KR-X09〈ガウェイン〉
・機体データ
機体名:〈ガウェイン〉
型式番号:KR-X09
主な搭乗者:ジン・ルクスハイト(《フリズスヴェルク》)
所属:革命団
席次:第12席 (暫定)
二つ名:『双剣』、『竜の片翼』
生産形態:ワンオフ機
種別:円卓の騎士機
動力源:ケルビムアーク
機体全高:4.2m
乾燥重量:2.7t
全備重量:3.0t
最大作戦行動時間:28時間
ジェネレータ出力:4000kW
最大自走速度:280km/h
跳躍高:22m
固定武装:なし
基本装備:AKAマント
基本携行装備:騎士双剣『ガラティーン』
・機体解説
円卓の騎士機として開発された最新鋭機。専用兵装は騎士双剣『ガラティーン』。
貴族院が、円卓の騎士の戦力増大と共に、技術的な問題が解決された高速分子振動による絶対切断能力を搭載した実験機である。
近接戦闘特化型高機動機という思想で設計され、フレーム部に柔軟性の高い素材を複雑に組み合わせた機構を持ち、機動性、反応性を高める新機構を搭載している。
その一方で、ガラティーンによる攻撃力と機動力に特化しており、装甲それ自体は非常に薄く、防御力は低い。また、基本装備が二刀で扱うガラティーンであり、盾の装備を想定していないため、防御力の底上げも困難である。
これは、先述した設計思想から、「当たらなければ問題ない」、「ガラティーンの切断力ならば、敵と打ち合う必要もない」という発想が導き出された結果である。
その分、出力は余分に確保されているが、複雑化した機構を動かすために、電力消費が激しく、実質的作戦行動時間は非常に短い。
また、整備の手間がかかるのも大きな弱点である。しかし、パーツ自体は複雑なものの、損耗しにくい素材であるため、十分に整備していれば、消耗品も長く使うことができるという利点も持つ。
専用兵装である騎士双剣『ガラティーン』は、先述したように、高速分子振動による絶対的切断力を持つ兵装であり、過去の円卓の騎士機に実験段階のものが搭載されていたことがある。
起動時には、剣そのものが高速振動していることが確認できるが、振動の安定化後は、分子振動レベルに抑えられており、目視で確認することはできない。
通常の騎士剣と異なり、片刃の剣としてデザインされているのも特徴である。
装飾装甲には紅玉の輝きを放つ希少金属を使用しており、初期段階に開発された円卓の騎士機、〈ガラハッド〉の蒼玉と対になるようにデザインされている。
当然、あくまで装飾であるため、装甲防御の向上には大きく寄与していないが、元の装甲防御が低い本機では他機に比べればその恩恵は大きい。ただし、装甲厚の増大の結果、装甲同士の干渉などの問題が発生し、機動力の低下を招いている。
なお、レジスタンス、革命団が奪取した後は、装飾装甲は一部の装飾に用いられたものを除いて、全て剥がされ、その下の装甲色である白銀の装甲を持つ機体となっている。
また、防御力の低さを補うため、ある程度のダメージに耐える、AKA(Anti Kight Arms)マントと呼ばれるものを増加装甲の代わりに装備している。
なお、型式番号のKRは円卓の騎士を、Xは試作機であることを、09は設計番号を意味している。
・運用について
本機はMCの中でも、イレギュラーな設計を持つ。すなわち、騎士双剣『ガラティーン』である。
この兵装は、二刀流での運用を前提としており、一般的なMCの剣と盾という装備からは逸脱している。
実際に、ほとんどの騎士が得意とし、騎士養成施設で学ぶ剣術は、攻め手を意識するか、守り手を意識するか、という戦闘スタイルの差こそあれ、剣と盾を用いるものである。
盾で受け、剣で攻めるという思考自体は、シールドバッシュという戦技こそあれ、同様である。
しかし、本機においては、二刀での怒濤の攻勢という点が重視されており、普通の騎士では扱いきれない代物となっている。
