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ユーマ殿、夜分失礼する。

クラリーサ、獣人族に再誕!

 あれから3日後に、王宮から手紙が届いた。

 内容は、改めて俺の事を通達して認知を徹底した事と、あの時に絡んで来た貴族の令息は貴族籍を剥奪して王都から追放した、と書いてあった。

 そして、今、俺は屋敷の中庭でクラリーサと模擬戦を繰り広げている。

 クラリーサは、拉致誘拐の経験から弱いままじゃダメだと思ったみたいで、3日前から戦闘訓練を始めていた。

 しかし、此処で想定外な事実が判明した。

 獣人族になったクラリーサの基本的な身体能力が高過ぎる事だった。

 最初の内は、騎士志望だったシャルルに教わったり、騎士だったティモンや元Bランク候補の冒険者チェラ達が相手をしていたが、2日目には身体能力だけで勝ってしまっていた。

 もうね、身体能力が上がって動体視力や反射神経とかの数値も跳ね上がったお陰で、ティモン達の技術でも捌ききれなくなってしまい、俺達が相手をする事になった。


 夕食を済まし、風呂も終わらせて部屋でのんびりしていると、ノックが鳴り響いた。

 入室の許可を出すと入って来たのは、コトネ、セシリア、リン、ユズハ、アル、クラリーサ、リエスティナだった。


「ユーマ殿、夜分失礼する。」

「どうした?」

「此処に居る皆と相談したのだけど、冒険者としてのチームを2つに分けたらどうかと。」

「……」

「あの邪神との戦いで痛感したのよ。」

「私達ではお荷物になる、と。」

「……分かった。充分に考えた上での結論だな?」

「はい。」

「それならそれで、皆の意思を尊重する。それでどう2つに分けるんだ?」

「ユーマ殿のチームは私とリンが、セシリアをリーダーとしてユズハ、アル、クラリーサ、リエスティナとなります。」

「そうか。クラリーサとリエスティナは冒険者として頑張るのだな。」

「はい。これだけの身体能力ならメイドとして働くより冒険者として頑張る方がユーマ様のお役に立てると思いました。」

「私も同じです。」

「分かった。明日にでも冒険者ギルドに行って手続きをしよう。」

「「「「「「「ありがとうございます。」」」」」」」



 翌日、朝食を終わらせた後、俺達は冒険者ギルドに行き手続きをするのだが、書類上の関係で「クラン」となり、追加で手続きが増えた。

 因みに「クラン」とは、2つ以上の冒険者チームが組み、連帯責任が発生する場合に必要な形式で、言わばクランとは「家」で、それに所属する冒険者チームは「子供」的な扱いになる。

 そして、面倒なのが、クラン名やチーム名を考えないといけない事だ。

 結構悩んだ末に、クラン名は「星屑(スターダスト)」で、俺のチーム名は「星屑(スターダスト)(アイズ)」となり、セシリアのチーム名は「星屑(スターダスト)(ウィング)」となった。

 ……すまん。

 セシリア達は喜んでいるが、「厨二病」という単語を知る俺にはこれが限界なんだ。

 だってな、コトネやセシリア達の外見に負けない名前となると、どうしても、こういう名前になるんだ。


 1ヶ月後、こうして俺達は2つのチームに別れて始めたのだが、セシリア達に贈り物を用意した。

 1つ目は、クラリーサとリエスティナの装備だ。

 勿論、素材はルドラ達の爪や牙等だ。

 2つ目は、馬車だ。

 勿論、素材はルドラ達の鱗や毛皮等だ。

 外見も、神話の戦女神の馬車、と言える白基調の色合いにしているから目立つが、セシリア達が使うから問題無い。

 ユズハ以外は貴族令嬢と王女だからな。


 ……なお、馬車の製作に於いて、白い狐さん達との壮絶な値上げと値下げ交渉が有った事を此処に記す。


 馬車を引く馬も、瞬破馬王(ハイ・スレイプニルロード)のシュンの7番目の娘「ナナミ」が引き受けてくれた。


 後、最後の贈り物として、容量は男爵級屋敷がすっぽり入る上に時間の進行が遅滞のマジックバッグを2つだ。

 マジックバッグに入れた氷が水になる迄の時間は5日だ。

 これなら、色々と使えるだろうし、しかも自作だ。

 材料は、当然ルドラ達の鱗や毛皮等から。

 それぞれのマジックバッグには、モンスター避けの結界付きのトイレを入れてある。

 更に、使用者登録をしていない者には認識されない様に認識障害の魔法結界を張れる様にしており、ゴミは中に居るスライムが処理するというエコ仕様だ。

 序でに言うと、このトイレ、冒険者の現実を知っているセシリア、ユズハ、アルは喜び、まだ現実を知らなかったクラリーサとリエスティナは引いていた。

 止めに、マジックバッグにはエリクサー等の各ポーションを各20本ずつ入れてある。


 裏話的にはリエスティナが劣等感を感じていたから、補助系魔法と治癒魔法の特訓をして充分に冒険者としてやっていけるレベルになった。


 それと、奴隷だけで冒険者が出来るのかと疑問に思ったが、異世界あるあるで、奴隷に働かせて主は「ヒモ」みたいなのが、この世界では常識なので問題無い。


 そんな訳で、俺とコトネとリンの3人旅が始まった。


「今までは、やって貰ってたのを自分でやるだけだから問題じゃないけど、やっぱり、もう1人ぐらいは欲しいな。」

「そうだな、ユーマ殿。」

「私、頑張りますから、ユーマ様。」

「ああ。リンには期待しているよ。」

「ありがとうございます、ユーマ様。」


 俺達は今、善意でお金をくれる盗賊と呼ばれる人達から装備品を剥ぎ取っている最中だ。

 この後、貯金箱(ためたおたから)を受け取りにアジトに行く予定だ。


「助けてください!」



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