2章 03.自分との会話 そして神との戦い。
俺の目の前には異世界に転移する前の自分がいた。自分でいうのもどうなんだろうとは、思ったけど言いたいことがある。情けないとか惨めだとかマイナスのことばかりだ。
多分これは、自分と向き合えということなんだろう。自分と向き合うとか出来ないだろう。けど、自分と向き合わなければ、ティアは死ぬかもしれない。そう思えば、なんでも出来そうな気がした。
「おい、そこの俺、いつまで殻に閉じこもっているんだ。本性を表せ。」
「だって、怖いんだ。本当の自分を出したら、嫌われるんじゃないかって。今よりもっと悪化するんじゃないかって。」
「確かにそうかもしれない。俺もそう思っていた。でも、本当の自分を見せても嫌いにならない人だっていたんだ。その子は人の事ばかり、心配して、いつも自分の事は後回し。でも、その子はとても優しかった。とても温かかった。ずっと一緒にいたいって思えるほどに。俺はそんな優しい人を傷つけたんだ。それでも、俺の事を見捨てなかった。1人でいい。一緒にいたいってそう思える人を1人作ればそこから、繋がりがたくさん俺には出来たんだ。俺に出来て同じ俺に出来ないわけないだろ。殻に閉じこもってないで、前を向け、進め。」
昔の俺に言い聞かせるように、今の俺に言い聞かせるように。
「あぁ、わかったよ。頑張るよ。だから俺も頑張れよ。」
そう言って俺たちは、向き合い、分かり合えた。
俺の意識は現実に戻る。
「終わったみたいだね。青銅くん。でもゆっくりしてる暇はないよ。神と悪魔の力を同時に使い、かかって来て。」
「わかった。行くぜ。」
ハッキリ言って、負ける気がしない。それぐらい心の余裕がある。
勝負は一瞬でついた。
レベル7を一瞬。
このことに、他の日本人達も驚いていた。
さぁ、魔王のところに戻ろう。
「準備はいいかい。青銅くん。」
「あぁ、大丈夫だ。行こう。ティアを助けに!」
俺と悪魔とユスティーナさんと日本人達はティアの近くに転移した時には、神がティアを殺そうとしているところだった。
危ないところだった。後もう少し遅ければ、死んでいた。
俺は神と悪魔の力を使い、神と天使の連合軍を1人で、退けた。しかし、現実はそう上手く行くわけがなかった。神と悪魔の力を使い続けていた俺は、力に体が耐えれなくなりぶっ倒れたのだ。そこに、退けたはずの神と天使の連合軍と魔王軍が集まり、俺にこう言った。
「お疲れ様。私達の自作自演の戦いに参加してくれて。実験は成功だ。これで、ナンバー666《トリプルシック》を本当の兵器にすることが。」
俺は騙されたのだ。神に魔王に日本人にユスティーナに。
「ゆっくり、お眠り、お前はもうじき死ぬ。あんなに力を使わせれるようにしたんだ。最強の気分を味あわさせてあげたんだ。感謝しておくれ。」とティアは俺の横で泣いていた。そして、何かを喋っていた。でも、聞こえない、全てが失われていく。聴覚も視覚も嗅覚も触覚も味覚も何もかもが失われていく。最後には俺の命さえも。