終わってくれ
だよな。
……俺が扉の前に立った部屋。それは『生徒会室』であっていた。
『魔王様。勇者が来るかもしれない。警戒しておけ!』
『おう!』
俺は扉に手をかけ、前に押す。
ガチャ。ドン。
鍵がかかっているのか、開かない。
開かない……のか?!
「……侵入者発見! 侵入者」
『や、ヤバい! どうやら、まだ、足りなかったみたいだ!』
『な、何がだ?! わ、分かんねぇけど、ヤバいんだよな!?』
『そ、そうだ! とりあえず逃げるぞ!』
俺達は、後ろを振り返り、急いで逃げる。
『と、図書室が小さくて助かったな!』
『そうだな、魔王様。だけど、油断するなよ!』
走り続けて、図書室を抜け、廊下に入る。
すると、後ろの図書室から、ガラフのような何かが割れる音がした。
「お、おい! 今の何だよ!」
「知らねぇよ!!」
とりあえず、廊下は短い。早く逃げればいいだけだ。
後ろから、足音は聞こえてこない。このままいけば逃げられる!
「お、おい! あれ!」
スタタタタ
と、いうような音を立てるように、忍のような集団が迫ってきていた。
「怖すぎんだろ!! ていうか、あいつらの足の速さは異常じゃないか!?」
これ、クナイみたいな武器を持ってたら終わるぞ。
「確かに、あいつらの足は速いけど、もう少しで現実世界に帰れる! 頑張れよ!」
「分かってるって! 魔王様こそ、詠唱の時にしくじって、殺されたりしないようにしろよ!」
あと、もう少し……。
残すところ、十歩くらいだ。
「逃げ切れっ……うわぁぁぁぁあ!」
俺の左足首にクナイのような、飛び道具が突き刺さる。その、痛さと勢いのせいで、転んでしまった。
「……くそ!」
「心配すんな……。俺が、ぶっ倒す!」
魔王様が、俺の前に仁王立ちをする。小さい背中なのにめちゃくちゃかっこいい。
「こんな状態で聞くのもなんだけど……。勝算はあるのか?」
「そんなものは無い。いいから、早く立て!」
早く立て! ってのは、正論だけど、やっぱり、勝算は無いですよねぇ……。ははっ。
「だがな……。勝算は無くても、守れる気がする。」
「お、おおっ!? 何故だ?」
「それはな……! って、お前ら、忍! 少しは待て! ヒーローが勝てる理由を話そうとしてんだぞ!」
どうやら、待ってくれなかったらしい。飛び火のように、俺のところへ、飛んでこないと良いけど……。
「おらおら、どうした!」
相手が立ち止まり、クナイを投げてくるが、それをカウンターのように、バリアのようなものを貼り、跳ね返す。
そうやって、魔王様が守ってくれているうちに、足に刺さっているクナイを抜こうと、体育座りのような格好になる。
だが、クナイを抜こうとは思っているが、なかなか、それを抜けない。
刺さった時より、抜く方が怖いよな……。
……だが、魔王様が必死になって、俺を守ってくれているんだよな。
俺は、決意を決め、一気にクナイを抜く。
「うわぁあぁあ!! ……はぁはぁ」
『良くやった。これで、お前も少しは強くなったな』
い、今の声は何だ? 聞いたことがあるような、無いような……。
それは、脳に語りかけてくるような感じだった。
「だ、大丈夫か?」
魔王様が心配そうに聞いてくる。
「は、走れるかは別として、立てるくらいにはなったぜ……」
「そうか! じゃあ、俺が防いでいるうちに、歩いてでもいいが、お前は逃げろ!」
確かに、俺の戦力で、どうにかなる話ではない。
「分かった! 悪いが、頼む!」
「おう!」
そして、俺が振り返り、逃げようとした時、時間が止まったように、静かになり、周りがモノクロになる。
『本当に、逃げて良いのか?』
その声は、さっきと同じだった。
『い、意味が分かんねぇよ!』
『ほう。弱い犬ほどよく吠える。とは、この事だな。まぁ、そんなことはどうでもいいのだよ。本当に、逃げていいのか?』
俺の話は一切、無視で話を進めていく。
意味が分からないし、誰なのか、もしくは人でも無いのか、凄く気になっているのに。
『お前の大事な魔王様とやらが、死んでしまうかもしれないんじゃぞ?』
『そ、それは困る。俺も死ぬことになるしな……。いや、違う。魔王様に死なれたくないからだ』
どういう気持ちで、意図で、俺を守ってくれているのかは分からない。
だけど、守ってくれていることは事実なんだな。そんな、魔王様に死んで欲しくはない。
『なら、助けるべきじゃないのか? 弱くてもいい。少しでも足しになればいいじゃないか』
『だ、だけど、俺には、力が……無い』
『本当にそうかのう? 案外、今のお前なら、出来てしまうかもしれないがなぁ……』
『そ、そんな、下らないことに、賭けるわけにはいかないだろ!』
『なら、良い。特別だ。少しだけ、力を貸してやろう』
『ち、力を貸す……?』
『と、言っても、足を回復してやるだけだ』
こいつが何を言っていて、何者なのか、全く分からない。
『まぁ、頑張れ。我が……』
その部分で言葉は消え、モノクロの空間に、色と動きが取り戻される。
そして、足を確認すると、さっきまで、血が滲んでいたジャージは元通りになり、足の痛みは綺麗さっぱり無くなっていた。
……!? つまり、あの意味が分からない事は事実になったってことか?
だけど、足が治ったのなら、戦う意味は無い、魔王様に「逃げよう!」と、言おう。
そう思い、俺は後ろを振り返る。
そこには……驚きの光景が映っていた。
あいつの言っていた通り、魔王様がピンチになっていたのだ。
敵の忍達は作戦を変えたのか、クナイを投げるだけでは無く、魔王様に走って何人かが近づいてきていたのだ。
魔王様は、それを後ろに退きながら、遇う。
や、ヤバい……。どうしよう!
俺は、考えながら、救えるかもしれない、一つの方法……と、いうより賭けを思いついた。
……魔法が撃てるかは、分からないけど、してみるしか無い……よな。
俺は右手を突き出し、左手を右腕に添えた。
――頼む! 魔王様を助けたいんだ!
……くらえ!




