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……無知とは本当に恐ろしい「罪」ですね。

結局は、お金「も」大事です。

 俺はクラリーサに全てを話した。

 クラリーサに邪神ギルガゾルが降臨した事、俺が邪神ギルガゾルを倒す事で邪神ギルガゾルが再封印された事、クラリーサが何かを飲んだ事と邪神ギルガゾルが降臨した事で、クラリーサの中から邪神ギルガゾルが消えても目覚めなかった事。

 クラリーサを目覚める為には人族以外の存在にならなければならない事、クラリーサやリエスティナにはかなり薄いが神獣の血を継いでいる事、その神獣の血を覚醒する事でクラリーサを目覚める事が出来た事を話した。


「……そうですか。」

「リエスティナ、今日はクラリーサと一緒に居てやれ。

 それと、リンとユズハ、隣の部屋に居て欲しい。クラリーサに呼ばれて質問されたら答えてやってくれ。」

「はい、ユーマ様。」

「分かった、ユーマさん。」


 あれから3日経ち、やっとクラリーサは獣人族としての生活に慣れて来た様だ。

 因みに、この3日間に頑張って白い狐さん達には特別報酬を支払ったけど、皆さん大変喜んでいたよ。

 そして、俺達は今、王宮に向かっている。

 あの日、クラリーサは大丈夫だと思った俺は、王宮に手紙を送り返信の手紙には3日後に来て欲しいとあった為、俺達は王宮に向かっていた。


 王城に到着して、何時も様に案内され王宮の応接室で待っていると国王と宰相とアイリスが入って来た。


「先ずはユーマ。君には感謝している。」

「送った報告書が役に立って良かった。」

「ああ。あの報告書でかなりの膿みを出す事が出来た。」

「ユーマ様。私からも感謝を述べたい。私達もそれなりの証拠を集めていたが、決定打が無かった。」

「まあ、俺としても驚いたよ。あんなに詳細な報告書が来るとは思っていなかったから。」

「それで、ユーマ殿。どうやってあれ程の詳細な報告書を手に入れられたのでしょうか?」

「あれ? アイリスから聞いていないのか?」

「ユーマ様。あの情報は私達王族にとっては笑えない内容でしたから。」

「そうか。」

「アイリス。どういう事だ?」

「お父様。いえ、国王陛下。あの報告書は恐らくグランブルム商会が用意したものだと思われます。」

「何故、此処でグランブルム商会の名が出るのだ?」

「それは……」

「その先は俺が言うよ。この大陸の全てのグランブルム商会は俺の味方だよ。」

「……今、大陸全てと言ったか?」

「ああ。まあ、俺も全てのグランブルム商会を知っている訳じゃないけど、グランブルム商会としてなら、その国の国王よりも俺の方に味方してくれる。」

「……つまり?」

「ユーマの気持ち1つで、全グランブルム商会が敵に回るという事です。」

「アイリス。そんな真剣な顔で言わなくても、しないって経済戦争なんか。」

「そう思っているけど、ね。」

「やはり、ユーマよ。アイリスと結婚しないか?」

「アイリス自身は魅力溢れる女性だけど御断りするよ。」

「……やはり駄目か。」


 その後は、軽く雑談して王宮から移動中に、貴族の令息と出会った。


「幾らだ?」

「は?」

「幾らだと聞いた。」

「誰に?」

「貴様に決まっているだろう。」

「何に対して?」

「貴様の後ろに居る奴隷共だ。」

「売る気は無いので失礼します。」

「待て! 貴様、ボクの言葉を無視するつもりか!」

「無視するも何も、……はあ。すいませんが宰相以上を呼んで頂けませんか。」

「は、はい。」


 俺のお願いを聞いて案内してくれていたメイドが王宮の方に帰っていった。


「貴様、どういうつもりだ?」

「情報収集もまともに出来ない奴の相手にするのが面倒臭いからだよ。」

「貴様ー!」


 目の前の馬鹿令息は何度も殴り掛かって来たから、まあ、避けてあげた。


「良い度胸だな。貴様や貴様の家族が不幸な目に会っても良いのだな。」

「……」


 茶番の相手をするのも面倒臭いと思って無視していると、宰相が到着した。


「どうされました?」

「これは宰相様。実は身分を弁えぬ者が分不相応な奴隷を引き連れておりまして憐れな奴隷を救出しようとしていた所です。」

「……と、言っておりますが。」

「貴族特有の傲慢な態度で、権力を振りかざして彼女達を俺から奪おうとしていました。」

「やはり……」

「きちんと王都の貴族達に伝達しているのですか? 俺は我慢出来ても、貴方達の事は一切気にしない、あの御方は我慢出来ない可能性が有るのですよ?」

「申し訳ありません。再度、徹底して通達します。」

「お願いします。他でもない、貴方達の命が掛かっているのですから。」

「後は、私が対応します。」


 こうして、俺達は宰相に後始末をお願いして、王城を後にしたのだが、やっぱり居るんだなぁ、あの手の馬鹿。



 宰相side


 正直、毎回緊張します。

 ユーマ殿自身は、此方がきちんと対応すれば、礼節を持って接してくださいますが、それでもユーマ殿の気持ち1つで、この王都の存亡が決まるかと思うと毎回、胃が痛いものです。

 今日も無事に終わって安心した所で、ユーマ殿達の帰りの案内をしていた筈のメイドが私の所に来て「大変です!」と言った時には、背中に溶けかけの氷を落とされた様な気分になりました。

 慌てて行ってみると、通達を認知していない貴族の令息がユーマ殿達に絡んでいるみたいですな。

 何とかユーマ殿達にはお帰りになって頂いたが、どうしてくれようか、この阿呆は!


「貴方は、確か、グレーテラ伯爵家の次男で名前はハングレーでしたな。」

「はい。宰相様が私如きの名前を覚えて頂き光栄です。」

「君は王宮からの通達を確認していないのかな?」

「え、何をです? それよりも、良いのですか?」

「何がです?」

「先程の、恐らくは平民でしょう。何故、宰相様が気を使うのかは分かりませんが、あの様な平民に、あの極上の奴隷は分不相応です。あの様な奴隷は、我らの様な選ばれた存在である貴族こそが相応しい。今からでも遅くありません。今直ぐにあの平民に適当な罪を着せ、あの奴隷を手に入れるべきです。」

「……」

「そして、あの奴隷を手に入れた暁には、宰相様に献上しますので、来期から王城で文官として働く私を覚えて頂けたら幸いです。」


 ……無知とは本当に恐ろしい「罪」ですね。

 その一言一言が、自身を含めた王都の滅亡に繋がっている事に気付かないとは……


「宰相様?」

「……はぁ。この件に関して王宮から通達を出します。それを『きちんと』確かめる様に。」

「分かりました!」


 これは厳重に確かめる必要がありますね。

 馬鹿貴族の所為(せい)で王国が滅んだなんて、あまりにも馬鹿馬鹿しくて死ぬに死ねませんから。




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