レイラと茶会
こんにちは皆さん、レイラ五才です。
さて新しいペットの紹介といきましょう、白頭鷲のイース君です。ちなみに性別は分かりません調べ方を知らないので
「ぴー!」
なんだかイース君が鳴くとメリスがビビります。どうやら怖いらしいのですが精霊のメリスをイース君は認識出来ないと思うのですけど?
『ちがうのです、なんだかこの鳥は私を認識してるのです。そして私を食べようとしてます』
「そうなのイース君?」
「ぴー!」
首を横に振ってる、うーん違うと言ってるのでしょうか?
「違うのイース君」
「ぴー」
大きく頷きましたね、これは
「メリス違うってさ」
『違わないです、絶対食べようとしてます』
頑なに信じようとしないメリス、うーん何故にここまで不信感を? まあ疑問に思っても仕方ないので私はこれからの事を考えなければ、先ずは大量の鉄の確保ね。土地は余りまくってるでしょきっと
レイラは土地に関して安易に考える。何故かと言われれば感である。
『えっ? レイラちゃん助けてくれないの、きゃっ! うわー』
なんだかメリスとイース君がじゃれあっている、うん仲良しね。
先ずは自動車を作るべきかな、それからの方が説得しやすいか? でも鉄道の方が作りやすいのかなトロッコなんてあるのかな?
レイラは鉄道を作る事を決めているが現在のアストランデでの車両技術が何処まであるのかは分かっていなかった。
やっぱりこの世界の事を知らなければな、でも教えてくれる人が少ないし、いきなりトロッコあるの? なんて聞くのもね。可愛い女の子の私が聞くことでは無いわよね。
まあ先に蒸気機関を作りますか、とりあえず作っておけば良いわよね。
レイラは前世で沢山のお勉強をしていた、だから蒸気機関も知識の中に……
あら? そう言えば私、蒸気機関の仕組み勉強してないわ。えっとどうしましょう?
ここに来て根本的な事に気付く、そうレイラ・エードルセンは鉄道の為に必要な知識をあまり勉強していなかったのだ。だからこそ鉄道の作り方なんてさっぱり分からず、ここに来て何をすれば良いのか分からなくなっていた。
こ、困ったわね。よく考えれば線路も詳しくは分からないし、鉄道の作り方なんてどうしたら?
ここでレイラは鉄道以外の事を考えれば何の問題も無かったのだが、黒羽瑞稀と言う女性の悪いクセなのか、彼女は政界で嫌われるくらいに頑固なのだ。
彼女が安易に始めた政策があった。その政策は途中で少し厳しい難題が出始めまだまだ始めたばかりだった為に辞めても問題なかったのに黒羽瑞稀は周りを巻き込みその政策を成し遂げてしまう。
この事が彼女の政治家としての株を上げたと共に、彼女の扱いづらさを世に知らしめた一貫となったのだ。そして今回も他の、例えば彼女の知識にちゃんとある道具を作り出せば良いものを、鉄道と言う難題にのめり込む。
ふふふ、まあいいわ、難題ほどやる気が出るわね。そうよ過去の人間にできた事が私に出来ないはずないわ。そうよ私なら出来るわ。
レイラはやる気満々になり、鉄道の設計図を自分が持つ知識で何となくの蒸気機関やレール、鉄道車両を書き出す。その設計図はアストランデの人間からしたら凄く高度なものでメリスはその設計図を見ても何が何だか理解できなかった。
『ねぇレイラちゃん、これなーに?』
「これは鉄道の設計図よ、これで流通革命を起こすなよ!」
『そ、そうなんだ』
メリスはレイラの鬼気迫る表情に少し引き気味に頷く。その横でぴー、ぴーと鳴くイース君。ちなみにイース君は白頭鷲と言っても地球基準の大きさではなく、アストランデ基準の大きさで、かなり大きい、どれほど大きいかと言うと幼い子供なら平気で抱えて飛べるほどに。
「うむうむ、蒸気機関は細かいところは分からないけど理屈は何となくだけど理解出来るわ、つまりここから実験を繰り返せば出来なくは無いわよね」
そんな風にレイラが未来を描いているころ、不穏な風がアスタリ大陸に吹き始めていた。
「本国は何を考えてるだ、こんな税率では俺たちに死ねと言ってるようなものだぞ!」
ここはアスタリ大陸で商売をしているもの達の集まり、ポーツマ茶会と呼ばれるお茶を楽しむ集まりである。
「俺たちが作り出したお茶も安く買い叩きやがって!」
彼らが奴隷を使い作り出した作物、その作物は本国と呼ばれるエリザ帝国にしか送れなかった。その為に適正な価格より遥かに安く売らなければならなかった。
「フーラ王国やドルス国ならもっと高く買ってくれるのに」
「しかしエリザ帝国に逆らう訳には」
「だが立ち上がらなければ、このままでは俺たちは奪われるだけだ!」
人は奪う事は当たり前と考え、そして奪われる事は怒りを持って対峙する。商人はアスタリ大陸の住人から全てを奪い、そして得た富を、その圧倒的な力で彼らに富を与えてくれたもの達に奪われるのは不当だと、彼らを守る力に敵意を持つのだ。
エリザ帝国からアスタリ大陸に夢を持って渡来した商人の、それは傲慢が生み出した事件の幕開けだったのだろう。
「やるぞ! 俺たちに自由を!」
「「「「おー!」」」」
そして後にポーツマ茶会事件と呼ばれる惨劇が始まるのだった。