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《2》転生って痛いんですね

前回のあらすじ

耳ピのチャラ男登場

主人公のノリに苦笑


※感想を頂けると今後の作品の良し悪しが変わってきます。

どしどしご応募して下さい

「……暗っ……」


目が覚めた。


そして物凄く真っ暗だ。


しかも埃臭いし何か圧迫感がある。


「――うがっ!?」


さっきの夢は何だったのだろうかと考えようとした瞬間頭に激痛が走った。


痛い物凄く痛い頭が割れそうになるくらい痛い!!


「くぅぅぅぅ――――!?」


暫く痛みに堪えてると今度は全身が痛み始め、声すら出なくなる。


痛い!!!!


「―――――!!?」


体が張り裂けそうなほど痛い!!!


どんどん痛みが増して、増して、増してくるッ!!


「――――――――!!!?」


どんどんどんどんどんどん痛みが増してバチッと何が切れる音がして痛みを感じなくなる。


それよりも、何も感じない。


何だよ、これ……


プールとかで水の上に浮いてるかのような状態。


いや、水の抵抗とか、重力とか、その他もろもろを何も感じないところに浮いている。


とにかく何も感じない……


訳が分からん……


でも……何か……眠い……


ね…………む……


寝そうになった瞬間、またバチッと音がして全身に堪えがたい痛みが走る。


「―――――――――!!?」


さっきと同じ痛み。


だけど急速に痛みが収まって、直ぐに痛みは無くなった。


「ハッハァッハァッハァッ!!」


体が酸素を求め荒い呼吸を繰り返す。


「ハァッハァッハァハァ……フゥー!」


息を調え、目だけを動かし痛みの原因を探す。


だが、そこには暗闇があるだけで原因は見つからない。


何だったんだよ!!あの痛みは!!!


考えろ。


俺は寝る前にゲームをやって眠くなって寝た。


そして変な夢を見た。


僕は『魔封じの鎖』で囚われて処刑された。


大勢の人間の前で。


僕?


何で僕って言った?


それにマフウジノクサリって何だ?


僕の一人称は俺だったはず……


いや……僕だった気もする……


あれ?


『魔封じの鎖』は魔力を散らして魔法を使えなくなる鎖だ。


あれ?


何でそんな知識があるんだ?


俺だった気もするし、僕だった気もする。


元々知ってた気もするし、知らなかった気もする。


おかしい……


俺は何だった?


宮前慎吾(みやまえしんご)だ。

家族に父さん、母さん、妹がいてちょっぴり変態で紳士な高校二年生だ。


僕は何だった?


フェルテルだ。


妻がいて娘がいた『魔王』だ。


おかしい。


慎吾だった記憶もあるし、フェルテルだった記憶もある。


何で記憶が二つもある?


おかしい。


何だよ、これ?


頭がぐちゃぐちゃする……


気持ち悪い。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。



「うぇっ……おえっ……」


気持ち悪すぎて吐いた。


胃の中の物を全力でぶちまけた。


それでもまだ気持ち悪い。


「あ……あぁ………ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」気持ち悪くて頭がぐちゃぐちゃして叫んだ。


髪を掻き毟る。


それでも、まだ頭がぐちゃぐちゃする。


何なんだよ!!


俺は俺なのに何故フェルテルがいる!?


僕は僕なのになぜ宮前慎吾がいる!?


俺は、僕は何なんだ!!?


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


もっと頭がぐちゃぐちゃしてまた叫ぶ。


頭に焼けるような痛みが走り、どんどん痛みが増してくる。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

今度は痛みのせいで叫ぶ。


痛みが絶頂に達し頭のなかで何かが切れる。


そして一瞬視界が真っ白になってに視界に色がついた。


さっきまでと同じ真っ暗だったのに、今は小さな光の粒子、空気中に浮いてる魔力、魔素が感じられる。


ぐちゃぐちゃしていた頭の中がすっきりする。


清々しくて今までとは別人のようだ。


実際そうなのかもしれない。


俺は宮前慎吾だけどフェルテルでもある。


たぶん、あのチャラ男の夢は、夢ではなく本当のことだったんだろう。


今の俺には宮前慎吾の記憶とフェルテルの記憶。

混ざりあうことなく二つともがある。


気持ち悪かったのは二つの記憶で頭がパンクしそうになったからだろう。

というか、フェルテルの記憶が膨大すぎる……


まず、どれ程生きてるのか分からない。


何十なんて桁でも何百なんて桁でもない。


フェルテルは千数年、いや、下手しなくても数千年は生きている……


流石に万はいってないみたいだが……


有り得ん……生物学とかを完全に無視ってやがる……


だが、こっちの世界では魔力の質が高く量が多ければ長生きをする。


人間、こっちの世界では人族か。


一般の人族は40歳から50歳と地球では低めの平均寿命だけれど、良質、多量な魔力を持っていれば200年も生きるらしい。


だが、あくまでも人族は良質、多量な魔力を持っていてもそれくらいしか生きられない。


繁殖力が高い代わりに寿命は短いんだ。


逆に魔族は繁殖力が低く、寿命は永い。


特にフェルテルの種族は魔族でも随一の寿命を誇っており、数千年生きているはずのフェルテルでも現役バリバリだった。


もしかしたら、最初の痛みは膨大な記憶を俺の頭に入れ込もうとしておきたのかもしれない。


そう思うと俺の頭の形が不安になってくる。


もしかしたら変形してるかもしれない。


流石に何倍に肥大化や妖怪のぬらりひょんみたいに後頭部が長くなってるとかはないと思いたいが……ちょっと不安になってくる。

フェルテルは一応普通と言っていいのか分からないが、形だけは普通の人の形をしていたから大丈夫だとは思いたいのだが……


大丈夫だよな……?


