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猫は異世界転生したことに気づいていない!?  作者: セレンUK
外典 私のおばあちゃん
33/37

33 外典 おばあちゃんと猫耳少年(前編)

引き続き外典となります。


先ほどまでとは異なり、今回は第1話と同じ時間でのお話となります。

 わしの名はカトゥス。

 かわいい孫娘フェリスの祖母じゃ。


 とある日のことなんじゃが。

 月一で行う集まりに納めるブツの納期が近づいていたため、フェリスに足りない材料を裏山で採ってきてもらうことにしたんじゃ。


 裏山とはわしらが住んどるマフラス街の外に隣接するようにある山のことじゃ。

 比較的なだらかで標高も高くなく、癒しの人気スポットでもある。

 とはいえ、山は山。年老いたわしの脚力では踏破はきつい故、必要な材料はいつもフェリスにお願いしておる。


「おばあちゃん、行ってきまーす」


 支度を終えたフェリスが元気に挨拶をしてくれる。

 フェリスお気に入りの赤いヘアバンドが良く似合っておる。

 それと対比するかのような青色のワンピース。

 正面はフリルのある白いエプロンの様になっており、お腹辺りに大きなポケットが一つ付いておる。

 さすがにそのポケットにお願いした材料は入りきらないであろうから、手には植物の繊維で編み上げられたカゴをもっておるようじゃ。


「いつもすまないねフェリス」


「いいんだよおばあちゃん。私、体力あるからね」


 服を捲って力こぶをつくるポーズをするフェリス。

 腕力と体力は違うぞい、と言いたいところじゃがその仕草が可愛いので問題では無い。


 無言でわしがその様子を見ておったので恥ずかしくなったのか、あはは、と顔を赤らめながら腕まくりを戻しておった。


「気を付けていくんじゃよ」


「大丈夫よ、心配しないでおばあちゃん。街の外だけど裏山は庭みたいなものよ」


 そう言うと、フェリスは大きく手を振って出発して行った。

 フェリスには内緒なんじゃが、守護用の使い魔も憑いているし大丈夫じゃろう。


「さて、それでは急いでブツを作らねば」


 孫娘を見送った後、わしは気合を入れるため一人そう呟く。

 骨の折れる作業なんじゃよね。

 後、さぼっておったツケが回ってきておるのも否定できない。

 一週間前のわしをなじれるもんならなじってやりたい。

 そんなことを思いながら自室へ戻るのじゃった。


 ・

 ・

 ・


――ピーピー


 自室で作業を始めてから3時間ほどたった頃。

 とある魔法具から、けたたましい高い音が鳴り響いた。

 疲れたわしの神経を逆なでするこの音は何かというと非常事態を知らせる警報音じゃ。 


――ピーピー


「ええい、いったい何が」


 わしは作業を止め、急いで音の原因の特定に移る。

 いくつかの使い魔を同時に使役しておるが、どの使い魔も警報音を発することが出来るようにしておる。

 わしがなぜ慌てているかと言うと、この警報音はフェリスに憑いてる使い魔のものだからじゃ。

 フェリスの身に何かあったんじゃろうか。誤報だとよいのじゃが。


「水晶玉はどこ行った」


 残念ながら音だけでは状況が少しも分からんので、水晶玉を通じて使い魔の状況を映し出すのじゃが……そんなに普段から使うものでもないため、どこに水晶玉をしまったかわからん。年じゃし。


――ピーピー


 ひっきりなしに鳴り響く警報音。

 わかっとるわい! フェリスの一大事じゃ。

 じゃが、冷静に冷静に。

 こういう時は焦ったら負けじゃ。焦らない焦らない。


 ゴミ溜めのように見える魔法具の山の中からようやく見つけた水晶玉を机の上に乱暴に置く。

 作りかけのブツが粉々になって床に散らばったが、一大事じゃから些細な事よ。


「はんにゃらほんんじゃら!」


 何を言ったのか分からんって?

 遠視魔法を唱えたのじゃ。

 由緒ある古代フィラリンガ語に精通しとるわしじゃて、こんなにカッコいい詠唱で魔法を使う術者も王国広しといえどわしだけじゃろうて。


 そうこうしているうちに魔力を込めた水晶玉に使い魔を通した映像が浮かび上がる。


「森の中のようじゃが……」


 青々とした葉や枝が迫りくるように水晶に映し出されておる。

 木々の間を使い魔が飛行しているようなんじゃが、さっぱり状況がわからん。

 それにその映像が荒くて状況把握の難しさに拍車をかけておる。


 ええい、フェリスを映せ。葉っぱではなくフェリスを。

 

 今一瞬じゃがフェリスの姿が映ったぞ!

