《4》出会ったのは吸血鬼
前回のあらすじ
キョロキョロと辺りを見回す変質者
たどり着いた部屋を覗き見。
見たのはゴスロリ少女(服)
つまり、聞こえた悲鳴はそういうことなのかもしれない。
思った途端にとはタイミングが良すぎる気もするが調べずにはいられないだろう。
もしかしたら、同じ魔王に転生した者なのかも知れないから。
信用はできないが同じ境遇に陥った者同士助け合わなければいけないだろう。
まぁ、違うかもしれないけど……
ゴスロリ服を木箱の縁にかけて、フェルテルのローブを取って羽織る。
身長が伸びたせいか、少し短い気がするも、後でどうにもなるだろう。
扉を少し開けて外を確認。
灯りも人影も無し。
悲鳴が聞こえたのは左の方、つまり、俺が向かってた方だったな。
部屋の外に出て、警戒しながらもはや歩きで歩き出す。
はや歩きのおかげなのか、フェルテルの墓から小部屋までの距離より近いのかは分からないが、先程よりも早く扉へとついた。
ここの扉もやはり、というか魔方陣が彫られていた。
魔方陣に触れてみる。
何も変化はおきない。
つまり、この魔方陣も以前の二つと同じか。
魔方陣に触れてみる。
やはり変化はおきない。
防御の魔方陣じゃないのか……?
まぁ、気にしないでおこう。
どうせ分からないんだ、考えても仕方がない。
ゴクリっと唾を飲む。
どうやら思いの外、俺は緊張しているらしかった。
やはり、開けないでおこうか、という気持ちを頭を振って、脳内から追い出す。
ノーリスクで済むわけがないじゃないか。
一人だけしかいないということもあるのか、かなりネガティブになってる。
俺はもっとポジティブな人間だけど、見知らぬ場所に一人というのは精神的にかなり来るな。
あっちでは大抵誰かといたしな。
妹然り、クラスの巨乳委員長然り、クラスの変態友達然り。
あれ?
俺案外、リアルに充実していた?
まぁ、もう会えないんだから、充実してようがしまいが、関係ないだろう。
フェルテルの記憶から見ても、地球から喚び寄せたことは何回もあっても、送り返した事例は一つもない。
だから、諦めるしかないだろう。
未練はタラタラだけど……割り切るしか他がない。
大丈夫、何とかなる、ポジティブに行こう、と何度も頭の中で反芻させて自分に思い込ませる。
「よし、大丈夫です。
俺は出きるはずです。
って、あれ?」
と自分に言い聞かせるために呟くが、どうやら言葉遣いはフェルテル寄りらしい。
何故か今まで使ってきたかのような感覚で、口からスラスラ出てしまうのだ。
これは、フェルテルの記憶のせいかもしれない……
フェルテルは家族にすら敬語を使うやつだったからな。
だから、数千年の年季でそうなってしまうのかもしれない。
絶対に僕とは言わないが。
でも、あっちの奴等からしてみれば、俺が敬語使うなんて物凄く驚かれるだろうな。
割りきろうとしたすぐあとにまたあっちの世界を思うとは……
気を取り直そう。
俺は扉を軽く押す。
すると、扉が少し開き、中がほんの少し見えるようになった。覗いてみる。
中は、フェルテルの墓場と同じくらい広く、中央に石棺があり、そこからこちらを見ている少女がいた。
白――いや、灰色に近い白髪に病的なまでに白い肌。
そして血のように赤黒い瞳。
が特徴的な少女だった。
記憶にあるルクセリアの要素が半分。
そして―――――
俺の最愛の妹の要素が半分。
俺は警戒心もなく、部屋の中に入った。
「雲母ですね……」
見間違えようがない。
普通だった俺と違って、キラキラネームが似合ってしまうほどの妹。
才色兼備、品性良好を地でいく俺自慢の妹。
明るく人当たりもよく、友達も掃いて捨てるほどいる完璧超人。
ルクセリアとは真逆の存在だな……
ルクセリアは綺麗だけど物静か、というか、大人しいやつだったし……
雲母はじっとこっちを見つめて――
「……お兄…………ひさ………似合わな………」
そうきたかーーー。
しゃべり方は俺がフェルテル寄りなのと同じくルクセリア寄りということか。
雲母なら、もっとハイテンションで話しかけてくる。
「雲母も、しゃべり方変わりましたね。
お兄ちゃん、少し吃驚しましたよ」
「……はげど………」
激しく同意か。
まぁ、俺自身もそう思ってたしな。
「……キララ………キララセリア………」
「名前がですか?」
コクりと頷く雲母――いや、キララ。
まぁ、コレはまぁ仕方ないんじゃないかな。
キラ自身、雲母って名前は嫌いだったし……
それで名付け親の父さんを心底嫌ってたしなぁ。
――雲母ちゃぁぁぁぁん!!パパと遊びまちょうねぅえぇぇぇぇぇぇ!!!
