凡人がまとめる天才だらけの部屋(映画部シリーズ)
時は世紀末
緑と水に満ちた美しき惑星 《アース》
争いのない平和な星に宇宙からの侵略者《アベイロン将軍》率いる《ディシャプレン帝国》により人々は、長きに渡る戦争をしいられていた
しかし、圧倒的な戦力の前に人々は、絶望を感じていた
そんな中ーーー突如白き輝く光と共に戦場に一人の美少女が現れた
帝国の兵器を次々と破壊していく彼女の姿は蝶のように美しく、獅子のような気高い者だった
慌てた《アベイロン将軍》は「何者だ⁉」と聞いた
彼女は言った
「私の名はーーーこの星に平和をもたらす者《ウルトラビューティーガール リオ》‼!」
決まった☆
「カットーーーーーー‼!」
「ふぼわっ」
突然、男のラリアットが《リオ》を襲う
「げほげほ」
「何で台本通りやらないんですか‼このシーンだけで何テイクするつもりですか⁉武島先輩‼」
ここで説明に入らせてもらおう
ここは《アース》という星でもなければ、世紀末でもない
私立光清学園映画部の特設ステージで撮影をしている真っ最中だ
ラリアットされてむせてるポニーテールで茶髪の女生徒は武島 理央先輩、私立光清学園2年3組所属で彼女はここでは女優として活躍している
そもそも彼女は現役の女優で新人女優賞など賞を最年少で取っている
ただ割と自由奔放で若干人とは違う感性を持っているため扱いに苦労している
「いやいや、ただの冗談だよ 堅苦しくない方がいいと思って」
「だからって台本丸々変えるのはやめて下さいよ!しかも今の話完全に先輩の空想じゃないですか⁉ていうか《アベイロン将軍》って誰ですか⁉」
「あぁ、あれは風紀委員長の阿部さんだよ
あの人上から目線だから丁度いいと思って」
「いや誰ですかその阿部さんって、そんなひと勝手にいれないでくださいよ」
「わぁ〜ん みなみぃ橋本君が虐めてくるよ〜」
そういいながら武島先輩は中野先輩にしがみついた
「あらあらダメじゃないカイ君、虐めたりしちゃ」
この長い黒髪でスタイル抜群なお姉さん的な人は中野 南先輩、2年1組所属でここではメイクや衣装などを担当している。彼女は現役の読書モデルでまたファッションセンスに定評があることから、先輩が着ている服などが大ブームになっている
見た目はとても誠実でおしとやかなようにも見えるが本質は超がつく程のドSで、彼女の餌食にあった人が何人いるかは計り知れない
「いや、虐めてませんから。ていうか中野先輩からも何とか言ってください」
「里緒ちゃんを虐めるのは私なんだから」
そう言って不敵な笑みを浮かべたのを見て俺は黙った
「さっ斎藤先輩も困りますよね?何度も撮り直すの」
そういいながら俺はカメラの調整をしている斎藤先輩の方を向いた
栗色の髪に眼鏡をかけたいかにもインテリって感じの人が斎藤 拓人先輩、2年4組所属でここではカメラや機材の調整または編集などを担当している
勿論この人もすごい人で2歳の頃から機械に興味を持ち、小学生でPCゲームを作り、中学生にして製作したPCゲームが爆発的大人気となり、現在では様々な会社からのオファーが殺到している
機械に関しては頼りになる人なのだが、紳士な部分があるため尊敬できない
「んっ?いや俺は問題ないよ」
「ほら〜斎藤君も問題ないって言ってるじゃん」
「ウム、武島さんのパンチラはいつ見ても芸術だ 橋本、グッジョブ!」
「駄目だこの人、早くなんとかしないと」
「全く、これだから庶民は」
そういいながら奥から同学年でお嬢様の東雲が来た
金髪で青い目をしたお嬢様風のが東雲 麗華、1年2組所属で日本きっての大財閥東雲財閥の一人娘で、幼い頃から英才教育を受け日本語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語を話せ、さらには成績はトップクラスで全国模試は最低5位圏内という天才
映画に多額の費用を注ぎ込めるのも光清学園が東雲財閥の所有する学園だからこそである
しかし彼女は恐ろしい程に不器用なため、部活ではアシスタントとして活動してもらっている
「貴方も大変ね橋本君、こんな問題児を扱うのは」
「まぁな」
「ならここはやはり私が『結構です』まだ何も言ってませんわ」
「渡辺先生は何処にいるんですか?」
そういながら俺は辺りを見渡した
「渡辺先生なら疲れたからって帰ったわよ」
「あのダメ教師」
んで、先程からここの天才児たちをまとめようとしている赤茶色の髪と童顔なのがこの俺、橋本 海斗、1年5組所属で何の特質もない普通の一般的な、何処にでもいる高校生
本来このような天才だらけの場所にいるはずはないのだが、何故か俺がここの監督に押し付けられてしまった
「とにかくちゃんとやってくださいよ。いつまでも同じとこ撮ってても仕方ないし」
「でもさぁ、この話堅苦しいんたよね」
「確かに少し高校生には難しい内容よね」
「うぐっ」
「見せる相手とストーリーの難易度がミスマッチしてるしな」
「うぐぐっ」
「内容もまとまっていませんしね」
「うぐはっ」
皆の意見が俺の心に刺さった
だが無理言われては困る。素人同然の俺が考えたものなどたかがしれている
「だったら皆さんはどんなストーリーがいいんですか?」
「王道バトル‼」
「さっきの続きしたいだけでしょ」
「下僕が女王様にお仕置きされる話」
「それ先輩の趣味でしょ 高校生にはよくないですよ」
「ドキッ女だらけの大運動会」
「そんなもんできるわけないでしょ」
「私を主役にした感動の『却下』まだ何も言ってませんわ」
「もう!真面目に考えてくださいよ」
「じゃあ、王道バトル女王様プレイ式大運動会型感動ストーリーで」
「無茶苦茶じゃないすか⁉てかっ先生居たの⁉」
面倒くさそうな顔して突然現れたこの女性が渡辺 亜子先生、この映画部の顧問で一年生の学年主任をしている
顧問といっても面倒なことはすべて俺に押し付ける人で顧問とはとても呼べない
独身で本人は29歳と言っているが実際は
「橋本〜、何な失礼なこと言おうとしてない?」
このように妙なところで感の鋭い人でもある
「さぁ、元気に次行ってみよう‼」(空想的な意味で)
「カイ君 また頼むわよ」(ラリアット的な意味で)
「橋本 また頼むぞ」(パンチラ的な意味で)
「橋本君 お願い」(出番的な意味で)
「橋本〜 ファイト〜」(人任せ)
「あぁ〜もう‼皆勝手なこというなぁー‼」
この話はバトルでも、ファンタジーでも、ミステリーやホラーでもラブストーリーでもない
ここ私立光清学園映画部の監督として奮闘する凡人とハチャメチャな部員達との日常
どうも始めまして、SROと申します
今回は《凡人がまとめる天才だらけの部屋》を読んで頂き誠にありがとうございます。
今回が始めての短編小説となりましたが、正直出来はよくなかったかもしれません。しかし、私なりにやれるだけのことはしたので良かったと思います。
さて、私はこの“小説家になろう”には前々からお世話になっていて、私もいつか書いて見たいと考えていたのでとても嬉しいです。
今後も小説を書いては載せていきたいと考えています。
これを読んでくださった方、感想やアドバイスなどあったら是非お願いします。