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見事に引っ掛かったな。

やっぱり難しいです。

シリアスな戦闘は。

「うむ、なるほどな。仲間殺しの『傷』か。」


 邪神ギルガゾルは、戦闘の合間に俺が斬った腕を拾い再接合して使える様にしていた。

 俺が身体強化10倍を使っている最中にだ!

 ……邪神ギルガゾルは半分も力を出していない。


「くかかかか! 良い覚悟だ!」


 そして、戦闘は続行され、俺は邪神ギルガゾルの弱点や、現世に繋ぎ止める為の『核』を探す。

 幾ら、準備をしていたとは言え、たった1人の命程度で、封印された『邪神』を解放なんか出来る訳がない!

 恐らくは仮初めでしかない筈だ。

 だから、戦いながらも俺は魔法陣の解析を進めた。


 ……ダメだ!


 この魔法陣は「送還」には使えない。

 ならば破壊はどうだ!


爆裂破(ダムデス)!」


 俺は爆裂魔法を放ち、魔法陣の破壊と、それを目隠しにして邪神ギルガゾルの死角に入り、斬ろうとしたが察知され塞がれた。


「ふう。危ない危ない。」


 ……魔法陣の破壊でもダメか。


 俺は邪神ギルガゾルの魔力の流れを視る。


 ……右鎖骨下に魔力の塊が有る!


「はあっ!」


 俺は意図的に左側ばかりを攻め、右への関心を落としチャンスを狙う。


 そして、僅かな隙に魔力を乗せた突きを放つ。


「がぁ!」


 再び邪神ギルガゾルの魔力の流れを視る。


 ……良し。

 右鎖骨下の魔力の塊は破壊出来た。

 どうだ!


「がぁーーーーーー!」

「やった!」


 上手くいった。

 邪神ギルガゾルにとって、やっとダメージになる攻撃が出来たんだ!


「貴様ーーー……なんてな。」

「なっ!」


 まさか、演技か?


「見事に引っ掛かったな。」

「まさか!」

「勿論、わざとだ。」

「くっ……」

「そろそろ飽きて来たな。終わらすか。」

「がはっ……」


 そこからは、一方的な展開で、俺はなす術もなく痛めつけられた。

 それでも俺は諦めずに、なんとか打開策を見付ける為に考え続けた。

 まだ邪神ギルガゾルが遊んでいる内に探すんだ。

 絶対に、現世に繋ぎ止める為の『核』が有る筈だ。

 良く思い出せ!

 良く考えるんだ!


 ……そう言えば、何故、クラリーサの下腹部に剣を刺した?


 普通に考えれば、邪神降臨の儀式をしたんだ。

 こういう場合は「心臓」じゃないのか?


 俺は邪神ギルガゾルの遊びの一撃に、わざと大きく後方に飛び距離を稼ぎ、先程よりも更に深く視た。


 ……!?


 剣が刺された部分の肉体の内部に「呪印」が有った。


 ……核だ!


 ごめん、トリア姉さん。


 約束を破ってゴメンな。


 封印した「力」を使うよ。


夢幻解放(セイクリッドブレイカー)!」


 この「夢幻解放(セイクリッドブレイカー)」は、創造神イシュトリアが創った器だからこそ付属された「力」だった。

 だってそうだろ?

 この世界の創造神が創った器だ。

 何も無い訳がない!


 ……効果は、たった1分だが、創造神イシュトリアの戦闘力を使う事が出来る。


「な、な、何だ! その『力』は!」

「答える必要は無い。」

「わ、我は邪神ギルガゾル! 我を上回る『力』が存在する訳がない!」

「時間が惜しい。滅びろ、邪神ギルガゾル。」

「がっ! ぐはぁ! ぎっ! げふぅ! がぁ!」


 あれ程、俺を痛め付けた邪神ギルガゾルが、たった5撃でフラフラになった。


 俺は距離を取り、精神を集中する。


 ……残り12秒。


 俺は、刀を弓を引く様に後方に絞る。


 ……残り8秒。


 俺は、右手を前に出す。


 ……残り5秒。


「……わ、我は邪神……ギルガ……ゾルなり……」


 ……残り3秒。


「……破邪神牙突(はじゃしんがとつ)!」


 ……残り1秒。


「……がはっ……」


 俺の一撃が邪神ギルガゾルの身体の下腹部を貫いた。

 そして、体内の呪印の破壊に成功した。


「くかかかか! 見事だ!」

「……」

「今は、大人しく還る事にしよう。褒美だ!」

「……」

「だが! 我は見ているぞ! 虚空の(あなぐら)の中で!」

「……」

「くかかかか……」


 クラリーサから、邪神ギルガゾルが消えた瞬間、異空間収納からエリクサーを5本取り出し掛ける。


 ……おかしい?


 クラリーサの身体は完全に癒えた筈だ!

 何故、意識が戻らない。


「ユーマ殿!」


 避難していたコトネ達が戻って来た。


「コトネ。クラリーサの意識が戻らないんだ。」

「ユーマ殿、失礼。」


 コトネは、クラリーサの胸に耳を当てたり、首すじの脈を診たり、瞳孔を診たりした。


「ユーマ殿は、クラリーサにエリクサーを5本も使ったのですよね?」

「ああ。」

「それならば、意識が戻っても良い筈。」

「そうな……ん……だ……がああああ!」

「ユーマ殿!」

「がああああ……」

「ユーマ殿ーーー!」

「「「「ユーマ様ーーー!」」」」



 そして、俺は気を失った……




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