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《9》現状把握

《前回のあらすじ》

愛の告白

キララとのいちゃいちゃと言う名の愛の告白を終えて、ちゃんと『砂山を作るキララちゃん(ろくさい)』を回収し、元聖樹、現在切り株に腰を下ろしている。


ぶっちゃけ、フェルテルの記憶により、現在位置は分かるものの、近くに町があるか、そしてその町が人魔どっちの勢力か分からないため、行動方針が定まってないんだよな。今。


だから、それを決めるために現在休憩込みの話し合いをしようということなのだ。


「第一回、これからどうする?どうしよ?会議を始めます」


ネーミングセンス溢れる題名に我ながら感心。


「………おお………」


パチパチと合いの手を頂き、さっそく第一の議題を持ち出す。


「まず、この付近の状勢ですね。お兄ちゃん、このあたり、人族の領土になっていると予測してますが、キララはどう思います?」


聖樹が切り株になっている時点でこの土地は一度人に荒らされてることが確定してる。


そしてチャラ男が言っていた勇者増殖なうという状況から、魔族が巻き返してる可能性は低い。


だから俺はこの土地が人族の領土であると予測した。


「…………はげど……」


キララもそう思うらしいので、たぶん合ってるんだろうなぁ……


敵領土からスタートってどんだけハードモードなんだよ…………


「そうなると、問題は魔族が何処まで圧されてるか、ですね。

元の領地の7割は人族の手に落ちてると予想します」


「……私……8割……」

むっ、8割か。


となるとそれくらいを覚悟しなければならないな。


情報量はキララの方が多いし、俺よりも的確な判断ができるから。


「そうですか。

となるとかなり遠いですね……」


現在地は魔族領の中程。


少なく見積もっても1ヶ月はかかるだろう。


俺とキララの持てる能力全てを使った最速でだ。


「……気長に………ガンバ………」


それしかないか。


「それじゃあ、問題は食料ですね……」


現在の持ち物は服数着にフェルテルの趣味のものが数十程度。


食料のしの字もない。


一応それらしいものはできるのだが……


「これ飲みます?」


「……ん……」


陽が落ち始めて肌寒くなってきたので俺はキララにココア"モドキ"を差し出した。


そして俺もココアモドキが入ったマグカップを物質化して一口飲む。


キララもちょっとずつ飲んでほんわか(雰囲気が)している。


その味はまさしくココアだ。


キララが淹れてくれたココアをイメージして物質化したのだから当然と言えば当然だけど。


まぁ、一応物質化すれば食い物も飲み物も出せるといったら出せる。


キララが作ってくれたものに限るが。


それで何が駄目なのかと言うと…………



物質化して作った場合、味と食感しか再現出来ないんだ。


つまり栄養素が全て抜け落ちてるのだ。

確かに俺はキララに関する物なら、お兄ちゃんパワーでほとんどの物は作り出してみせよう。


キララが作ってくれた物なら、味、食感、使われている材料全てを記憶してるから物質化できる。


でも、材料に含まれている栄養素までとなると、それは無理だと言える。


例え出来たらキララ込みの女風呂(らくえん)を見てもいいと言われても無理だときっぱり言える。


まぁ、その後自力で覗くけどな。


だってビタミンCイメージしてみろって言われてできるか?


っていう話だ。


物質化するには明確にそれ自体をイメージしなければいけないのだ。


無理。絶対無理。


だから、ビタミンC以外の栄養素も俺は物質化出来ない。つまりは空腹と喉が乾くのは抑えられるけど、それだけなのだ。


物質化で作り出した物だけを飲み食いしていると何れは栄養失調でぶっ倒れコースまっしぐら。


これハードモードなんかじゃない。


ベリーハードモードだ。


「1週間くらい。

それが俺らがまともに活動できる限界時間ですね」


「………………ん…………」


俺の予想にキララも重く頷く。


ハイスペックな体のおかげで1週間くらいはギリギリ戦闘ができる。


1週間が過ぎれば徐々に歩くだけでも辛い状況になる、がこの世界では戦えなくなった時点でそこらの魔物の餌になることは時間の問題となる。


だから、限界は1週間。


それが俺らに残された時間だ。現状のヤバさが確認できたところで次だ。


「キララはどれくらい戦えそうですか?」


「…………ん…………勇者…………上………4人……くらい…………」


上級勇者4人分か。


ルクセリアは魔王だったから上級勇者5人分よりも強かったことから考えると弱体化してるな……


それでも、転生してすぐのこの状態で4人分は凄いとしか言えないか。


俺はどうなのかとフェルテルの記憶から考察してみる。


勇者も人間であるため強さにも個人差があり、魔族は下、中、上の強さランクをつけていた。


人族側は下からアイアン級、シルバー級、ミスリル級と呼んでたみたいだけど。


フェルテルが生きていたころの勇者たちは全員上級。つまりは魔王たちは上級勇者5人と戦い勝てる強さがあった訳だ。


それで、先程戦ったゴーレムはフェルテルの経験から考察すると力量的に下級勇者二人分程度。


中級勇者は下級勇者3人分で、上級勇者は中級勇者5人分、つまりは下級勇者15人分だから――――


大体上級勇者2人と中級勇者3人分くらいか?


フェルテルの力量から考えると弱くなりすぎだな……


だってフェルテルはルクセリアよりも強かったのだから。


いかしきれてないんだよな……


宝の持ち腐れ感が半端ない。



「俺は上級勇者2人と中級勇者3人分くらいですから万全な状態なら魔物に襲われても大丈夫ですね。

それじゃあココアを飲み終えたら行きましょうか」


「……ん………」


キララがココアを飲み終わるまで待ち、マグカップの物質化を解除。


そして、記憶には街があった東へと二人で歩く。



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