押し入れにあった黒歴史
僕は背を伸ばして屈伸した。長時間の片付けで身体が強張っていたからだ。
片付けをしていると、なにやら懐かしい物がいっぱい出てきた。
小学生の頃にやっていた剣道の大会の優勝のトロフィー。
中学生の頃にやっていた剣道の大会の参加賞。
高校から始めたソフトテニスの準優勝のトロフィー。
あらかた片付いたかな、と一息つく。
すると、まだ押し入れには触っていないことに気づいた。
しょうがないな、と気合を入れ直して押し入れを開ける。
すると奥から埃の被った箱が出てきた。
心当たりがない。
なんだろうと思って、その箱の上に付いていた埃を払って開けてみた。
中には昔使っていたノートがあった。
表紙には『設定ノート』と書いてある。
ノートを持つ手が止まった。
なぜここにある。
中学を卒業すると同時に燃えるゴミに出して捨てたはずなのに。
僕はおそるおそる捲り、一ページ目を見る。
『漆黒の騎士』
僕はノートを見なかったことにしようか迷った。
だが見間違いだと信じて、またノートを開いた。
『漆黒の騎士』
『漆黒の黒炎を身にまとい。
3組のさゆりちゃんを魔王軍から救うべく立ち上がった』
†漆黒の騎士たかし†
なんでこれがここにあるんだよ。
そう。
これは。
厨二ノートだ。
うん。
まあ、いい。
今となっては良い思い出だと考えた方が幸せだ。うん。
このノートのページを捲っていくと、過去の記憶が蘇ってきた。
ああ、僕って学校に長ネギを持って行って、伝説の剣だと言い張っていたっけ。
あだ名はナイトくんだったな。
そして忘れもしない。
中学生最後の剣道の大会の団体戦の大将戦。
当時の僕は必殺技にハマっていた。そして突きと同時に試合中に叫んでしまった。
『シャイニングセイバァアアアアアア!!!!!!』
よし!!決まった!!!!
ふつーに反則取られた。
うん。
仲間たちの目が痛かった。
それからはセイバーくんが僕のあだ名になった。
中学の卒業アルバムの寄せ書きには
『たかしくん、私は姫ではありません。』
『ナイトくん、卒業おめでとう。』
『セイバー、卒業しろよな。』
『セ……』
いや、これ以上語るのはやめよう。
僕の名前はたかしだ。
セイバーではない。
シャイニングセイバーが心を抉りながらも、ノートの最後まで読んでいく。
今となっては良い……良い思い出だったと自分に催眠術をかける。
目を走らせていくと、最後のページの余白部分に僕の字じゃない文字が書かれていた。
『それをすてるなんてとんでもない』
by 母より
『なにやってんだァ!!!!クソババァああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
僕の絶叫が部屋に鳴り響いた




