表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/129

プロローグ

挿絵(By みてみん)

 とある小国にある衛兵詰所 ──

 

 リスタ王国 ── 人口およそ三万程度のこの小国は、ムラクトル大陸北方に位置し、北をノクト海、南にはガルド山脈があり、漁業と陸海の交易の要所として栄えていた。丘の上の王城……と言っても、館と言ったほうがしっくり来る程度の大きさだが、その裾野に広がる街。そこに小さな衛兵詰所があり、そこには五人の衛兵がいる。


 その中で今日配属したばかりの新兵、金髪の青年ラッツが幼子を抱えて隊長室を訪れていた。その脇に抱えられた幼子は、綺麗な金髪に、淡い緑の瞳を持った女の子で、ノースリーブのシャツと赤いスカートを履いている。


「ゴルド隊長! 厨房に忍び込み、我々の昼飯を食おうとしたコソ泥を捕まえました! いかが致しましょう?」

「コソ泥だぁ?」


 ゴルド隊長と呼ばれたその男は、顔に刀傷があり、いかにも傭兵崩れといった風貌だった。ボサボサの茶髪をボリボリ掻きながら、新兵のほうに振り向き幼女を見ると深くため息をつき。


「……またか」


 新兵の小脇に抱えられた幼女は、ジタバタと手足を振り回しながら


「この無礼者っ! 離すのじゃ~!」


 と必死に抗議している。ゴルド隊長は、面倒くさそうに右手をぶらぶらと振って「解放しろ」と合図すると、頷いたラッツが抱えていた手をパッと離した。


「ふぎゃ!」


 その結果、幼女はそのまま床に顔から着地する羽目になったのだった。

 

「おいおい、丁重に扱え……大丈夫ですかい?」

 

 床に落とされた幼女はプルプルと震えている。しばらくして、震えがピタリと止まると飛び上がるように立ち上がり、もの凄い勢いでラッツを指差しながら。

 

「死刑じゃ~! この無礼者を死刑にするのじゃ~!」


 いきなり死刑宣告をされたラッツだったが、心配そうな顔で幼女の頭の上に手を置き

 

「だ……大丈夫かい、お嬢ちゃん? ひょっとして落とした時、頭を打ったんじゃ?」


 それを聞いたゴルド隊長は、噴き出しながら腹を抱え


「ぶっ! ……はっはははははは!」


 その様子にオロオロしながらも頭を撫で続けるラッツ、顔を真っ赤にしながらプルプルしている幼女。

 

「そうか、そうか! お前さん、他所から来たばかりだったな~、それじゃ知らなくても仕方ねぇか」


 ゴルド隊長は、膝を折って幼女と目線を合わし、讃えるように両手を向けると

 

「聞いて驚け! この方こそ我らが雇い主であられる、この国の女王リリベット・リスタ陛下だ」

「えっ?」


 ぽかーんと口を開けて固まってしまうラッツ。リリベットと呼ばれた幼女は、ふんぞり返って腰に手をあて胸を張りながら、フンッと鼻を鳴らし改めて告げる。

 

「えっへん! わたしが、リリベット・リスタなのじゃ!」

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