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元、チート魔王が頼りない件。  作者: 雪見だいふく
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急にどうして?

……おい! なんだよ!?

 引っ張られて、連れていかれた場所は屋上に繋がる階段室。

 ちなみに、俺が上段でやよいが下段だ。

 見下ろす形になっている。

 顔を赤くし、俯いている。


「あの……さ」

「どうしたんだ? 用がないなら、さっさと教室に戻るぞ」


 俺がそう言うと、決意を決めたかのように、顔を前にあげる。


「私っ……。桐生が好きっ! 付き合ってください!」


 と、頭を下げる。


「え、いや、あの、ごめんなさいっ!」


 俺は少し戸惑いながらも断る。


「何で……ですか?」


 恋人(それも今日出来た)がいるなんて、言えないしな。


「それは……その」


 俺は両手を前に、ふりふりして理由を考える。


「……そう、ですよね」


 彼女は振り向き、階段を一気に下ると、そのまま走って、教室の方に帰ってしまった。


「待ってくれ……!」そう言いたかったが、言葉は残念ながら出せなかった。


 そして、俺が渋々、教室に帰ると、彼女は席に座り、女子と話していた。


 凄く気まづいな……。何で、あいつは……。ていうか、何で俺に告白したんだよ。


 これは、俺も言えないことなのだが、出会って、数日もしないうちに告白するやつが、あってたまるか。


 なんて、考えているうちに授業は始まろうとしている。

 なので、急いで席に着いた。


 ――――――

 ――――

 ――


「起立! 礼、さようなら」


 そして、学校が終わった。

 ずっと、考えていたのだが、やよいとは、仲良くしたい。

 だから、謝ろうと思っていた。


「あのっ……!」


 俺は後ろを振り返り、そう言おうとしたが、彼女は既に居なかった。


 この教室から、こっそり出る俺に勝るやつがいたなんて……。じゃなくて! 俺の馬鹿野郎!


 まぁ、普通のカップルなら、彼女に構って、こんなに一人の女子を気にすることもないのだろうけれど、生憎、彼女は生徒会の仕事で一緒に帰れない。

 だから、俺は一人でイライラするしかない。

 そんな、モヤモヤした気分を振り払うように、石を蹴飛ばしながら、家に帰った。


「ただいま」

「おかえりー」


 ここでリビングに入って、魔王様と話そうと思ったが、今話したら、余計にイライラしそうなので、今日の夜に備えるため、ベットに寝転がった。


「起きろー」

「……ふぁあ。今日は飯、あるよな?」

「もちろんだぜぃ」


 俺は下に降りて、飯に手をつける。

 疲れていたのか、その夕食はとても心が温まるような感じがした。


 夕食を食べ終わり、俺達は部屋に戻る。


「なぁ、魔王様。今回の砦は進展がありそうな感じだぜ」

「本当か……?!」

「楽しみにしておけよ! それと強敵に対する準備も……」

「おう!」


 そして、時はあっという間に過ぎ、俺達は学校裏まで来ていた。


「頼むぜ。魔王様」

「おう」


 魔王様の詠唱で、魔界に到着する。

 そして、目を開くと……教室が、かなり賑やかになり、日光のような光も入ってきていた。

 賑やか。と、いうのを具体的に説明すると、机の数が縦一列分くらいはあり、人影のようなものもある。

 そして、教室内にかすかな話し声が聞こえるのだ。


『結構、変わったな。流石、相棒だぜ!』

『ふふっ! 俺に任せろ!』


 そして、廊下に出る。

 その廊下も明るくなっていた。

 日光のような光。そして、見える限りの場所に図書室が既にある。

 しかも、そこまでの教室からは光が出ているのだ。


 これって、砦攻略はもう少し……って、ことじゃないのか?


『いやぁー! 凄い!』


 図書室を見て、ここまで興奮しているのは俺ぐらいじゃないだろうか。


『だな!』


 俺達は多少テンションを上げながら、歩く。

 そして、二十教室分くらいの廊下を抜けて、右に曲がると、図書室に入る。


 そこにある器具は現実世界と然程、変わらない物になっていた。

 違うといったら、本棚の数だけって感じだ。


『おぉ!』

『本、本、本』


 魔王様はどんだけ本が嫌いなんだ。


『じゃあ、俺は、あの闇の本を見てくるよ』

『いや……。その必要は無いかもしれない。あれを見ろ!』


 魔王様が指す場所には、小さいながら、一つの扉が見えた。

 と、言うことは……。図書室が終わるってことだよな!?


『で、でも、一応、本を見てくるよ。念のために警戒しておいてくれ』

『分かった』


 闇の本が置いてあった場所に行く。


 だが……。それらしき本は無い。


『魔王様。本は無かった』

『じゃあ、あっちに行くしかないよな』


 魔王様が一歩先に扉の方へ向かう。

 俺は、魔王様のところまで、追いつくように走る。


『はぁはぁ……先に行くなよ』

『あー、悪い悪い』


 そして、二人で歩き、その教室が、だんだんと見えてくる。


『……やっぱり、俺の予想は合ってたか』

『ん?』

『あぁ、多分、砦の最後だ。魔王様、警戒しとけよ』


 ……これで、終わり……だよな?

……よしっ。終わらせるぞ……!

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