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元、チート魔王が頼りない件。  作者: 雪見だいふく
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作戦開始『後編1』

投稿時間遅れてしまいすみません……!

 話を聞くために俺は倒れ込む男を見つめる。


「あれはある事件がきっかけでした……。

 私には愛していた妻がいました。子供はなかなか出来ず二人で小さなアパートに暮らしていました。

 そこで事件は起きました。あの日は丁度、結婚記念日でした」


 大の大人がポロポロと涙を零していた。

 本当は泣き叫びたかったのだろう。その証拠に声はものすごく震えていた。


「その事件が起きるまでは約一年の経路があるんですが簡単にまとめます……。

 まず、アパートで暮らしていたのは高いローンを組んで買った家が燃えてしまった。原因はストーブの付けっぱなし。との判断でした。

 まぁ、それによりお金が無くなり組んでしまった高いローンにより生活が厳しくなりました。

 そして私達夫婦は金貸しからお金を借りてしまったのです。

 それが原因ですかね……」


 と、悔しそうに弱々しくも声を出す。


「そして事件当日です。私は結婚記念日の大事な日でしたがローンを返すため働き漬けの毎日。

 そのため、夜遅くなることは分かっていたので『ごめん』と、伝え家から出ました。

 もちろん妻も働いていましたが私ほど遅くは働いていません」

「大変でしたね……」


 俺はこんなことしか言えなかった。

 何と声をかけたら良いのかも分からなかった。

 そんな俺に対し俯きながらも頷き話を続ける。


「そして長い労働をこなし家の前に着く頃には時刻が十二時を回っていました。

 私は妻と過ごす時間だけが楽しく最高の癒しだったので『起きてるかな……』と気持ちを弾ませて家に入りました。

 すると、リビングの方から……如何わしい声が聞こえてきました、、」

「あ、あぁん……」

「私は妻を信じたくても信じられない。そんな不安を抱え部屋に急いで入りました。

 そこにいたのは妻……だけではなく力がありそうなムキムキの男もいました。

 ……両方、裸ではありましたが」


「いい場面に遭遇したなぁ!」


「と、男は妻と性行為をしながら笑っていました。妻は全力で『違う……』や『事情が……』等と否定していましたがここで俺は吹っ切れてしまいました。

 何もかもが嫌になってしまいました。

 生きる意味。に見捨てられてしまったんですから。

 私に妻以外の家族はもういなかったんですから。

 その時には、もう冷静な判断は出来ていませんでした。戸棚の方に急いで向かい気づけば包丁を手に持っていました。

 男はビビり動けなくなっていましたが容赦なく刺しにいきました。ですが怖くなり右腕に刺したのです。腕からは血が溢れ出すように出てきました。

 私も刺した後に怖くなり倒れ込んでしまいました。

 すると男は痛がる右腕を抑えながらも私に近づき胸ぐらを掴みました」

「てめぇ……覚えてろよっ!」


 と、左腕で顔面を殴り去っていきました。


「リビングの床に滲み出す血と私達夫婦が残っていました。

 私は失望してしまい妻と何も話すことはなく血が付いてしまった服を綺麗にし部屋から去り、その日は何とか安いとホテルで一晩を過ごしました。

 そして次の日は仕事に行く気も失せ、風邪と伝えて休む事にしました。

 私はホテルから出て近くにあった公園のベンチに座り冷静に考える事にしました。

 数時間悩み昼頃になった時に考え出した結果がこれです。


『妻にも何か都合があったのかもしれない』


 ということ。


 私はそう信じて家に戻り扉の前に立ちました。

 息をのみ扉に手をかけます。


 すると昨日と同じような光景が待っていました。昨日とは違う痩せ型の男。それだけでした。

 私は悩んで悩んで悩み尽くしたのにこの女は……!

 妻への愛が一気に恨み憎しみへと変わりました。昨日とは別の残り一本の包丁を取り出します。


 ……そこからはあまり記憶がありません。


 気づいた時には妻が血まみれでぐったりとしていて男が怯え扉を思いっきり閉めて逃げ出していたこと。

 それだけです。

 殺してしまったんだ……どうしよう……何故こんなことを……と怖くなり部屋で泣き叫びました。

 そして殺してしまった妻に抱きついていました。

 私が殺したのに。命を奪ったのに。

 妻に抱きつき泣きわめきます。

 そして、その手を離し部屋を見渡し妻との思い出を振り返ります。

 そして最後に見た妻の手元に何か書かれていることに気が付きました。

 それを確認すると涙は更に止まらなくなりました。

 そこには汚かったり途中途中途切れてしまっていましたが血で確かにこう書かれていたのです。


『大好きだったよ』


 と、なら何故あんな男と……とも思いましたが涙は止まりませんでした。

 その言葉で自首を決めた私は部屋の思い出を持っていくことにしました。

 私は妻との写真などの思い出を血塗れの服のポケットに入れました。

 その思い出を見つけている最中にこんな手紙を見つけてしまったのです。


『あんた可愛いから性行為してくれればお金を少し免除してやるよ』


 結局、私が馬鹿だったのです。

 勝手に思い込み勘違いをし無様にも妻を殺す。

 そんな最低野郎だったのです。

 そして私は『大好きだったよ』の文字の隣に血で『ごめんなさい。俺も大好きだった』と書き自首をするために部屋から出ました――」

ダランとしてしまいました……。

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