プロローグ 1
ダークな感じが強すぎたような気がしますがほのぼの作品です。
不規則に揺れる錆びたの空。
僕が初めて見た空はそんな空だった。
時折見る顔はもう思い出せない。
きっとあれが生みの親だったんだろう。
いつも優しく声をかけてくれたあの人はいつの日かいなくなった。
その日からいろんな顔を見てきたが誰も笑っていなかった。
物心がついて初めて本物の空というものを見た。
一面の青空にぽつぽつと見える白い物体。
雲というらしい。
その日みんなが泣いて男の人に頭を下げていた。
どうやら僕はいてはいけなかったみたいだ。
次の日から男の人の隣で青い空を眺めながらゆられていた。
僕は後継ぎというものになったらしい。
男の子の人は僕にたくさんのことを教えてくれた。
馬の動かし方や商品の買い方。
町の場所やあってはいけない人など。
そして何よりお金と命の大切さだけは何度も何度も聞かされた。
ある日男の人が僕にカバンといつも持っている二つの本と馬車をくれた。
いつも乗っている僕の家。
男の人が初めて見せた顔だった。
「早く行けええええ!馬を出せ!俺が教えたことを忘れるなああ!」
僕がその町を出た瞬間、今まで見てきた空が昔見た鉄の空に見えた。
お金、大事。