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元、チート魔王が頼りない件。  作者: 雪見だいふく
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馬鹿

美味かったー!

 俺は両手を広げるように伸ばし、ベッドに寝転びながら魔王様の話を聞く。

 こんなにテンションが高いのは寿司のおかげなのか?


「で、何だよ」

「寿司を食べている時に、お前の動きを封じる魔法を空中に見えないよう放ったんだよ」

「ほうほう。あの、動かなくなったやつだな」


 確かに、あれは驚いた。急に動かなくなるもんだから。

 何だよ、魔王様。調子が悪かったんじゃないのか?


「だがな、俺は調子が悪かったはずだ。しかも、あの魔法は小さい炎の玉を飛ばすより、難しい魔法だぞ」

「本当か……?! つまり……力を取り戻したってことか?」

「それは、ちょっと違うな……」


 じゃあ、何だって言うんだ。

 急に調子が良くなったり、悪くなったりするのか?


「俺は、今日、あの安いパンではなく『高いお寿司』を食べた」

「そうだな。それが関係してるのか?」

「あれを食った瞬間に力が湧いてきた……と、いうか力が漲る感じがしたんだよ。だから、あの魔法が使えると思って、試してみたら実際に成功した」

「魔王様が美味しいって感じたり、高いものだったら、魔力は回復するってことか?」


 魔力、魔王様の力を保つには食べ物が関係してくるってことか。

 RPGの魔力回復アイテムみたいだな。つまり、砦を有利に攻略したければ、こいつに美味いものを食べさせろ。ってことだよな。

 益々、俺の金が危険になってきたぜ。


「そうなるのかもな……あんだけ安い物ばかり食べさせられたんだし……」

「悪かったな!」


 嫌味か! バイトもしてない、学生なんだから、金がたくさんあるわけないだろ!


「この際だから、謝っておくが、この前の砦に入る前や入った後。お前は体力が減るなー……と、思わなかった?」

「思った」

「それは……! 俺のせいだ! いやー……体力が減るのが早いし、魔力も無いしでなー! ははっ!」

「だからか……ふざけんな!!」

「おーっと、力が戻った状態の俺には勝てないぜぇ」

「体格差がある」


 どこまでも腹立つ魔王様だ!!


「ならば、かかってくるがいい!」

「言われな……ごめんなさい!」


 魔王様は小さい体格ながらに炎の玉を手の平に出し、こちらに身構えていた。

 危ねぇよ! 火事が起きたら、どうするんだ!


「ふはははは! 試し撃ちさせてくれー!」

「ちょ! 待てって! せめて場所を選……」


 時、既に遅し。

 小さい炎の玉は放射線を描くように部屋の本棚へ飛んでいった。

 さようなら。俺の漫画。


「……じゃねぇよ! 火事! 火事起きてるから!」


 漫画本に木製の本棚に火が移り燃え始める。

 やばいやばい。砦を守る前に自分の家を守らせろ!


「早く! 早く! 早く止めろよ!」


 慌てる。ただただ慌てる。落ち着いていられるわけがない。


「安心しろ。『ウォーター』」


 バシャッ


 火は浄化されるように一気に消えた。俺の漫画と本棚も浄化されるよう、綺麗に消えた。


「ふざけるな!! 漫画を返せ!」

「分かった。分かった。『ケア』」


 本と本棚は何事も無かったかのよう、元に戻った。


「ふぅ……危ないだろ!! 家がなくなったらどうすんだよ!!」

「悪い、悪い。そして、もう一つ大事な報告がある」

「絶対に今度からするなよ! で、何だ?」

「今ので魔力を使っ……」


 俺は魔王様の頭を思いっきり叩いた。

 魔王様が泣言を言いながら、ぐちぐち、文句を言ってくる。

 だが、俺は悪いと思わない。

 そんな魔王様に呆れた、俺は寝る準備をして目を瞑った。


 次の朝。

 眠くない! 気分が最高にいい。そんな俺は徒歩で学校に向かっていた。

 今日は魔王様の食料も買わなくていいからな!!


「ん、おはよ」

胡桃(くるみ)、おはよう。具合の方は大丈夫か?」

「うん……! 大丈夫だよ」


 少し暗い顔をしたが、それを振り払うように笑顔で、そう言った。

 まぁ、気にしなくていいか。


 いつも通りのたわいのない話をして、学校に着く。


 準備を済ませ、あっという間に授業が始まる。一限、二限……と面白くもない授業を乗り越えると、飯の時間になった。

 認めてはいないが、友達の少ない俺は一人で飯を食べることもある。

 今日はそんな日だった。


「ふぁあぁ」


 飯を食べ終えてからはすることが無い。

 校内でスマホは使用出来るのだが、ソシャゲはしてないのでいじることも無い。


 今日は数少ない友達も休みだし、何をするか……。

 そう考えていると校内に一つのチャイムが鳴った。


 ピーンポーンパーンポーン


「桐生 壮一さん。桐生 壮一さん。直ちに、生徒会室まで来てください。テストの件に関して話があります。繰り返します。桐生――」


 それは生徒会長の声だった。

 自分で言うのも、なんだが、成績優秀者の俺はこうして何かと呼ばれることがある。

 生徒会長を受け継いで欲しい……。だ、とか、成績が優秀なんだから、学校のために……。とか、正直言って、面倒くさい。

 生徒会室と聞いて、先生がいないと思いきや、数人いることも多々あるし。

 俺は嫌々、席を立ち、生徒会室まで向かう。

 この時に周りから、される目は「凄い……」というよう軽く引いてるような目。

 羨ましがっているのか、妬ましいのか、厳つい目。

 そんなものだ。

 正直言って、キツいし、勘弁して欲しい。


 そんな事を考えていると、あっという間に生徒会室の前まで来ていた。


 俺は、そんな重苦しい扉に手をかけた。

……嫌だなぁ。

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