 遠すぎてよくわからんかったが、何かに追われてるようじゃ。

 こうしちゃおれん!


「高速飛翔型使い魔ツバメ君、ゴー!」


 棚に置いてあった鳥型の模型。

 そいつを無造作に掴むと大きく振りかぶり、窓ガラスに向かっておもいっきり投げつけた。

 

 無論、窓ガラスは割れたが、一大事じゃから問題無い。


 急いでフェリスの元に向かうのじゃよ。

 尻から火を噴いて高速で飛ぶそれを、割れた窓から見送った。


――ピーピー


フェリスに憑いてる使い魔の位置は裏山ではなく街道の方じゃった。

道を間違えるとは思えんが、一体何があったんじゃ。


――ピッ……


「なんじゃ? 警報が途切れおったぞ」


 ひっきりなしに鳴っておった警報が急に止まりよった。


 わしは机に戻ると水晶玉をのぞき込む。

 真っ暗だ。

 真っ暗と言う表現は誤解があるのう。正しくは今まで映されておった映像が消えており、透き通った水晶玉の本来の姿に戻っておる。


「はんにゃらほんんじゃら」


 再び遠視魔法を唱えてみるが、まったく映らない。

 水晶玉は窓から差し込む光を湛えているだけじゃ。


 これは守護用の使い魔がやられた可能性もある。

 フェリスを追ってるのはそんなにやばいやつなんか!?

 急ぐのじゃツバメ君よ。


「ほんじゃらこんじゃら」


 今唱えたのは、守護用の使い魔ではなくツバメ君からの映像を映すための遠視魔法じゃ。

 もうすでに現地近くまで到達しておるじゃろうから、そっちの映像で状況を掴むというわけじゃ。


 水晶玉の湛えている光が徐々にもやもやしたものへと変わり、そして空高くから見ているであろう街道沿いの映像を映し出した。


 フェリスの反応があった位置までは到達しておらんか。あと少しなんじゃが。

 ええい、わしが次元跳躍魔法を行使出来た時くらいに若ければ……。


 そんな無いものねだりをしても仕方ない。

 今はツバメ君に託すしかない。


「よし、使い魔の反応が消えたポイント近くじゃ。フェリスの姿は……」


 尻からの高速ジェットのおかげで、それから間を置くこと無くツバメ君はポイントへとたどり着いた。

 わしは水晶玉の映像を見ながらツバメ君を操作し、可愛い孫娘の姿を探す。


 じゃが、何度もポイント地点を旋回させてみたがが、フェリスの姿が見当たらん。


 まさか……。

 嫌な予感が頭の中をよぎったが、それを打ち消すように顔をぶるぶると左右に振る。


 いや、まて、血の跡とか無いし。

 考えたくは無いが、もし襲われているのであれば何らかの痕跡があるはずじゃ。


 ん、血の痕跡!?


 見つけてしまった。森の中に点々と続く血痕を。


 半ば恐慌状態に陥りながら、その血痕をたどってみる。


 ……ふう、違った。


 わしは映し出された映像を見てほっと胸をなでおろす。

 そこにはひっかき傷を受けた魔獣がよろよろと森の中を歩いている様子が映し出されておったのじゃ。


 フェリスの血にまみれた姿じゃなくて安心したが、こいつがフェリスを追っていた犯人じゃろうか。

 いや、こいつも犠牲者かもしれん。


 安堵するにはまだ早い。早くフェリスの姿を探さんと。


 ツバメ君の飛行する高度をさらに上げ、広範囲からフェリスの情報を探る。


「ん?」


 映像が街道の人影を映し出した。


 あれは……フェリスか!

 よかった無事じゃったか!


 街道に人の姿が二つ。

 一人は見慣れた茶色のサラサラロングヘアーの女の子、わしの可愛い孫娘フェリスじゃ!

 

 怪我は無いか?

 歩いておる様じゃが怪我の状況は分からん。

 空高くからの映像でああるため、それを確認するには遠い。

 そのためツバメ君を操作しフェリスの元へと近づける。


 フェリスの頭上に辿り着き旋回している使い魔が孫娘の無事な姿を映し出す。


 ふー、よかった。怪我も無いようじゃ。

 安堵するわし。本当によかった。


 フェリスに何かあったら怒りに任せて森ごと消し飛ばしてしまうところじゃった。


「しかしじゃ」


 フェリスの横にいるのは誰じゃ。男のようじゃが。

 ツバメ君からの映像に映し出された男は黒色の毛でおおわれた耳をしている。

 背丈はフェリスと同じくらいじゃて、同年代じゃろう。

 もしかして悪い虫か?


