01.異世界召喚
俺の名前は青銅ゆずる。16歳。 高校生だ。
この俺青銅ゆずるは二つの病を患っていた。その病とは中二病とコミュ症だ。この二つの病のせいで俺は学校では、いつでもどこでも一人だ。学校での生活はとても窮屈で寂しい。そんな俺の支えになっていたのは、家族ではなくゲームやアニメだ。俺はゲームやアニメの世界に行ってみたいなとか、異世界に行ってみたいとかそんなくだらないことを考えていたら急に目の前が真っ白になり、それから意識が遠のいていった。
俺は意識だけの存在になって、かすかに聞こえてくるひとつの声を必死に聞き取ろうとしていた。でも聞き取れない、その声を発している人を探しても見つからない。そんな俺にひとつの言葉だけ直接ささやくような声で 「助けて、この世界を救って」とこの世界ってなんだと考えていたら、電源を落としたような感じでまた意識が遠のいた。
柔らかくて温かい感触が頭にあった。こんなに気持ちが安らぐ枕はあっただろうか?いや、ない。そんな自問自答しながら、俺は目を開けた。周囲を見渡すと「大丈夫ですか?」と声を掛けられ、その声の方を向くと、そこには金髪でとても顔立ちが良い美少女が心配そうな眼差しでこちらを向いていた。俺はこの時、ある病気を発症していた。コミュ症だ。でもこの時の俺はいつになく落ち着いていた。俺のコミュ症は初めて会った人にだけ発症するんだけど、今の俺はとても落ち着いていた。むしろ安心していたのだ。俺はどこかでこの美少女に会ったことがあるのだろうか?と考えていると、「大丈夫ですか?」ともう一度声を掛けられたので、俺は「大丈夫です。」と返答したら、笑顔を見せられ、俺はドキドキした。女は何て理不尽なんだ。笑顔を見せられただけでドキドキしてしまうなんて。まだ、俺はその美少女に名前を聞いていなかったので名前を聞いた。そしたらその美少女は「名前は無いの。」と少し寂しげに言った。俺は驚きが隠せないでいると、美少女は「私は奴隷なの。産まれた時からずっと。この世界は人間が支配しているんだ。私たち亜人族は人間の道具として扱われているの。」俺はこの時怒りでどうにかなりそうだった。それもそうだ自由に生きられないことがどれほど辛いことなのか、俺は知っているからだ。でも亜人達の苦しみは俺の苦しみとは比較にならないだろう。だから、決めたんだ。俺はこの世界の神になると。
俺は、亜人達を救う為にまず、情報を集めようとした。美少女にこの世界は何なのかとか、文化などいろいろな事を聞いてわかった事は、この世界は中世ヨーロッパ風の建物が沢山あり、各街には冒険者が集まる冒険者ギルドがあるらしい。文字は日本語が使われている。この世界に何故日本語が使われているのかは、大体分かっている。この世界には俺と同じように日本から飛ばされて来た人がいるということが。この考えはドンピシャで当たった。美少女が言うには、この世界に奴隷文化を用いれたのは、名前がおかしい人でとんでもない力が使えたらしい。多分それが、日本人だ。今もこの世界を7人の日本人と魔王が征服している。俺はその日本人と魔王と対立することになったというわけなんだが、俺には何の力もない。俺以外の日本人はチート並に強いだろうから、まず、俺は冒険者ギルドに行くことにした。
「なぁ、名前を付けてもいいか?何て呼んだらいいか、分からないから。ちなみに俺の名前は青銅 ゆづるだ。名前の呼び方は何でもいいけどさ。」と気安く話してみたら、ちょっと嬉しそうにこう言った、「名前変だね。」と俺は少しいや、かなり悲しくなった。この名前結構好きなんだけどな。とかそんなこと考えてたら、美少女は「いいよ。変な名前は付けないでね。」とまた笑顔を見せてきた。それで俺はまた、ドキドキしながら名前を考えた。美少女はエルフだから、大人びた名前がいいかな。とかいや、可愛らしい名前にするか、とか思いながら俺はいい名前を思いついた。俺はハッキリした言葉で「お前の名前は『ティアーナ』だ。まぁ俺はティアと呼ぶけど、この名前でいいか?」と聞くと嬉しそうに「うん。」と眼に涙を浮かべながらうなづいていた。