマヨネーズの容器を捨てようとした。

 その時である。


「このマヨネーズの容器は洗ってから捨てないとダメだよ」


 了が捨てるのを止めに入る。


「え、そうなんですか?」


 そう聞くと了は説明する。


 マヨネーズやケチャップなどの容器は少量残った内容物をしっかりと洗い流さなきゃプラスチックのゴミとして扱えないようだ。

 ほとんどの人がマヨネーズやケチャップなどの内容物を使い切らずに捨てている人が多いとの事だ。


 洗い流さないようであれば、最初から燃えるゴミとして扱うべきのようだ。


 ちなみに賞味期限切れになってしまったりして使いきれなかったものも同様でプラスチックは綺麗にして捨てなくてはならないようだ。


 そう説明をして、最後に一言


「プラスチックは資源だから!!!!」



「えー面倒だな。そんなにきっちりしなくてもいいんじゃない?」

 周が呟く。


 すると、、


「ダメだよ!その考えが逆四天王だよ」


 了と周が揉め始めた。

 みんなはただ見守る人になっている。

 この場をなんとか納めないといけない。


 壱は思い切って言葉にした。


「周さん!俺らは全員逆四天王なんだから人一倍細かいところまでしっかりとやっていかないと行けないと思います。今のままだと逆四天王のままだと思います。」


 勇気を振り絞った言葉に皆んな感銘を受けている。


 周も新人の壱からのまさかの言葉に驚愕している。壱は、生半可な気持ちでこの場所にいるわけでない事も伝えた。

 周もそうであろうと思い、伝えたのだ。


 壱の一言で悪かった雰囲気が立て直した。

 周も納得して、ゴミの分別を再開した。


 破損してるCDと古いCDラジカセが出てきた。


 CDは燃やせるゴミに捨てていいようで、個人情報などが入ってるものであれば、傷をつけたり、割ったりして捨てれば問題ないようだ。


 CDラジカセは燃やせないゴミとして扱い、小型家電の無料回収をやっている場所では、無料回収に出せば資源になる様だ。

 ちなみに電子レンジ、炊飯器、ポット、カメラ、ゲーム機、掃除機なども回収してくれるらしい。


 鍋やフライパン、やかんなどは小物金属類の無料回収もやってる地域もあるとの事だ。



 その後も、、、


 花火は水に浸して、爆発しないようにして燃やせるゴミへ


 刃物は刃先を厚紙で包んで〝キケン〟と記載して燃やせないゴミへ


 ライターは使い切れば燃やせないゴミへ、使い切れなければ、各地区のリサイクルセンターに引き取ってもらう。


 了の的確な指示により順調に進んでいき、2時間、物置でゴミと向き合い、分別し終えた。


 了がなぜ?こんなにゴミの分別に詳しいか皆んな疑問に思った。


 すらとおもむろに話始める。

 実は、了がまだ、ただの人で警備員として働いていた頃の話


 了は誰よりも仕事熱心であった。

 雑務や後輩のミスの後処理、上司の残業を手伝ったりとしており、毎日社畜であった。

 その中で、ゴミの分別があったのだ。


 了の会社では、雑にゴミが捨てられており、それに見兼ねた了はゴミの分別について記載されている本を購入して会社のゴミの分別を行なっていたようだ。


 壱は本棚の掃除をしていた時にゴミの分別についての本があったのを思い出した。


 了は凄い努力家のようだ。


 そんな話をしていると康平が戻ってくる。

 綺麗に分別されているゴミを見て了の肩を〝ポン〟っと叩き、微笑む。


「これでプラモデルが置ける」



 康平はプラモデルを物置に置きたくて、片付けさせたようだ。


 全員開いた口が塞がらなかった。


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