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アステリア建国記〜私が大統領になった訳〜  作者: にんにん
第二章 決闘する幼女!
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西部のデビット

 ヒューと風が吹き、タンブルウィドーが回る平原を疾走する二つの馬車


 「速く、追いつかれたら何されるか」


 どうやら二つの馬車は一方が一方を追いかけているようだ。


 「ヒャハー! 頑張れよ、追いついたらその時は気持ちよくしてやるからな!」


 後ろの馬車が前の馬車に向かい銃を撃つ、しかしその弾道はどれも前の馬車に当たらない。しかしこれは後ろの馬車の者が下手くそだからでは無い、完全に遊んでいるだけなのだ。


 「こんなところで大盗賊団【風の踊り子】に出会うなんて」


 前の馬車にいるのは妙齢の女性と初老の男だけで大量の荷物を積んでいた。どうやら彼女達は商人らしい


 「お嬢さま、荷物を全て破棄しなければ追いつかれます」


 「ダメよ、あれには町の人達の物資が」


 「しかしこのままでは!」


 「ぐっ、でも」


 そうこうしてるうちに、前方からも馬車が


 「しま」


 「ぎゃっはは! 鬼ごっこはここまでだな」


 そこには10台の馬車が、そして五十人の盗賊達が待ち構える。


 「そんな」


 ここで女性の運命は決まる、この後盗賊達に乱暴されそして奴隷として売られる事だろう。

 しかしそこに


 「待ちな!」


 「なんだ?」


 盗賊達が謎の声の主に叫ぶ、そこに居たのは


 「寄ってたかって女性を追いかけるのはいただけないな、無作法ってやつだね?」


 小さな馬に乗った、これまた小さな少年だった。


 「なんだガキ、何者だ!」


 「何者って聞くのかい、この僕に!」


 追いかけられていた馬車の女性は何が起きてるのか理解出来ない、しかし助かるわけがないだろうと思っていた。助けに来てくれたのかと思った存在は自分より遥かに小さい子供だったからだ。だけど


 「僕はデビット、そう空の狩人【デビット=エードルセン】だ」


 その名乗りを聞いた途端に盗賊達が青い顔になる。


 「な、なんだってあの空の狩人がお前だと言うのか」


 空の狩人は最近西部で名を上げて来たガンマンである。その者は小さいながらイーグルに掴まり遥か上空から高濃度の魔弾を放つ悪魔の如き子供であると


 「そうだよ、さてこのまま見逃して上げても良いけどどうするの?」


 「親分あいつの近くに鳥はいねー、本物だとしても今がチャンスですぜ」


 「そ、そうだ、よし野郎ども行け!」


 盗賊達が攻撃に移る、それはまさに悪手と言うべきだろう。デビットはすぐに攻撃に転ずる、その射撃は信じられないほど正確に盗賊が持つ銃だけを撃つ。


 「「「「「ぐあ!」」」」」


 盗賊達は銃を手放し無防備になってしまう。


 「凄い」


 女性はただ一言そういう事が精一杯だった。そして盗賊達は


 「ちきしょー、お前ら撤退だ!」


 そう言って逃げ去っていくのだった。


 「ふん、手応えのない奴らだな」


 そう言ってデビットは商人の馬車に近づく


 「あ、あのありがとうございます」


 女性が礼を言ってくる。目の前で盗賊達を打ち取った姿を見れば子供だからと侮ることは無い。


 「いいんですよ、困った時はお互い様です。ここは西部、【フロンティア】を目指す者達が集まる地獄ですからね」


 「ふふそうね」


 デビットは遥か東海岸から、未だ開拓が必要な西海岸にやって来る。この西部はアスタリ大陸でも未だに未開地が多く、新たな新天地フロンティアを目指して多くの荒くれ者達が集っていた。その中で現在とある西部の町近くの荒野を旅していた。


 「まあそれに僕も下心がないわけでは無いんですよ」


 「そうなの」


 女性は確かにこの西部で何でもタダと言うのはあり得ないと思っていた。


 「実は道に迷っていました、この近くの町を教えてくださいませんか?」


 「えっ? ぷっ、あはは、何あんなに強いのに迷子なの」


 女性は笑いながら答える。


 「もちろん良いわよ、私の名前はアリザ、この先にあるカリフォの町の町長の娘よ」


 彼女は握手を求めて来る。そこに


 「あははお恥ずかしい、僕はデビットです」


 デビットも握手に応じる。デビットは恥ずかしいのか下を向きながらだったが、だけどその顔は恥ずかしいと言うよりしてやったりとニヤリと笑っていた。


 「ええデビット、では案内するわね。西部最大の町であるカリフォの町を」


 「ええ、ありがとうございますアリザさん」


 こうしてデビットはカリフォの町に向かう、ちなみにケイン君は


 「親分、これで良かったのですかい? 大親分の助けになったんですかい?」


 「ああ坊っちゃまの策は万全だ」


 そう言えばさっきの風の踊り子のボスの顔はケイン君そっくりだった様な?


 「しかし大親分は凄えですな、俺たちみたいな者達まとめ上げて、こんな大規模な盗賊団を作ってしまうなんて」


 「馬鹿な事を言うな、坊っちゃまが作ったのは盗賊団ではない、革命軍だ」


 「おっとそうでした、俺たちの目的はエリザ帝国からこのアスタリ大陸をぶん取るんでしたね」


 風の踊り子、西部で最強と呼ばれる盗賊団とは仮の姿、その真の姿は


 「そうだデビット様が作り出すアステリアの礎を築く為の軍団だ。そう我らこそアステリア国軍なのだ」


 「へへへ、俺たちが本当に騎士になれるんですかね」


 「騎士ではないぞ」


 「違うんですか?」


 「デビット様は旧態依然の騎士団なんてお作りにはならない、我々は軍隊になるのだ」


 「軍隊ですか? 騎士団と何が違うんですかい?」


 「勝つ為なら何でもする、そして我らは必ず勝利をデビット様に捧げるのだ」


 「うーん、よくわかんねえですがともかく出世出来そうでいいや」


 荒くれ達はアスタリ大陸でさまよっていた、それをデビットは軍隊へとまとめ上げたのだ。これがアステリア軍最強と呼ばれた鬼の陸戦第一師団の始まりであった。


 そしてデビットことレイラは


 ぐふふ、こうも上手くいくとはね、アリザさんあなたが町長の娘なのは知っていたわよ、だってカリフォの住人を独立革命に参加させる為に信用が欲しかったもの。


 こうして仕組まれた事に気付かぬままアリザはデビットをすっかり信頼してしまったとさ

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