このため、騎士としての技量と、高位貴族であるという条件を満たす、円卓の騎士になり得る人材の中には、その戦術を身に付けている人材はいないことが確認されていた。
その事実を以ってなお、この機体の開発認可が下りた理由は謎であるが、セレーネ公が中心となって可決したことと、開発がセレーネ公爵領内で行われたことから何らかの目的があったと思われる。
・作中での活躍
『第1章 蜂起 -rebellion-』
革命団が行った、作戦参加人数5名の決死作戦『オペレーション・グングニル』にて、ジン・ルクスハイトの手によって、奪取され、以後彼の乗機となる。
奪取直後、騎士の油断があったとはいえ、最精鋭である円卓の騎士、シェリンドン・ローゼンクロイツの親衛隊が駆る〈ファルシオン〉を4機撃墜するが、その後、介入してきた円卓の騎士機、〈ガラハッド〉と交戦。
終始押され気味であったが、最終的には、エネルギープラント『ケルビム』の破壊に動揺した〈ガラハッド〉を撃破するも、小破する。
革命団の本拠地に戻った後は、改修され、正式搭乗者としてジン・ルクスハイトが選ばれた。
『第2章 接触 -Fate-』
ジン・ルクスハイトの手によって運用された。
ロベスピエール伯爵の騎士団を単騎で撃破し、その後、革命団が交戦中の区域に駆けつけ、残存MCを瞬時に撃破し、追い詰められていた革命団のMC部隊を救った。
『第4章 連鎖 -butterfly effect-』
マレルシャン子爵家の騎士団との交戦中に、革命団の首脳によって戦場に持ち込まれ、ジン・ルクスハイトが搭乗し、劣勢に陥っていた仲間を救援しつつ騎士団長を撃破し、戦闘の趨勢を決定する活躍を見せた。
・元ネタ
『アーサー王伝説』に登場する円卓の騎士の一人で、アーサー王の甥でもあった、ガウェイン卿。
正午にかけて力が三倍になるという体質を持っていたとされ、作品によっては、『太陽の騎士』とあだ名される場合もある。
ガラティーンという銘剣を愛用していたとされるが、エクスカリバーの姉妹剣であるとか精霊が与えた剣であるとか逸話はあるものの、入手経理等は不明。
また、ウェールズの英雄が起源とされ、グワルフマイ(5月の鷹の意)と同一視される。ケルト社会では、5月は夏の始まりであり、先述した『太陽の騎士』と繋がっているとも。
・作者の小話
装飾装甲に紅玉を用いたのは、ルビーが太陽の象徴とされるからです。
初登場後は、白銀の装甲を持つようになり、金剛石の輝きと形容していますが、これは、ダイヤモンドが永遠の絆を表し、悪霊を祓い、勝利をもたらすとされているからです。
貴族という悪に立ち向かい、仲間を勝利に導く。
新たなる光という名を持つレジスタンスの象徴に相応しいのではないでしょうか。
また、ガウェインが鷹の名を持つ人物と同一視されるというネタから、主人公のコードネームは決まっています。
《フリズスヴェルク》は、本来、北欧神話に登場する鷲からは名前を捩ってあります。
フレースヴェルグもしくはフレスベルクがよく知られる名前なのですが、フレスベルクは、雄鶏であるヴィゾーヴニルや鷹であるヴェズルフェルニルと混同されることがあります。
フレースヴェルグは、風を起こすものであるとか、死者をその嘴で裂く鷲であるとされ、ヴェズルフェルニルは、トネリコの枝に止まっている鷹で、風を打ち消すものという意味を持ち、ヴィゾーヴニルは、ユグドラシルの天頂に輝く雄鶏で、世界を照らすとされています。
この伝説に、鷹を象徴する太陽の騎士であるガウェインと重なるものを感じ、三つを語感良く組み合わせた雰囲気になるように、フリズスヴェルクという名前にしました。
本編で鷹を象徴する機体に鷹のコードネームを持つ自分が乗る、というジンの心境はここから来ています。
忠実とは違う伝説だと捉えてください。
型式番号と機体サイズ、重量、跳躍高を変更しました。