第1話 逆四天王と四天王
20XX年、日本にはある4人の人達がいた。
彼らは、地位、名声、経済力、容姿、学力などがとてつもなく秀でていた。
そんな彼らの活躍は、世の中に影響を与え、ある言葉が生まれた。
「四天王」
何か1つの事柄がずば抜けて秀でている者の事をそう呼んだ。
そんな中、もう1つの言葉も生まれた。
「逆四天王」
殆どの事柄にセンスの欠片もなかったり、1つの事柄が落ちぶれていたりと、いわゆる〝落ちこぼれ〟をそう呼んだ。
つまり、この世には四天王な者と逆四天王な者、そして、ただの人の3種類の人間しか存在しなくなった。
四天王な者は社会でも自ずと活躍し、富や名声を得る。
ただの人は平凡な生活を送り、逆四天王は日の目を浴びる事はほとんどなく一生を終える。
四天王な者は四天王な者同士結婚し、その子供もまた遺伝子を受け継ぎ四天王になる。
ただの人はただの人同士、逆四天王は逆四天王同士なので子供もまた同じ生涯を歩む事がほとんどである。
逆四天王な者は労働に見合った報酬は得られず、最低限の生活しか送れない。
四天王や逆四天王などの言葉が生まれてから100年後、国ではある制度が取り組まれる。
それは、逆四天王更生プログラムである。
逆四天王な者を減らす為に18歳以上の者で入所したい者が参加出来る逆四天王の更生を目的とした施設である。
入所にあたって費用はかからず、衣食住が約束されるのだ。
入所のきっかけは人それぞれで、18歳までずっと逆四天王なままで入所する者や突如逆四天王になり入所する者などがいる。
舞台はここ、北海道の札幌である。
札幌の更生施設、「零札幌」に1人の逆四天王な男が入所する事になった。
今、逆四天王な人生と向き合う男の物語がはじまろうとしている。