――寄らないで!糞親父!!お兄ちゃぁぁぁぁん!!助けてぇぇぇぇぇ!!
俺の背後に逃げるキララ。
ショックで何故か部屋の隅で体操座りになる父さん。
そのあと、キララを宥める俺、父さんに笑いながら追撃をかける母さんというのが日常茶飯事だったからなー。
キララが一番嫌いな相手だったからなー。
まぁ、仕方がないだろう。
父さんが悪い。
でも、きららという自体を名前を棄てないってことは本当は嫌いじゃないのかもしれないと俺は思ってる。
「それじゃあ、情報の整理をしましょうか。
キララはルクセリアの記憶がありますか?」
「……ん……」
「ルクセリアはいつ死にましたか?」
「……フェル……からしばらく…………」
フェルテルが死んでからしばらくした後か……
しばらくってことは精々10年くらいか……
いや、魔族換算でいくと100年くらいか?
ルクセリアが死んでから今何れくらい年月がたってるかが問題だな……
「しばらくとはどれくらいですか?」
「………………62年……」
そんなにか。
「フェルテルが死んだ後どうなりましたか?」
「……フェル……死んで……戦争………」
フェルテルが殺されたから戦争になった?
俺の前世(?)様は戦争の引き金になったのかよ…………
といっても有り得なくもないってのがフェルテルの凄い所だよな……
フェルテルは言うなればこの世界の正義の味方みたいなやつだった。
人族も魔族も平等に助けてた。
だから、フェルテル信者というか、フェルテルを敬う者は好いている者が多かった。
だから、有り得なくもない。
「そう………ですか……
それじゃあ、ここが何処だか分かりますか?」
「……フェル……城…………」
フェルテルの城……?
ああ、フェルテルの妻の城か……
フェルテル自身は城とか持ってない。
フェルテル自身は結婚するまでの数千年間ずっと旅をしていた。
だから、結婚した時はフェルテルの妻が持っていた城を家とした。
城が嫁入り道具とか壮大な話だよな……
「つまり、ここは魔族領ということですか?」
それなら、戦争が終わってなくても少しは安心だな。
人族領なら、何があるか分からないけれど、魔族領なら、基本的に友好的なはずだ。
「……わからな………」
なんだって?
「どうしてですか?
いくら勇者がいたからって、ここは魔族領の中程、落とされてる可能性なんて……」
人族と魔族だと、全てにおいて魔族が勝れてる。
個々の能力は言うまでもない。
圧倒的に魔族が勝れてる。
例え勇者がいたとしても、5人いや、それ以上いなければ魔王たちの誰にも勝てなかった。
フェルテルが生きてた時にいたのが5人。
それから数人召喚したとしても、魔族を圧倒するには至らないはず……
数だって、魔族の種族全てをあわせれば、人族よりも多い。
何故なら、魔族全てが繁殖力が低いわけじゃないんだから。
小鬼族や大鬼族や豚人族や犬顔族と呼ばれるゴブリン、オーガ、オーク、コボルトなんかは人より勝れた繁殖力があった。
他にも獣人族なんかは獣耳とかがあって運動能力が人より高く、繁殖力は人と同じって種族もいた。
数は約2倍以上、総合的戦力は約10倍以上はあるはずだ。
それなのにわからない?
どういうことだよそれ。
「……勇者…………いっぱい………蟻みたい………」
「蟻みたいって………」
だから、チャラ男が狩れと言ってたのか…………
蟻みたいってことは、十や二十とかそんな数じゃないかもしれない。
百……下手したら千を軽く超えるか…………
それは…………
ヤバいんじゃないだろうか……
ひょっとしなくても、魔族は既に滅びる寸前かもしれない。
絶望的だな……
「それで、どうしますか?
魔族を助けるために勇者や人を狩りますか?
