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ブックエンド 白き者達

――レイシー、アリスを見付けて。


――お願いレイシー。アリスを、ワンダーランドに……。





          ◆





 自分が誰なのか思い出すことができない。


 私はアリスを探さなければならない。アリスを見付けて、連れて行くの。


 どこに?


 どこにアリスを連れて行くのだったっけ。


 覚えているのは、アリスの名前と歌だけ。あの歌を歌っていると気持ちが落ち着いた。


 歌を歌っていると、時々誰かの声が聞こえる気がした。私の歌に合わせて、誰かが一緒に歌ってくれているように感じるの。


 あぁ、貴方は誰なのかしら。貴方は、私のことを知っているの?


 私は、どんな使命を負ってここに来たのかしら。


 回れ回れ、歪な歯車。迷え迷え、時の中で。踊れ踊れ、繋がれたまま。歌え歌え、古のうた。くるくるくるり、きらきらら。


 歌い続けていれば、貴方は答えてくれるのかしら。


 ねえ、アリス。アリスは何か知っている?


 アリス。


 私の、私達の、大切なアリス――。





          ♣





 レイシーが帰って来ない。


 アリスを探しに行ったまま、彼女は帰って来なかった。


 けれど、ボクはアリスを見付けてしまった。あれがおそらくアリス。名前が同じだけかもしれないから、捕まえて彼の話を聞かないと。ようやく見付けた、ボクの、ボク達のアリス。


 アリスがワンダーランドにいるということは、レイシーがアリスに接触したということである。


 それなのに、レイシーは帰って来ない。アリスもボクのことを理解してくれない。レイシーはアリスに何も教えずにこちらに放り込んだのだろうか。


 キミの面影を探して、ボクは歌を口遊む。この歌を歌っていると心が揺さ振られた。


 キミが一緒に歌ってくれていた日を思い出して、嬉しくなったり、悲しくなったりする。


 キミは今どこにいるんだい?


 回れ回れ、歪な歯車。迷え迷え、時の中で。踊れ踊れ、繋がれたまま。歌え歌え、古のうた。くるくるくるり、きらきらら。


 歌い続けていれば、キミは答えてくれるだろうか。


 キミは今どこにいますか。声も、歌も、何も聞こえない。


 待ち続けていたボクの前に、キミではない人間が現れた。何が起こったのか分からなかった。大事にしていたキミのための鏡から、キミでも、アリスでもないやつが現れたのだ。


 キミはこの歌を誰かに教えてしまったのか? これは、ボク達の合言葉。ボク達を繋ぐはずの歌なのに。


 ヤツのことは見失ってしまった。キミのことを何か知っていたかもしれないのに。


 あぁ、レイシー。答えてくれ。


 早く。早くアリスを捕まえないと。他の陣に取られる前に。ジョーカーを、ジャバウォックを、自由にさせるわけにはいかない。


 白の陣に栄光あれ。我らこそがアリスを手にする者。我らこそがチェスの頂点に立つ者。我らが正しい。


 レイシー。レイシー。キミはどこで何をしているんだい。





          ♠





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