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レイラ=エードルセン

 皆様こんにちは、私の名前はレイラ=エードルセン、0歳、可愛い、可愛い女の子です。

 といきなりの現実逃避ですね、はぁ、なんで私赤ちゃんになってるのよ。

 これが転生ってやつかしら、確かクールジャパン政策やらなんやらで資料にあった気がするけど、まさか私が転生するなんて


 レイラは混乱していた、死んだはずなのに気付いたら赤子になっているから、しかも


 「うふふ、レイラちゃん起きましたか」


 「あう、あー」


 あー私のお母さん完全に日本人じゃないね、てかここは何処かしら見た所欧州圏だと思うけど、それにしては電化製品は見当たらないわね。確か資料には異世界に行った主人公がモンスターと戦ったり魔法を使ったりしてたわね、まさかね


 レイラは地球のはずだと思ってるが、まあ、『まさか』の方が正解である。この世界は地球と異なる世界、レイラは異世界転生を果たしたのだ。


 「あわ!」


 「あらあらレイラちゃん、おしめですか」


 ふぅ、私がこんな屈辱を、しかし赤子の身ではしょうがないのよ、しょうがないのよ!

 と叫んでも答えてくれるわけでなし、そもそも叫べないんだけどね。はぁ不便ね、こんな生活を後どれくらいするのかしら? 私、独身だったから赤ちゃん産んだこと無いのよね、赤ちゃんって何年くらいで自由に動けるのかしら?


 レイラがそんなことを考えると母親のおしめ交換がそろそろ終わりを迎える。そこでレイラはこの世界が地球でないことを確信する出来事が起こる。


 「それじゃあ、えいクリーン!」


 「あう?」


 母親が何かを唱えるとレイラが感じていた不快感が一気に無くなる、それは魔法と呼ぶに相応しい物だった。


 なに? えっ? これってもしかして魔法ってやつじゃないの、えっ、ここもしかして地球じゃないの、もしかして異世界なの


 こうしてレイラはこの世界に興味を持つ様になる。最初は魔法をどうやって使うかである。


 ううむ、私のママンが使った場面しか魔法を見てないけど、どうにか使う方法を考えないと


 レイラは魔法の使い方なんて知らない、彼女が知ってる魔法使いは


 えっと、魔法使いって言ったら○リーちゃんとか○っこちゃんとかしか知らないわ、どうやって使ってたかしら?


 彼女はアニメや漫画をあまり読まない、最近読んだのも政策の一貫として読まされたお堅い政治広報の漫画程度である。そんな何も分からない彼女ではこの世界で何も出来ないと思っていた女神は彼女にとあるものを与えていた。


 『レイラちゃん?』


 えっ? 何、何、声が聞こえるのに何もいない、何、えっ幽霊なの


 『レイラちゃん、私は幽霊では無いわ。私は精霊のメリス、女神様よりレイラちゃんの手伝いを頼まれたの』


 『ふぇ、な、なんで神様が? てか精霊ってなんなのよ!』


 混乱するレイラ、そんなレイラに優しく語りかけるメリス


 『聞いてレイラちゃん、あのね女神様はねレイラちゃんがね酷い殺され方をしたのを見てこの世界にレイラちゃんを転生させたの』


 メリスは女神が何故黒羽瑞稀を転生させたのか全部知っている、知っているからこそ全部を教えない、そしてレイラは長年政治の世界で生きてきた女傑である、そんな彼女はメリスが何かを隠している事を見抜くが、何も情報の無いこの状況でメリスを問い詰めても益は無く、それならばメリスに乗っかった方が得策と話を聞くことにする。


 『そうなんだメリスって言ったかしら、あれそう言えば何で私とお話できるの?』


 彼女は冷静に精霊から情報を得ようとする、この辺りは長年政界で生きてきた女、胡散臭くても話だけはしっかり聞く、疑問があるならストレートに聞く、もちろん相手が答えやすいものを選んでだ。


 『これはレイラちゃんの意識に直接話しかけてるからだよ、レイラちゃんが私に話したいと思えば私とお話できるよ、もちろん私に話したいと思わなければ伝わらないから安心して』


 レイラはなるほどと思う、考え全てが伝わってるはずなのにその心配は無いと言ってくるのだ。この話だけで敵である可能性が少なくなってきたと、メリスは私との意思疎通を途切らせたく無い様だ。今もレイラの考察が当たっている様に焦りを見せているから、しかしそれなら仕方ないとばかりにレイラはうわべの会話を行う


 『そうなんだ凄いね、流石精霊だね』


 『そ、そうだよレイラちゃん』


 こうしてうわべだけの会話が行われる、しかしレイラに取ってメリスの情報はかなり有益なものだった。メリスの情報はこうだ。


 一つ、魔法とは体内の魔力と大気に漂う魔素と呼ばれる物質を合わせることで自らがイメージする現象を引き起こすこと

 一つ、イメージと言っても万物あり、固定した現象を起こす為に魔法を使うには呪文、魔法陣、魔術書による補助を使った物、などを用いる。

 一つ、魔法で出来るのは地球でいうところの兵器には及ばない程度の物で、最強と呼ばれる魔法使いでも戦車の大砲ぐらいの威力だと言うこと

 一つ、攻撃以外でも家庭電化製品ぐらいなら出来なくは無いが、それでも疲れるし付きっ切りでその場に居なくてはならないので道具があるならそちらを使う方が良いこと


 『へぇー、便利なんだろうけど、それでも万能というわけでは無いのね』


 レイラはメリスの話し方を疑問に思う、なんだか魔法の使えない事ばかり言ってる様に感じる。そんなレイラの感じ方は正解でメリスは女神から彼女に世界の発展を加速させる様に誘導しろと命令されている、そうメリスは魔法に頼らず彼女の知識による地球の便利な道具を製作させようとしていたのだ。メリスの目的は女神の考えを忖度そんたくしたのだが女神が黒羽瑞稀を選んだのはどちらかと言えば政治体制の改革を望んでである。


