U.2「古代兵器」
「なんだぁ、掘削用の魔具人形じゃあなさそうだなぁ」
アルキタ・バコーンは疑うようにチュ・コイノを見ていた。
一瞬の沈黙。
次の瞬間、バコーンの姿が忽然と消えた。
ガンッ!
チュ・コイノの盾に何かがぶつかる音が響く。
「やっぱりこいつは戦闘用だなあ」
声のした方向を見ると、さっきまで目の前にいたバコーンが、いつの間にか後ろで頭を掻いていた。
イーコと上太郎は何が起こったのか理解できない。
だが、盾に傷がついているのを見て、ようやく攻撃を受けたのだと気づいた。
バコーンは鼻で笑う。
「どこで見つけた魔具人形か知らんが、かなり錆びついてるな。これで抵抗とはな。
ルールはルールだ。責任者に歯向かったお前らは、ここで事故に遭ったことにする」
再びバコーンが消えた。
盾に連続して衝撃が走る。
ガンッ、ガガンッ!
「お前ら、なかなかやるな。ではこれでどうだ」
イーコと上太郎は“なかなかやる”の意味がわからなかった。
自分たちは何もしていない。
バコーンが勝手に盾へ突っ込んでいるようにしか見えない。
攻撃はさらに激しくなる。
しかし、すべて盾が受け止めていた。
――いったい何が起こっているんだ。
三人の脳裏に同じ疑問が浮かぶ。
そのとき、上太郎は操縦席のモニターが赤く点滅していることに気づいた。
“ファイナルアタック”
はっきりと文字が表示されている。
「……倒せるかもしれない」
理由はわからない。
だが、上太郎はその文字をタップしていた。
チュ・コイノがバコーンから距離を取り、全身が赤く輝く。
「ファイナルアタックモード移行しました」
操縦席にアナウンスが響く。
「何をしたんだ?」
イーコが聞くが、上太郎もわからない。
ただ――
「バコーンを倒せるかもしれない」
その思いだけが胸にあった。
イーコは上太郎を信じた。
二人は操縦席から落ちないよう、手足でしっかりと固定する。
チュ・コイノは剣を前に突き立て、盾を構えた。
そして――
バコーンめがけて猛スピードで突進した。
バコーンも攻撃が来ることを察し、身構える。
「たかが古い魔具人形に、俺がやられるわけないだわさ!」
「いっけー!」
叫びが交差し、一瞬の静寂が訪れた。
「違反行為はしょばつ――」
バコーンの言葉は最後まで続かなかった。
チュ・コイノの背後で、爆発が起きた。
ドォンッ!
「ファイナルアタックモードからドライブモードに移行します」
アナウンスが流れる。
剣先は高熱を帯び、盾は何かを弾き返したように煙を上げていた。
「……何が起こったんだ」
イーコが呟く。
爆発音を聞きつけ、採掘所の従業員たちが集まってきた。
「なんてことだ……」
倒れたバコーン。
その傍らに立つチュ・コイノ。
操縦席にはイーコと上太郎。
従業員たちの視線が集まる中、上太郎はぼそりと言った。
「やれやれだぜ」




