KR-X05〈ブルーノ〉
・機体データ
機体名称:〈ブルーノ〉
型式番号:KR-X05
主な搭乗者:ミッシェル・ナァバ・ド・フォン・レヴァナント
所属:レヴァナント家 (中立派)
席次:第9席
二つ名:『城塞』
生産形態:ワンオフ機
種別:円卓の騎士機
動力源:ケルビムアーク
機体全高:4.5m
乾燥重量:3.1t
全備重量:4.9t
最大作戦行動時間:68時間
ジェネレータ出力:3700kW
最大自走速度:220km/h
跳躍高:15m
固定装備:なし
基本装備:騎士外套『ラ・コート・マルタイユ』、騎士黒剣、騎士散銃、騎士弩、騎士盾
追加装備:対MC240ミリ電磁投射砲『光槍』
・機体解説
円卓の騎士機の一機。型式番号から分かる通り、5番目に設計された機体であるが、実際の生産順は比較的遅く、ロールアウトされたのは、5年ほど前のことである。
装飾装甲は、黒瑪瑙であり、層状の模様を施された黒の装甲を持つ。この模様には、気休め程度ではあるものの、錯視を起こす効果があり、遠近感をずらすことができる。
専用装備は、騎士外套『ラ・コート・マルタイユ』。肩に装備された、マント状の装甲と、背部に4本のアームで接続された盾と2本のアーム、マントの裏に隠された2本の隠し腕で構成された、黒色の装備であり、接触したものから加えられた力を、異なるベクトルに拡散させることで、最小化する能力を持つ。
マントは、背中からほぼ全身を覆っており、非常に高い防御力を持つ他、その裏側に複数の装備を、保持しておくことが可能である。
その一方で、マント部分の装甲圧は薄いため、ベクトルの分散が十分に働かず、連続で直撃すれば、貫通される危険性がある。このため、アームの先に取り付けた盾によって、防御することで、そのリスクを軽減している。
これは、ある程度、攻撃を感知して自動で防御を行うが、至近距離などでは、反応が間に合わないため、搭乗者が自ら操作する必要があり、結果として操縦難度が高くなっている。
内蔵された隠し腕には、同一の材質でできた小型の剣を装備しており、この能力によって、接触面からの反作用を拡散、最小化することで、高い斬れ味を発揮する。
また、隠し腕に、複数の武器を持ち、同時に扱うことも可能。
一方で、稼働する盾を除いた部分は動かすことができない他、ベクトル分散した力の大きさは、装甲圧に反比例し、拡散までにある程度時間がかかるという欠点があり、複数の方向から同時に攻撃を受けた場合や、装甲圧の薄い部分に、連続して攻撃を受けると、力を拡散しきれず、ダメージを受ける可能性がある。
このため、同じ盾を使って連続で防御しない、装甲圧の薄いマント部への被弾を避けるといった、運用面が本機の防御力を活かすためには重要となる。
また、コートの下は、〈ル・ノワール〉と呼称される、〈ガウェイン〉に近い小型機フレームであり、運動性は高いが、その耐久力は高いものではない。
このため、コートを失った場合の性能は、決して高くなく、〈ファルシオン〉の改修機である〈レガトゥス〉と同程度かわずかに勝る程度であると予測される。
先述したように、コートによる防御も完璧ではないため、その穴を埋めるだけの技量が要求される機体と言える。
なお、追加装備である光槍は、前線騎士の装備として試作されていた、〈ガラハッド〉の専用装備、『カラドボルグ』の一般モデルである。
搭載された弾丸を電磁加速、射出するレールガンモードと、レールの間にある空気を電離させプラズマ化し、プラズマを電磁加速射出するプラズマキャノンモードが実装されているが、原型とは異なり、近接格闘用のモードは存在しない。
プラズマキャノンモードでは、極めて電力消費が多い点、チャージが長い点などが問題点としてあげられ、その消費量は本体の機動を制限するほど。
また、レール部が非常に高熱になるために、プラズマキャノンを使用した後は、連続しての使用は不可能であり、数分間の冷却が必要になる。
レールガンモードは、弾丸の数に限りがあること以外は目立った欠点はないが、連続で使用しすぎると、レール部が融解する恐れがあるため、やはり連続使用には限りがある。
・作中での活躍
『第6章 悪意 -stare from abyss-』
〈ガウェイン〉を撃破するために、2度に渡って、旧ヴィクトール領を襲撃する。
1度目は、複数のアームを同時に扱う圧倒的手数と側近との連携で、双剣を操る〈ガウェイン〉を追い詰めるが、介入したティナによってダメージを受ける。