それとも知らんぷりして二人で逃げますか?」
「………お兄は………?」
俺は…………か…………
どっちかと言えば、俺は狩る派だな。
現在も戦争が終わってないとしたら、結局は戦争に巻き込まれるだろうしな。
人殺しには忌避感はあるけど、多少だ。
フェルテルの記憶がある今は、そういうのは薄れてる。
紛い物でも、経験は経験だ。
フェルテルは正義の味方だったが、一度敵と認識した瞬間相手には冷酷に殺していたからな。
俺もキララに刃を向けられたら全力で殺しにかかる自信はある。
キララは世界可愛い遺産に登録できるほどの可愛さだからな。
そんなキララに刃を向けるなんて殺して当然だ。
だから、勇者や人族を狩ることに異論はない。それに、フェルテルの弱点も俺は受け継いでるかもしれない。
フェルテルは味方には甘い。
だから、フェルテルは捕まった。
そして、今、賛成していることが俺がフェルテルの甘いところを受け継いでるという裏付けになってる。
それに、フェルテルが愛した。
つまりは俺を形作る片割れが愛していた人が魔族側なのだ。
だから、俺は助けたいと、手を貸したいと思ってる。
でも―――
キララを巻き添えにはしたくない。
だから――――
「俺は決められません。キララはどう何ですか?」
「……助けて…………兄妹………ハーレム………王国…………いえーい………」
妹は自慢げな顔をしてそう言った。
「兄妹ハーレムですか?
お兄ちゃん、突拍子も無さすぎて理解できなかったんですけど…………」
「……お兄と………私の…………ハーレム………」
あぁ、今度は何となく理解ができた。
「つまりは、俺とキララを中心としたハーレムを作ろうということですか?」
「……ざっつ………らいと………」
その通りとな。
つまり、キララが言いうには、魔族を助けて、獣っ娘や美女や美少女でハーレムを作ってしまおうと。俺達の。
あくまでも、女の子でのハーレムを作る。
異世界何だからそれくらいやっていいだろう、ということか。
動機が不純過ぎる気もするが、まぁ、いいんじゃないだろうか。
俺だって、男子高校生だ。
少し、そういうのには憧れる。
でも、そんなのが理由で、人殺しをしてもいいのだろうか?
いや、それでいいのか。
思想の違いで戦争をする方が馬鹿げてる。
それに、相手の国資源が欲しいから戦争するのと何が違う?
何かが欲しいから、人間というのは戦う。
それがハーレムが欲しいからという理由で戦って何が悪い?
そういう理由があった方が人間らしいだろ。
それに俺自身の想いに添っているしな。
「じゃあ、魔族を助けるという方向でいきましょうか」
「……いえーい………」
「それじゃあ、まず服を着替えましょうか。
なかなか扇情的な格好ですよ?」
キララの着ている服も虫食いがあってボロボロだった。
「……きゃあ……」
満更でもない顔しないでくださいよ。
まぁ、役得ではあるけどな!
でも、ちょっと恥じらいを持って「…………見ないで……」って言われた方が俺的には興奮したな。
テイク2お願いできないかな。
はい。最初のヒロインは妹の雲母と書いてきららと読むキラキラネームの持ち主キララちゃんでした!
キララちゃんは話を考える前より出すのを決めていたヒロインですが、一番初めに出てくるはずではなかったはずなのですが……
何か出て来ちゃいました!
まぁ、味方キャラで出すなら、このタイミングかな、と思い一番初めに出ました。
だけど、メインヒロインというわけでは……ありますね……
あれれれ、ちゃっかりメインヒロインポジションを奪ってますね…………
ま、まあ、何とかなりますよ……たぶん。
他のヒロインたちが頑張ってくれます!
そうに違いない!!
ついでに遊びステのせておきますね!
今回はルクセリアさんです!!
《名前》ルクセリア
《職業》魔王
《レベル》842
体力116870
魔力545370000
筋力732458
防御542020
素早さ978250
知力856780
魅力107878
運10000
スキル
超再生、蝙蝠化、吸血、暗視、闇魔法、 氷魔法、水魔法、土魔法、風魔法
ですね。
ついでに一般的な人族の魔術師ものせておきますね。
《名前》魔術師D
《職業》魔術師
《レベル》95
体力157
魔力674
筋力68
防御53
素早さ41
知力172
魅力66
運7
スキル
水魔法
くらいですね。
基本的にもやしっ子が多い魔術師なのでレベルが高くても筋力とかは低めです。
運動とかしなさそうですから。
どっちかっていうと威張って他人を見下してそうです。
ではでは。