 もしそうじゃったら闇魔法で滅殺じゃ。

 わしのフェリスに手を出したらどうなるのか、身をもって味わってもらうしかない。


 この少年が何者か、詳しく調べねば。


 より近づくためツバメ君に搭載した蝶型の使い魔を放つ。

 ツバメ君の腹が割れて、そこから蝶が出てくる様は自然の景色の中でみるとグロテスクである。


 グロテスクな鳥型使い魔の事は置いておいて、ふわりふわりと自然な動きをまねた蝶型の使い魔がフェリスと少年のすぐ近くまで近づいた。


「きゃあ、王子様よ、王子様」


「ふぇりす、ごちそうまだ?」


 近づいた事で、声まで拾える様になった。

 水晶玉が振動し声を伝えておるのじゃよ。


「えっとね、もう少しで私が住んでいるマフラスの街だからね。もう少し待ってね」


「んー、もう少し……」


 なんと、家まで来るというのか?

 何があったのかは分からんが、もし害虫だったら家に着くまでの間で処理しなければ……。


「簡易KANTEIっ!!」


 わしは蝶型の使い魔を通して古代呪文である簡易KANTEIを発動させる。

 この呪文は本来目で見ることのできない生き物の生命の力を、神が定めた規則により文字と数値に置き換えてみることができる優れたものじゃ。

 この前では本人が隠しておきたい情報も丸裸になるのじゃ。

 素性を探るにはこれ以上の方法は無いと言っても過言ではない。


 ちなみにKANTEIは神の声の分類によるとスキルに属しておるが、習得が難しく現在王国内でも使えるものはごくわずかなのじゃ。

 この事からも、わしの凄さがわかるじゃろう。


 おっと、自慢はそこまでじゃ。

 生命の情報、『ステータス』が表示されるぞ。


==============

個菴名:ラッ繧ッ

遞ョ譌丞錐:ブ繝ゥック繧ッ繝ッ繝シ繧ュャッ繝

LV??

HP??6

MP:8

謾サ撃:39

防蠕。??3

遏・蜉幢シ?

謨乗差??6

アク繝?ぅブスキル: 辷ェ撃Lv3 霍ウ霄Lv4 遠謚Lv-3

繝代ャシブ繧ケ繧ュ繝ォ: 平衡諢溯ヲLv3 暗視Lv3 遨コ荳ュ蝗櫁サ「Lv3 察遏・Lv3

遘ー号:異世逡転生者(迪ォ)

==============


「やはり使い魔越しでは完全なKANTEIは出来んか……」

 

 KANTEIにも精度があり、成功失敗も存在する。

 ただでさえ蝶型使い魔を通して行った簡易なKANTEIであり、表示されたステータスを水晶玉越しに見ているので情報のロスも多いというわけじゃ。


「ん? あれは」


 そんな中一つの記載を見つけた。


 【異世逡転生者(迪ォ)】


 こやつ、当たりじゃ!

 ノイズが酷くてよくわからんが、異世界転生者の称号をもっているぞ!

 わしもこの称号を見るのは初めてじゃが、わしの師匠(故人)に聞いたことがある。

 かつて勇者の鑑定をした際に異世界転生者の称号を持っていたらしいのじゃ。


 あっ、こら、使い魔を捕ろうとするんじゃない。

 蝶型使い魔に気づいた少年が、手を伸ばしている。


 上昇、上昇。

 すぐに蝶型使い魔を移動させるが、そこでKANTEIの効果が切れてしまう。


 使い魔を捕まえようと跳ねている少年。


「よけろ、そこだ!」


 熱が入って口から言葉が漏れておるが、今使い魔を捕獲されてはかなわん。


 執拗に襲い来る少年の手を、右に、左にとなんとかかわす。

 それにしてもこの少年、なんというジャンプ力なんじゃ。


 格闘の末、なんとか蝶型使い魔を遠ざけることに成功した。


 危ない所じゃった。

 さすが異世界転生者。有望そうな少年じゃて。


 まあ、後ろの文字が読めんかったのが気になるが。

 どうやら家に来るらしいし、直接KANTEIしたらわかるじゃろ。


 よしよし、これでフェリスの将来も安泰じゃな。

スキル制世界の宿命、ステータスが登場してしまいました。


因みに、文字化けは一部の文字をUTF-8からSift_JISに置き換えたものですので、逆変換をかけていただくことで元の文字が読めるようになるかと思います。


追記:テキスト上では逆変換で見れるのですが、ブラウザ上の文字をコピペしたら変換できませんでした。申し訳ございません。

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