とにかくここから出て見よう。


フェルテルは死んでるから、たぶんここは棺の中かなんかだろう。


そう考えればかび臭かったのも頷ける。


ついでに初めての魔法を使ってみるか。


フェルテルの記憶があるからどうも、初めてという感覚はないのだけれど……


フェルテルの魔法は特殊みたいだ。


魔族には種族特有の魔法がある種族が殆どだ。


フェルテルの種族もそれは例外ではないらしく、フェルテルも固有魔法を持っている。


というか、固有魔法以外使えないみたいだ。


記憶を探っても固有魔法以外使ってないし、フェルテル自身も記憶の中でそう言っていた。


ちょっと残念だ。

手から火の魔法を出して、これは上級魔法ではない、下級魔法だ。


とか言ってみたかったんだが、仕方がない。


普通の魔法は火、水、風、土の通常属性から、氷、雷、治癒といった特殊属性がある。


階級は、下級、中級、上級、至高級、神級、神滅級。


神滅級は生け贄を何千人捧げて戦争で使った国があるらしい。


胸くそ悪い。


個人が使った中で一番階級が高いのはフェルテルが知ってる中で神級らしい。


流石に神滅級は魔力が足らないみたいだ。


発動方法は簡単だ。


詠唱を唱えて、魔力を込めるだけ。


どれくらい、込めたかによって多少は変わってくるが、多量、良質の魔力を持ってなければそんなに変わらないらしい。


とにかく、詠唱さえ覚えれば簡単、お手軽に魔法が使えてしまうわけだ。


まぁ、魔力があればの話だけど。


一部の魔族を除いて魔族は長寿だけあって、ある程度はあるから誰でもある程度は魔法が使えるが人族は魔法が全く使えないほど低いのが2割、ギリギリ使えるが4割、使えるけど、それほどは……が2割、使えるが2割。


100年生きれるレベルが使えるの2割程度だ。


100後半から200年生きれるレベルだと千年に一度の逸材と呼ばれるレベルか、異世界から召喚された勇者のなかでもほんの一握りだけ。


要するに人族には簡単に使えるというわけではないらしい。


幼少、まだ一桁くらいの歳から魔法を使わせると魔力の質、量ともにあがるらしい。


まぁ、フェルテルが生きていた時代まで殆どの人、つまり人族も魔族にも知られてなかったらしいけど。


流石無駄に歳食ってるだけはある。


知識が豊富だ。


そして憧れていた無詠唱。


無詠唱をしたい魔法を見てその魔法が頭の中でイメージできるようにして、発動する際に、頭の中にその魔法をイメージして魔力を頭の中に出来たイメージに魔力を込めるとできるらしい。