 『でも使い方を知ってれば助かるし教えてくれないかしらメリス』


 『うん任せてよレイラちゃん』


 メリスの元気な返事を確認してレイラは考える、果たして女神とやらは私に何をさせたいのかと。


 と言うわけで魔法の事を教えてもらったからには使える様になりたいわね、まぁ私だって小さい頃は魔法少女に憧れたもの、ふふふ、今も小さいか、なーんてね


 レイラは上機嫌、なのでずっと笑顔を振りまく、そのレイラを見に来た人達は一様に天使の様な子だねと褒めていくのだったことは間違いなかった。


 さてメリスの言うには体内の魔力を感じるトレーニングが必要との事だったわね、ふーむ、それって何かしら? ちょっと私には分からないわね。

 まぁとりあえずメリスの言うグルグルさせるとの言葉の意味を考えますかな、グルグルだから回すのよね


 メリスの説明は擬音満載の説明で、『魔法を使うには魔力を中心でグルグルして、そこからグニグニしたら外の魔素とクルクル混ぜて、イメージした事を、えい! って感じで放出する』との事である。常人には意味不明だが、ありとあらゆる陳情を受けて来た黒羽瑞稀にかかればなんてこと無いちゃんと理解出来る説明なのだ。


 中心とか言ってたけど、まんま中心じゃなくて人間というより生き物の生態機能の中心と考える方が自然ね、つまり心臓か脳か、はたまたお腹かしらね。


 レイラはメリスの言葉を崩しながら考える。三つほど仮定の考えを元に実行すれば何か分かると魔力をグルグルに挑戦する。


 う、うーん、しまったな? そもそも魔力ってなんじゃいな!


 メリスの話を聞いていたのだが何故かすぐにいなくなってしまったメリスに質問する事が出来なかったレイラは、そもそもの魔法の根源の魔力とは何なのかを聞くのを忘れてしまう。


 あー、赤ちゃんになってやっぱり混乱してるのかな、普段ならこんなミス絶対しないのに


 レイラが悩んでいると、いきなりメリスが現れる。


 『レイラちゃん悩んでるの?』


 『はわ、メリス居たの?』


 『うんずっと居たよ、私はレイラちゃんのサポートの為に24時間一緒にいるから何でも相談して』


 居なくなったと思われたメリスは居なくなったわけでなくて気配を消しただけであった、どうやらレイラが困った時だけ姿を現わすつもりらしい


 『そうなんだ、でも気配まで消さなくても良いのよ、まだ赤ちゃんだから話し相手が居ないとつまらないわ』


 『そうなの、邪魔じゃない?』


 『邪魔じゃないよ、だって私たちもう友達でしょ』


 『えっ、私の事お友達にしてくれるの?』


 『当たり前でしょ、メリスは私と友達になるのは嫌?』


 『ぜ、全然嫌じゃ無いよ、うん、私はレイラちゃんのお友達だよ』


 この時レイラは自分の思考から打算的なものを一切考えなかった、レイラは自分すら言い聞かせメリスとお友達になる可愛い少女になりきっていた、彼女は女優より演技を求められる職場にいたのだ。

 レイラはメリスの行動、言動全てをつぶさに観察しその上で最もメリスとの有益な関係を気付いたのだ。


 『うふふ、嬉しいなこの世界で初めてのお友達だねメリスちゃん』


 『う、うんレイラちゃん』


 こうしてメリスの心の中に入り込みレイラの都合の良い友にしようと企む元政治家


 『それじゃあメリスちゃん、魔力って何か教えてくれないかな、よく分からないの』


 『うん任せてよレイラちゃん』


 こうしてレイラはメリスから魔力のイロハを習う、この世界で魔法とは日常で少し使えれば良いか程度で、着火やクリーンなどの低級の魔法しか唱えられないものばかりであり、攻撃魔法を使える者、もしくは攻撃魔法を鍛錬する者は例外無く軍に所属していて、現在レイラに指導されてる魔法はその全てを凌駕する者であった。

 このままレイラが成長すれば最強の兵士と成れるのだが、彼女がこの世界で目指すのは


 『まあよく分からないけど、この世界の男はレベル高いわね、うふふ、長年の夢が叶うかもしれないわ』


 そう彼女が目指すのは


 『お嫁さんに!』


 結婚する前に殺された黒羽瑞稀、彼女はイケメン大好きで金持ち大好きで頭の良い人大好きで、そして若い男が好きだった。

 はぁ、結婚出来ないのは当たり前であった。

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