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元、チート魔王が頼りない件。  作者: 雪見だいふく
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作戦開始『前編』

思いつかねぇよ。

 ベットでただただ寝転びかなりの時間が経過しただろう。


「……何も思いつかねぇ」


 時間が時間なだけあり俺も考えることが嫌になってきていた。

 同じく嫌になっているのか黙り込む魔王様に話しかけてみる。


「な、何か思いつきました?」

「……」


 返事のような声もない。

 ……寝ているとか言わないよな。


「魔王様? 起きて……るよな?」

「……」


 返事はやはりなかった。どうやらさっきの声が聞こえていないわけでは無いみたいだ。

 ……嘘だろ?? こっちは必死に考えていたのに。


「……! そうだ! この手があったか!」

「寝ているかと思ったよ……」


 不安な気持ちが口に出てしまったが、そんな事はお構い無しのように魔王様は話し続ける。


「確かに。お前の言った通り本人に直接ぶつかりに行けば話は早い。だがな……犯罪者。それも何処にいるかも分からないようなやつを見つけるのはさすがに無理だ。だからこうするんだ……『犯罪者を俺達の所に向かわせる』」

「は……?」

「考えてみろ。推測でしかないが、その犯罪者もお前と同じように契約をしているんだ」

「お、おう……?」

「つまり、『勇者が危険』と感じたら対処せざるを得ない」

「そりゃあそうだろうな。でも呼び寄せるなんてどうするんだよ」

「俺達はあの時、念話をしていた。つまり声は聞こえない。じゃあ逆にこうすればどうなると思う?」


 と、問いかけるように俺に話しかける。

 こうすれば……ってどうするんだよ。


「『俺達はお前の砦をぶっ壊す!』と、叫んでみるんだ。そうすればさすがに誰でもいいからここにやって来るだろう。

 そして続けて、こう叫ぶんだ。『俺達は何時にバス停からここに侵入し砦を奪還する!』ってな」

「そうすれば……のこのこと勇者、いや。人間が来るってか? そんなに甘い話なのか……?」

「警戒すれば誰だって防御を固めたくなるのが基本だろ。俺が勇者の立場ならそこに行くよう命令すると思うぜ。まぁどうせ手詰まりだ。やってみなきゃ分かんねぇだろ」

「今から早速実行するのか……?」

「早ければ早い方がいいからな」


 時刻は既に八時を回っていた。

 飯もろくに食べていないのに運動量だけはあったので腹も減っているが一仕事終わらせてから食べることにしよう。

 と、一人で決めたので、すぐ私服に着替え母親に「飯は後で食う」と告げバス停へ向かう。


 俺達が小走りで走りながら決めた作戦はこうだ。

 明日の夜九時に来るよう宣告しおびき寄せる。そこからはさっき話した通りだ。

 何故、九時かというと一つは周りの住人等に対する考慮。犯罪者をおびき寄せるということで何をされるかは分かったもんじゃないからだ。

 二つ目は仮に勇者が来たとした時のため。

 魔王様が来れるということは勇者が来てもおかしくはないという事だ。そうなった場合。俺達は死んでしまうかもしれないが事は少なからずとも最低限に収まる。

 俺は『死』ということが物凄く怖かったがビビってもいられない。

 何故ならこんな所で立ち止まっていてもどの道死んでしまうから……だ。

 本当は怖くて怖くてしょうがない。当然だ。命がかかっているんだから。

 と、作戦を決めたり色々と考えているとバス停に到着する。

 俺達が丁度、着いた頃にバスは来ていたがど田舎だけあって誰もいない。なので、すぐにバスは去っていった。


「よし……じゃあ行くか」


 と、バス停の裏に行き詠唱を唱え始める。

 そしてこの前と同じ牢獄……では無く違う牢獄に到着する。

 その事に気づいた理由としてはインテリアの配置がこの前と違っていたのと右斜めにも牢獄が見えたからだ。

 この前は一番右だったので右斜めに牢獄なんてなかったはずだからだ。


 悩んでいるから毎回毎回来る場所も変わるのだろうか。

 本当に謎が多いところだ。


「よし……今回、念話はいらないんだよな。早速、叫ぶのか?」

「そ、そうだな。牢から出てな……」


「「じゃあ行くぞ……」」


 と、一気に空気を吸い込み大きな声を出す。

 実のことを言うと念話で『いっせーのーで!』とタイミングを合わせていたことは伏せておきたい。


「「俺達はお前の砦をぶっ壊し奪還する!! 夜九時ごろ! バス停から侵入してやるから覚悟しとけよ!!」」


 ふぅ……。やりきった感じがするな。


「はぁはぁ……これでいいんだよな?」

「多分な……」


 何も反応が無さそうだけど本当にこれで良かったんだろうか。と、思っていたせいか上の方から声が聞こえてくる。


「侵入者発見! 侵入者発見! 第二階層に侵入者発見! ただちに捕らえよ」


 すると近くの方からも声が聞こえてくる。


「……こっちじゃないか?」

「なら、お前はあっちを」


 バタバタと足音まで聞こえてきた。


「よしっ……計画は多分成功だな。とりあえず戻るぞ!」


 そう言うと詠唱を急いで唱え始めバス停裏に戻ってきていた。

 勢いよく戻ってきたので少しジーンズが破けてしまっいた。

 ……だがこれもダメージジーンズみたいでいいだろう。と開き直る。


「やりきった感はあったけどこれでいいんだよな……?」

「多分な……とりあえず今日は休もうぜ」


 とのことなので腹が減っていた俺はダッシュで家まで帰った。

 何故ジーンズが破れているのかは心配されたが夕飯を特に気にすることもなく出してくれた。

 残念ながら飯は冷めていたけど。


 夕食後、部屋に戻り明日どうするかを魔王様と確認し眠りについた。

よし……。明日だな!

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