プロローグ
20XX年某日 地球にて
(やばい、遅刻する!)
そう思いながらベルトを付けるためカチャカチャさせながら、走っている青年が1人。
今日は所属している社会人野球チーム「猫LOVEファイターズ」の決勝戦が行なわれる日だったのだが・・・。
「しまったなあー、昨日パ○プロの発売日だったからつい夜更かししてしまった。」
と間抜けな理由で遅れないように必死に走りながら次の角を曲がると、黒猫が道路を走って横切る光景が見えた。
そして、運が悪いことにその猫が横切ろうとする道路には、居眠り運転のトラックがスピードを落とさずに走ってきたのだった。
(轢かれるっ!!)
チーム名からわかるように、猫好き仲間で集まったチームなので当然その青年も大の猫好きだった。
猫を助けるために無我夢中で助けにいって猫を捕まえる所まではいいが、ベルトを直さず走ったためズボンの裾に引っ掛かってこけてしまう。
そして気づいた時は、ほんの数メートルまでトラックがせまっていた。
(せめて、猫だけでも助けないと・・・)
と思って猫を投げた瞬間、ドンっと鈍い音と体に衝撃が走って、自分の体と黒猫が宙に浮かんでいるのが分かった。
猫を助けれたのは良かったが、やっと勝ち進んだ試合の決勝戦に出られないのが悔しくて
(死ぬ前にもっと野球がしたかった・・・。)
と思いながら黒猫のほうを見つめると
『その願い叶えるニャ~』
と黒猫がしゃべりながらサムズアップした光景を見て、目の前がブラックアウトしていった。
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「大丈夫かー!!」
青ざめた表情のトラックの運ちゃんが、先ほどの起こしまった事故を確認するため車から飛び出してきた。
「あれ、誰もいねぇ・・・。」
そこにあったのは、青年も黒猫も存在しておらず
青年が被ってあった野球帽しか見当たらなかった。