あわやというところで〈マーハウス〉を駆るアンヴェールに救出されるが、側近の〈レガトゥス〉は大破する。
2度目は、必勝を期して、射撃兵装である光槍を持ち出し、〈ガウェイン〉とレナードの〈アンビシャス〉に対して優勢に戦うが、突貫してきたティナの連続射撃によってマント前面を破壊され、光槍による全開の一撃もディヴァインによって封じられる。
最後は、ミッシェルを見限ったアンヴェールの裏切りによってコックピットを貫かれ、機能を停止する。
・元ネタ
『アーサー王伝説』に登場する円卓の騎士の1人、ブルーノ。
ブルーノ・ル・ノワールが本名であるが、身の丈に合わない、父の形見のコートを常に身につけ、父の仇を討つまでコートを着直さないことを誓っていたことから、だぶだぶのコート、または不恰好なコートの意で、ラ・コート・マル・タイユの名の方が有名である。
物語としては典型的な、フェア・アンノウンの物語(顔を隠した美青年の物語。要するのシャアみたいなやつ)であり、ボーメンことガレス卿の物語と似通った部分が多い。
伝説の中では、王妃グィネヴィアを襲ったライオンを単独で撃退したことから騎士に任じられたとされ、初めて王宮に出向いた際に、先述の理由から、ケイ卿にラ・コート・マル・タイユ、と呼ばれる。
その後、『黒い楯の冒険』に登場し、マラディサンド(フランス語で罵る者の意)という乙女の求めに応じて、黒い楯の冒険に挑戦する。
旅の道中、騎士との決闘に負け続けで、その名の通り、マラディサンドに罵倒され続けるが、モルドレッド卿などは、「馬上での戦に慣れていないだけで、地上で戦えば、強い」と騎士としての技量を認めている。(騎士の戦と言えば、馬上槍での突き合いから始まるのが一般的だった)
なお、マラディサンドは、この話を聞いても相変わらず、ブルーノを罵倒している。
最終的にペンドラゴン城の戦いで、6:1の戦いに敗北し、マラディサンドと共に虜囚の身となるが、ランスロット卿の活躍で、救出される。その後、円卓の騎士に任じられ、マラディサンドを妻に迎える。
マラディサンドは、実は若いブルーノに冒険を諦めさせるために罵倒していた(要するにツンデレ)ことが判明し、ランスロット卿によって、ビアンペサント(フランス語でよく考えるの意)に改名する。
なお、父の仇を討てたかについては、さらっと仇を討てたと書いてあるだけで、それについての物語は描かれていない。
・作者小話
この機体と〈マーハウス〉は友人案を基礎としています。(まあ、かなり手を加えはしましたが)ナノマシンやベクトルの拡散、という能力は、友人案を、SFっぽくファンタジーにならない程度に調整するために頭をひねった結果だったりします。笑
すでにかなりファンタジックな設定が多いので、ファンタジーでもいいのかもしれませんが、一応、リアルロボット物を目指しているつもりなので、その辺は妥協したくないという気持ちがあったり。
ブルーノに関しては、ラ・コート・マル・タイユの存在から、そう設定に苦労した機体ではありません。
先述したように、〈ガウェイン〉のガラティーンを無効化する防御能力の設定に頭を悩ませた点です。
まあ、アームや隠し腕はジ・Oを筆頭にロボット物ではよくあるものなのですが、アーム部分が長いせいか、ゲデモノ感溢れる機体に仕上がってしまう結果になりました。
アームを鞭として扱う運用は作者も書いている途中に思いついたくらいですし。笑
レールガンもSFではありがちですね。名称は、ハスタはラテン語で槍、リュミエールはフランス語で光を意味するので、ちょこっといじってハスタ・リュミエーレとしました。
まあ、レールガンに関しては最近、SFではなくなったようですが。
作中の設定上では、レールガンの弾速はマッハ5-10程度を想定しています。ちなみに某軍が目指すのは、マッハ20overで爆弾を吹っ飛ばす変態兵器だとか。
ちなみに、APFSDSだと、2000m/sec程度で、塑性流動の関係上、威力限界を迎えるので、概ねこの程度の速度で発射している設定です。
ブルーノと聞くと、作者は覆面でバイクでデュエリストな人を思い出したりしますが、特に関係はありません。
レールガンというと、某学園都市第3位が出てきますが、こちらも全く関係ありません。
ハスタというと、槍と電気の眷獣が思い当たる方もいるかもしれませんが、こちらはネーミングの際に参考にした記憶があります。(というか、考えてる時にフランス語じゃしっくりこなかったのでハスタに思い至った)