何とも抽象的だが、フェルテル自身が固有魔法しか使えず、その固有魔法は元々詠唱すらしないというか魔法ですら怪しいものなので、人に訊くしかなかったみたいだ。


これも幼少の頃から無詠唱で使えるように教育しておかないと使えないらしい。


歳を食っていれば食ってるほど詠唱で魔法を放つという概念が固定されてイメージが定まらないし、イメージに魔力を込めるのが難しいからみたいだ。


これは一部の人には知られてるみたいだった。


まぁ、要するに英才教育大切ってことか……


と自己完結。


異世界から召喚された勇者の中にも無詠唱で魔法を放てる勇者もいるみたいだ。


コイツらはスキルということで色々と召還特典みたいなのがついてるらしく、その中に無詠唱とか相手の力量を視る能力とかが貰えるらしい。


流石、亀の甲より年の功。


フェルテルは色々知ってるな。


っと、記憶の整理は後にするか。


フェルテルは物識りだが、記憶が膨大すぎて思い出すのが面倒い。


少し思いだそうとすると直ぐに記憶の海に潜ってしまい中々浮き上がってこれない。


ただ歳食えばいいわけじゃないんだよな。


フェルテルの種族の固有魔法。


それはただ単純に魔力を物質化でき、操れるという単純なものらしい。


といっても、中々奥が深そうだ。


空気中にある魔素も元はと言えば、魔力。


だから、空気中の魔素と自身の魔力を物質化して操れる。


実際にフェルテルの戦い方は魔力を丸く物質化して飛ばしたり、魔力を壁状に物質化して盾として使ったりしてる。


他にもしてるみたいだ。


まぁ、とにかく俺もやってみよう。


フェルテルの力も継承しているはずだから、使えるだろう。


魔素が見えるってことはフェルテルの力も継承してるってことだし。


でも、俺が使うのは初めてだからやり易い自分の魔力でやろう。


まずは、魔力を感じる。

体の中にある魔力を溜め込んでる場所を感じる。


あった。


ここにあるのが魔力……いや、魔力は血液と同じように全身を回って体全体にある。


ただ一番魔力があるだけ。

次に魔力を放出。


体中から出せるが無駄を省くために手から出すのがいいんだよな……


魔力が貯まってる所から少量を両手に集めて放出。


手から光の粒子がまとまって出ていく。


それを棺の上の方に集めて……


ここからが少し問題がある。


フェルテルは幼少の頃に物質化し操る方法を覚えた。


だからか、フェルテルは使い方を感覚でしか覚えてない。


つまり、継承した俺は物質化の仕方と操り方の感覚がないのでできるかどうかちょっと不安。


たぶんできるだろうけど……堅さや操作性はフェルテルの時より数段劣るだろうな。


だから持ち上げるのに強度と力が足るだろうか……


まぁ、やってみよう。


魔力を物質化させると光の粒子から薄い白色の板に変わった。


魔力を物質化すると白色になればなるほど堅くなるらしいので、やっぱりフェルテルより数段劣るか……


気を取り直して、物質化した魔力板を上昇させる。


操作性もやはり劣るらしくフェルテルの記憶にあるものより数段動きがぎこちない。


だが、意外に蓋が軽いのか、蓋は徐々に持ち上がっていく。


開いた隙間から土が入ってこないことから土葬と違って、古墳やピラミッドみたいに何かの建物に棺が置かれてることがわかった。


一瞬、蓋が開いた時に入ってくる土のことを忘れていたので好都合だった。


重かったがドシンッという音がして上にあった蓋は地面へと落ちた。


外も真っ暗闇だったが、魔素の光があるため日が落ちる少し前くらいの明るさだ。


動かそうとするとパキパキッと体からする音に顔をしかめながらも体を起こす。


伸びをして体をほぐすともっと音がなった。


どれだけ体が固まってたんだろうか?


と思ったが窮屈だったから仕方がないと割りきっていると目がなれた。


何処だ……ここ……?


真っ先に目に映ったのは自分が寝ていたところ。

石でできた棺桶だった。


そして今自分が着ている服。


色落ちしていて所々に虫食いがあって服といっていいのか疑問に成る程ボロボロだった。


ボロ雑巾以上のボロボロさだ。


そして、一緒に目に入った俺の体。

慎吾として見れば体が小さくなって少し色白になってる。


フェルテルとして見ればちょっと大きくなって肌色が濃くなったな。


感覚としては俺とフェルテルの体格や肌色を総合的にみて半々かな。


身長はフェルテルの方につられて、肌色は俺か。


フェルテルの種族は名前を……確か……子魔族(こまぞく)といったはず……

その名の通り、子供並の身長をしているのが特徴の魔族。


ということはつまり、身長がフェルテルにつられてるってことはかなり低い。


140センチぐらいを覚悟していた方がいいかもしれない……


かなりショックだ……


下落気味な気持ちを切り替えて目線をあげる。


ただ広い部屋。


それが真っ先に思い浮かんだ言葉だった。


石造りの部屋で所々に劣化している痕跡があったが、手入れはされているようで、苔や雑草が生えているとかはなかった。


ちょっと酸っぱい臭いがする。


あっ、俺が吐いた物か。


一応今着ているボロ布で顔を拭く。


横向いて吐いたから顔に吐瀉物がついているかもしれないからな……


さてと、まず、ここが何処だか分からないとマズイ。


フェルテルの最後の記憶は人族に処刑されたところ。


何十本もの弓矢で蜂の巣にされて死んだ記憶だ。

しかも、何十本を一気にじゃなくて、一本ずつだ。


恐ろしい。


しかも、その時の痛みもリアルに覚えてるからもっと恐ろしい。


その最後から考えると、ここは人族の領地?領域?である可能性が高い。


でも、俺は棺の中に入っていた時に大声で叫びまくったから、人がいるのなら、誰かが来てもおかしくはない。


それなのに誰も来ない。


つまり近くに人がいないと考えるのが妥当だな。

っと、考えると博物館の地下とかかもしれない。

意外にありえそうだ。


こっちは可能性が少ないが、死体が魔族に回収されて、埋葬されたとかも有り得る。


まぁ、俺は俺が生きていた時代で人族の国の中ででもかなり大きい国の首都で処刑されたので、流石にそれはないと思うが……




とにかく、人族がいる領域だろうと、魔族がいる領域だろうと、まずは服を手に入れて体を洗いたい。


だって、服ボロボロでムズムズするし、体が吐いたせいで臭いから。


怖い人に会いませんよーにと半分やけっぱち気味に願った。


あっ、棺の蓋を閉めておかなければ……



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